入居者を絞り家賃27,000円UP!リノベ×家具家電付ワンルームの収益改善事例
2023/03/30
『次の入居者募集時には家賃を上げて欲しい』
物価高がニュースになるなか、オーナー様から、
このようなお声を頂くことも増えてきました。
投資収益という面で1円でも高く、というお気持ちは
よく分かりますが、話はそう単純ではありません。
賃貸物件の家賃には、
エリアや築年数、間取り、室内設備などに応じた相場があります。
家賃設定を高くしても、相場家賃を逸脱してしまうと、
いたずらに空室期間が延びてしまうことになりかねません。
相場より高い家賃で入居者に選んでもらうためには、工夫が必要です。
そこで今回のコラムでは、オーナー様のご要望を踏まえて、
「入居者層」と「付加価値」という2つの要素を施策に反映して、
相場以上の家賃で入居付けを実現した事例とその考え方をご紹介します。
家賃アップの施策を行った物件は、
築31年の新宿区の一棟マンションです。
オーナー様からは兼ねてより、
新規の入居者募集時には『1円でも高く家賃を上げて決めたい』
というご意向をうかがっていました。
そこで、12月に入居者の退去があった5階の一室について、
「入居者層」と「付加価値」の観点から、
家賃を上げるための戦略をご提案したのです。
まず、新しいお部屋にご入居いただく方を外国籍の入居者に絞りました。
新宿区は全国の中でもトップクラスに在留外国人数が多い自治体で、
この物件の所在地も、外国籍の方からのニーズが高いエリアです。
感染症の水際対策も緩和が進み、
海外からの流入が増加すると見込まれる点も考慮しながらの選択でした。
では、家賃が高くても外国籍入居者に選ばれる部屋は
どのようなものでしょうか。
一般的な部屋に対して、何を価値としてプラスすべきか、
それを考えるのが付加価値戦略です。
今回は内装の表層リノベーションと、
家具・家電を付帯設備にした募集を行いました。
部屋の広さは20㎡程度、1Kタイプで3点式ユニットバスという
一般的な単身用のワンルームです。
この部屋を来日旅行客に大人気の和風リゾートホテルの一室をコンセプトに、
リノベーションしました。
壁面は落ち着いた色合いのアクセントクロスと飾り柱を取り付けることで"和風モダン"の空間を作っています。
床には琉球畳風のフロアタイルを敷き、
照明や建具もコンセプトに合わせて刷新しました。
さらに、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、
ロータイプ和風ベッド、カーテン、テレビボードを備え付けの設備としています。
海外の賃貸物件では、家具や家電が備え付けになっていることが一般的で、
日本に転居してくる際、何もない部屋に戸惑う外国籍入居者の方は少なくありません。
入居者のなかには、数年後に帰国すること考え、
数十万円をかけて家具や家電を一通り揃えることに躊躇する方もいらっしゃいます。
そのため、家賃が多少高くても家具・家電が付帯した
賃貸物件を希望する外国籍入居者の需要が一定数あるのです。
さらにスマートロック、ホームセキュリティも付けて、
利便性や防犯性の高さも訴求しました。
相場家賃および退去前の家賃はいずれも66,000円のところ、
入居者層を絞り込み、それに見合った付加価値の向上を行った結果、
93,000円で次の入居者が決まりました。
月額27,000円の収益改善です。
これに対する投資金額は、
リノベーション工事一式が約45万円、
家具・家電の費用が約17万円となっています。
別途、ホームセキュリティの初期費用1万円、
月980円の利用料、および、スマートロックの月額利用料880円が
家賃収入の中に含まれています。
12月の退去からリノベーション工事に着手して、1月末に完工、
その後、約1ヶ月で申込が入りました。
4月入居開始のため、空室期間は丸4ヶ月と、
当社管理物件の平均値よりは長くなってはいます。
とはいえ、工事費、設備投資費、空室損など、
これらを全て含めたとしても、3年ほどで投下額は回収できる見込みです。
利回り換算にすれば、
年利約33%の投資対効果がある施策とも言えます。
このお部屋はリノベーション工事も併せて行いましたが、
内装はそのままで家具家電を付帯設備にするだけでも、差別化することはできます。
板橋区の別の物件では、17㎡の1R、3点式ユニット、
相場家賃で52,000円の物件をこれも外国籍の入居を狙い、
12万円余りで基本的な家具・家電を設置しました。
家具家電付き家賃59,000円で募集を開始してから
約1週間後、最初に入った内見で申込が入っています。
全てのエリアで効果が見込めるわけではありませんが、
外国籍の入居が狙える物件では入居者募集の有効なオプションとして
おすすめできる収益改善施策です。
なお、家具・家電を設置する際の留意点は、
これらは「付帯設備」になるため、オーナー様に
故障時の費用負担が発生することです。
初期投資額、また入居者層を絞るがゆえの空室リスクも含めてご提案し、
ご納得いただいた上で取り組みを進めています。
今回ご紹介したような収益改善施策だけでなく、安価で効果的なリフォームや
1棟アパートマンションの管理であれば、毎月の固定費を削減する施策、
共用部の収益化施策など、豊富な実施事例がございます。
オーナー様の賃貸経営のご状況、目的、その時々の投資判断に合わせて
最適なご提案をさせていただきますので、
どうぞお気軽にご相談ください。
日本財託管理サービス ソリューション事業部
笠原 良太(かさはらりょうた)
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都八王子市出身の43歳。
ソリューション事業部として、
賃貸経営の収益力を改善する設備投資や、
リノベーションなどの提案を行っている。
趣味は釣り。午前3時起床、雨風吹き荒れる中でも、
釣りを楽しめるくらいには釣りバカ。