全長800mの空間が生まれ変わる!?高架下開発がもたらす多様性と賃貸需要
2023/06/29
JR東日本都市開発は今年、JR常磐線の亀有駅から綾瀬駅までの区間を
高架下店舗や広場等として開発していくことを発表しました。
高架下開発の長さは約800m。
同区間が約2㎞のため、距離にして半分近くの高架下空間が
生まれ変わることになります。
都内各地では、このほかにも2023年~2024年にかけて、
高架下の開発が順次完成予定です。
高架下というと、居酒屋や食堂が軒を連ねる
昔ながらのイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
しかし、最近の高架下の開発はモダンなレストランや商業施設のほか、
保育園やキャンプ施設など、時代を反映した施設がオープンされるなど、
飲食だけに留まらない新たな賑わいの場として注目されています。
また、駅近の施設に多様性が生まれることによって、
若者を中心に新たな賃貸需要の創出につながる可能性も高いのです。
今回のコラムでは、東京の高架下開発の最新事情をご紹介しながら、
それがどう賃貸需要とつながっていくのか、考えていきたいと思います。
まず、東京で現在行われている高架下開発についてみていきましょう。
冒頭にお伝えしたように、JR東日本都市開発は今年2月末、
JR常磐線の亀有駅から綾瀬駅区間の開発の概要を発表しました。
開発エリアは亀有駅からスタートし、綾瀬駅側に伸びる全長800mの高架下。
同社は一帯の開発施設を「さんぽみち」と「かめあり」を掛け合わせ
「ぽちかめ」と名付けており、高架による分断を解消し、地域の新たな賑わい創出を狙っています。
開発自体はまだまだこれからですが、今年3月には日用品を取り扱うディスカウントストアが開店しています。同業態の店舗はこれまで亀有駅の近くにはなく、
この一店舗だけをみても住民の生活利便性は向上したのではないでしょうか。
亀有は23区のなかで、どちらかというと下町のイメージが強い地域です。
高架下の開発はエリアの特徴を残しつつ、新たな施設が入ることで
街としての多様性が生まれることが期待されます。
亀有駅以外にも、高架下の開発はどんどん進んでいます。
東急電鉄は今年4月、2023年秋から2024年春にかけて、
目黒区の学芸大学駅の高架下を順次、リニューアルすると発表しました。
コンセプトは「まちの縁側」。
リニューアルにあたり、地域住民や同地域で活動する建築家・デザイナーなどから
アイデアを募り、ともに検討を重ねることで多様な文化を生み出すとしています。
その言葉通り、リニューアルではカルチャーショップや店主のこだわりが反映された飲食店のほか、
コワーキングスペースやアトリエも備えるクリエイティブ色豊かな複合施設もオープンする予定です。
そのほか、東武鉄道が2024年5月の完成に向けて進める竹ノ塚駅(足立区)高架下の商店街の開発など、
東京では今も各地で駅近の高架下が生まれ変わろうとしています。
高架下では開発自体だけでなく、時代のニーズにあった施設も誕生しています。
JR東日本都市開発は今年3月末、
秋葉原駅から徒歩5分の高架下に「キャンプ練習場」を開業しました。
練習場ではテントやテーブル、ガスコンロがレンタルでき、
初心者が気軽にキャンプ気分を味わえるようになっています。
コロナ禍でキャンプ人気が高まるなか、都心で非日常感を味わえる
場として注目されています。
駅近である高架下の開発による多様性の創出は、
入居者の物件選びにも大きな影響を与えます。
不動産業のハウスコムは昨年、コロナ禍前と後の引っ越し経験者それぞれに対し、
『部屋選びとライフスタイル』に関するアンケート調査を実施しました。
調査の結果「部屋選びの際に重視する点」において、最も変化したのは「街の雰囲気」で、
コロナ前と比較し10.2ポイント増の35.1%の人が重視すると回答しました。
つまり、物件選びにおいて、駅までの距離や間取りといった「スペック」に加え、
「ライフスタイルに合うかどうか」も重要な指標となりつつあるということです。
また、コロナ後の調査では、若年層を中心にこれまで以上に
駅近エリアの利便性や繁華性を重視する傾向があることが示されています。
これまでの通説では、コロナ禍により自宅での勤務が増えたことで、
郊外や駅遠となったとしても、広い物件を求めるニーズが生まれているとされていました。
しかし、ニッセイ基礎研究所が先月発表したレポートによると、
「駅近エリアから駅遠エリアへ人がシフトする動きは特段みられず、
コロナ禍においても駅遠エリアの選好が強まっていない」としています。
さらに詳しくみると、50代については駅遠エリアを選好する傾向がある一方、
20~30代の若年層は依然として駅近エリアへの居住を希望していることがわかります。
つまり、若い世代ほど、駅近エリアの利便性や繁華性を重視する傾向があるということです。
駅近の最たる場所である高架下の開発は、
若者の賃貸需要に好影響を与える可能性があります。
各地で大規模開発が進む東京。
その流れは高架下という、これまで「デッドスペース」だった場所にも波及しています。
高架下の開発は、時代に合わせてスピーディーに実施することができる点において、
街の魅力をさらにアップさせる起爆剤となりうるポテンシャルを秘めているのです。
物件の購入をお考えの際には、頭上のビル群だけでなく、足元の高架下にも
目を向けてみてはいかがでしょうか。
日本財託 マーケティング部セールスプロモーション課
K・N
◆ スタッフプロフィール ◆
香川県木田郡出身の30歳。
セミナーやHP、LINEの運営、 メールマガジンの執筆や広報活動を通じて、
東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様にお伝えしています。
最近、同僚の女性に私が結婚できない理由を尋ねると「積極性が足りない」と言われてしまいました...。
焦らず、でも積極的に、を心掛けたいと思います。