変わる企業のリモートワーク事情!空室日数からみえる「職住近接」トレンド
2023/09/21
先月、オンライン会議システムを提供するZoomの運営会社が、
フルリモートワークを廃止して、
少なくとも週2日の出社を従業員に義務付けたことが話題となりました。
世界中を巻き込んだパンデミックで、
新しい働き方が求められるなか、急成長を遂げたZoom社。
そのZoom社の方針転換は、
まさにリモートワークの転換期とも言えます。
日本でもコロナウイルスの5類感染症への移行に伴い、
同じようなオフィス回帰の動きが見え始めています。
そこで今回のコラムは、
最新のリモートワークの状況をご紹介しながら、
当社管理物件のコロナ禍前後の空室日数を比較し、
リモートワークが東京の賃貸需要に与える影響を考えていきます。
冒頭にご紹介したZoom社のほかにも、
アメリカのテック企業では一足先にオフィス回帰が進んでいます。
GoogleやApple、Amazonでもフルリモートワークを辞めて、
週3日以上の出社が原則となっています。
アメリカだけではなく、日本企業も同様の動きを見せています。
コロナウイルスの感染拡大初期に、
いち早く原則在宅勤務を実施したGMOインターネットグループは、
今年の2月にはすでに原則出社の体制に切り替えています。
こうしたオフィス回帰のトレンドを知るうえで、興味深いデータがあります。
コロナウイルス感染者数が急増する直前とコロナ感染拡大期、
そして終息期における東京都内の企業のリモートワークの実施率です。
2020年3月時点の実施率は24%だったものが、
2020年6月以降は平均して60%以上となり、
70%に迫ることもありました。
そして2023年6月時点では、およそ40%程度となっています。
(内閣府令和5年度年次経済財政報告より)
またリモートワークの実施率が40%程度あるといっても、
もちろん全日フルリモートワークが実施されているわけではありません。
転職やキャリアサポートをしているMS-Japanが
「オフィスへ出社している日数」に関する調査を行いました。
調査結果によれば、
週5日出社していると回答した割合は55%、
フルリモート勤務をしていると回答しているのは、回答者のわずか1割程度でした。
コロナ禍においては、リモートワークが拡大していけば
住まい探しにおいて「職住近接」が必ずしも求められず、より広い部屋を求めて
地方や郊外に住む人が増えるのではないかと言われてきました。
しかし、データにもあるように、週1日や2日程度のリモートワークであれば、
わざわざ地方や郊外に住まいを探す人は、少ないのではないでしょうか。
それが単身者であればなおさらです。
実際、コロナ禍では、大手企業ではフルリモートワークが推奨されて、
中央区や港区といった高額賃料帯のエリアで
郊外へと住み替える傾向も一部見られましたが、
すでにその流れは止まり、職住近接のトレンドがより強くなっています。
これは、空室日数にも表れています。
当社の管理物件において、上記エリアの空室日数を比較してみたところ、
コロナ禍の2022年4月から6月の平均空室日数は中央区が34.5日、港区が40.7日。
それに対して、2023年4月から6月の平均空室日数は
中央区が24.0日、港区が27.6日となり、
それぞれ前年比で30%以上も空室日数を短縮しています。
また、コロナ禍においては、リモートワークが主流となることから、
オフィス自体も首都圏から郊外へ移転する動きも見られました。
しかし、この首都圏から地方・郊外へのオフィス移転のトレンドも
いまは減速しています。
帝国データバンクによれば、
2022年上半期に1都3県から地方へ本社を移転した企業は168社。
首都圏に転入した企業は124社でした。
一方、2023年上半期に1都3県から地方へ本社を移転した企業は172社。
首都圏に転入した企業は164社でした。
いずれも、転出した企業のほうが多くなっていますが、
注目すべきは前年度対比の上昇幅です。
転出企業172社に対して、前年は168社。上昇幅は2%でした。
一方で、転入企業の164社は、前年が124社でしたから、
上昇幅はずっと大きく30%にもなり、転入企業の勢いが増しています。
コロナウイルスの感染拡大によって、
リモートワークという新しい働き方は確かに定着しました。
しかし、フルリモートワークが主流になったわけではなく、
あくまでも働き方のひとつとして取り入れられた状況です。
そのため、結果として東京の賃貸需要を大きく左右するような
トレンドになることはありませんでした。
「職住近接」が求められるのであれば、
これからも東京の賃貸需要は安定的であり、
長期に渡って安定収入を期待することが可能です。
郊外で少し広めのマンションに投資を検討しているようでしたら、
いま一度、投資エリアを再検討されてみてはいかがでしょうか。
日本財託 インサイドセールス部 F・T
◆ スタッフプロフィール ◆
兵庫県姫路市出身の24歳。
インサイドセールス部ISチームで、主に不動産投資に興味を持たれたお客様にイベントやキャンペーンの企画・開催し、コンサルタントへとつなぐサポートをしています。
入社してから太り続け、体型は中間管理職ではないかとよく言われます。
若々しさを取り戻すために、そろそろ本気で運動しようかと考えています。