平均空室日数が前年比10日の短縮も!最新データからみる繁忙期前の最新賃貸市況
2023/01/19
新型コロナウイルスの発生から約3年が経過しました。
この間、8回にわたる感染拡大の波が発生したものの、
2021年の夏を最後に緊急事態宣言が発令されることはなく、
コロナへの意識は落ち着きを取り戻しつつあるようです。
こうした変化は賃貸市場にも少なからず影響を与えています。
本日、2022年10~12月の当社管理物件における
賃貸成約状況をまとめた「ワンルームマンション賃貸実績レポート」を公開しました。
2022年10~12月期ワンルームマンション賃貸実績レポート
≪ワンルームマンション賃貸実績レポート解説動画≫
平均空室日数が前年同期比で約10日も短縮になるなど、
1年前とは賃貸市況が大きく異なっていることが伺えます。
今回のコラムでは、この最新レポートのデータを踏まえながら
繁忙期前の賃貸市場の動向と空室解消に向けた当社独自の取り組みをご紹介します。
賃貸実績レポートは四半期ごとに、当社が管理するワンルームマンションの
空室期間と成約賃料をエリア別、物件の築年数別にまとめて公表しています。
2022年10~12月のワンルームマンションの賃貸契約の総数は1,258件。
うち東京23区内における「解約日から賃料発生までの平均日数」は40.3日で、
前年同期比10.6日の短縮となりました。
また、平均成約賃料も前年同期比1,715円のプラスとなる7万9806円でした。
昨年よりも空室日数が大幅に短縮した要因は2つあります。
一つは海外からの入国者と他都道府県の転出者が、
継続的に東京に流れ込んでいること。
もう一つは人々のコロナに対する意識の変化です。
まず、海外からの入国者については、昨年10月から入国者数の上限が撤廃され、
入国時の制限もワクチン接種証明書またはPCR検査の陰性証明書の提出のみで、
ほぼ制限がない状態となりました。
その結果、昨年10月、11月の2カ月だけで計143万2500人の外国人が日本に入国。
前年同時期の外国人の入国者数が4万795人ですから、約35倍にまで増加しました。
昨年12月の数字はまだ発表されていませんが、
成田空港の年末年始(2022年12月23日~2023年1月3日)の外国人出入国者数が
38万8990人とだったことを踏まえると、
前年とは比較にならないほどの数の
外国人入国者が日本、そして東京に来ていると推測できます。
こうした外国人の活発な入国は賃貸市場にも影響を与えています。
当社管理物件では文京区、豊島区、北区など城北エリアにおいて
外国籍入居者の需要が強く、上記3区を合わせた平均空室日数は
23区全体の空室日数よりもおよそ1週間短い33.4日となりました。
他都道府県から東京への転入超過数に関しては、
昨年11月は転出数が上回ったものの、
8、9、10月と3ヶ月連続で転入超過に転じました。
転入者の絶対数でも前年同月比10%以上の伸び率となっています。
ここで注目すべきは若者の動きです。
15~29歳までの東京都への転入超過者数は、
2022年の1~11月までをみると全ての月においてプラスで推移しており、
その数は計8万6793人。
2位の神奈川県が2万2929人ですので、その差は約3.7倍です。
また、2021年の同期比でも東京は1万6,508人増となっています。
こうしてみると、10月から増加傾向が続いていたコロナの「第8波」の影響は
ゼロではないものの、長期的な目線に立つと限定的であったといえます。
空室日数が短縮した二つ目の要因は、
コロナに対する人々の意識の変化です。
キャリアや就職・転職全般に関する研究を行う「Job総研」のアンケート調査によると、
2022年12月時点で約8割の人がコロナに対する危機感は弱いほうだと回答。
さらに感染が拡大し始めた2020年の調査と比較し「危機感が強い」と答えた人の数は
半数近くに減少しています。
こうした意識の変化が、東京への継続的な人口流入につながっていると考えられます。
これらの外的要因を追い風に、さらに空室を撲滅すべく当社では
昨年10~12月期も様々な取り組みを実施しました。
一つは入居者様に対するアプローチの強化です。
入居者様に対して、賃貸契約更新日の4ヶ月前に
SMSにて契約更新についてのアンケートを送付。
引っ越しを検討中で、その理由が気分転換などにより都内への住み替えを検討していると
回答した方に対しては、架電を行い当社管理物件への住み替えを提案しました。
提案に際しては、当社管理物件を掲載している物件検索サイトに案内して登録を依頼。
その際、住み替え物件への希望条件を聞き、条件に合致する物件が出た場合には
SMSなどで通知するほか、検索履歴から閲覧頻度が高まると
改めて連絡を差し上げました。
結果として住み替え希望者から数十件の問い合わせをいただくことができ、
また実際に当社管理物件への住み替えも実現しています。
さらに、昨年10月には、空室日数が40日以上経過した物件127戸に対し、
改めて室内点検を行い、不具合があれば改善する「空室ローラー作戦」を実施しました。
ローラー作戦では賃貸営業部の営業担当はもちろん、
事務担当者や債権管理部の人員を含め計37名が参加。
これにより、室内のにおいや共用部のごみなど
入居希望者が内見をした際に印象が悪くなる要素をできるだけ排除したことで、
実施から1カ月以内に約半数の物件に入居申し込みが入る結果となりました。
また、1~3月の繁忙期を見据えた取り組みにも着手。
コロナに対する社会情勢が変化したことにより、
昨年10~12月にかけて、年間契約件数が多い賃貸仲介会社を中心に
幹部の方を招いた懇親会を実施。
加えて、年末には賃貸仲介会社約300社に対し手土産を持参して
あいさつ回りをさせていただきました。
このように折に触れてやり取りをする機会を設けることで、信頼関係が醸成され、
当社管理物件を優先的に紹介いただけるように働きかける下地ができあがりました。
当社で様々な取り組みを進めて迎えた今年の繁忙期。
賃貸仲介会社の担当者からはこれまで鈍かった法人需要の回復が予想される
との声も聞かれます。
今年もオーナー様に1日分でも多くの日割り家賃をお届けするため、
社員一丸となって空室解消に向けた取り組みを進めてまいります。
日本財託管理サービス 賃貸事業本部 田中 芳之(たなか よしゆき)
◆ スタッフプロフィール ◆
秋田県出身の45歳。
賃貸営業部と債権管理部の責任者として、緊急事態においても1日でも早く空室を埋められるよう、また滞納の増加を防ぐべく、日々、新たな仕組みづくりを推進している。
18歳のときにサッカーの本場イギリスにサッカー留学。
地元のサッカーチーム『ダラム・シティFC』にて腕を磨く。