修繕積立金の急激な値上げにSTOP!インフレ時代に資産価値を守るために必要な行動とは
2023/10/19
「修繕積立金 上幅抑制 マンション計画的徴収促す」
今月9日、日経新聞の一面に、
国土交通省が修繕積立金の値上げ幅を抑制するため
新たなガイドラインを作成するという記事が掲載されました。
背景にあるのは、積立金の不足による
大幅な値上げをするケースが増えているからです。
大幅な値上げは当初の資金計画の再検討が必要になるので、
避けたいところですが、一方で適切な修繕工事が行えなければ、
やがて外壁の剥離や鉄部の腐食が起こり、マンションの老朽化を招きかねません。
急な値上げを引き起こさないためにも、
管理組合活動を他人事とせず、
資産価値を維持するために建物管理について、
より関心を持つことが求められてきます。
そこで今回のコラムでは、
修繕積立金の値上げ抑制の経緯を紐解きながら、
オーナーが資産価値を守るための行動について考えていきます。
実は、国土交通省が修繕積立金に関するガイドラインを発表するのは、
今回が初めてではありません。
2011年に平米あたりの修繕積立金の目安額が示され、
2022年には、さらにその目安額が増額されました。
現在は20階未満・延床面積5000平米未満の物件における
修繕積立金の目安は1平米あたり月々235円~430円、
平均値は335円となっています。
現状の修繕積立金が平均値を下回っているのであれば、
将来的に値上げされる可能性が高いと考えられます。
そもそも、目安となる修繕積立金が当初から想定されていれば、
値上げの必要もありません。
修繕積立金の徴収方法には、長期修繕計画に基づいて、
当初からずっと同じ額を払い続ける「均等積立」と、
段階的に値上げ額を増やしていく「段階増額積立」の2種類があります。
均等積立であれば、途中で値上げになる可能性は低いのですが、
多くのマンションでは、段階増額積立が採用されています。
それは、新築分譲時に修繕積立金の負担額を少なくすることで、
マンションを販売しやすくするためです。
そのため、築年数の経過によって、
多くのマンションでは修繕積立金の増額が検討され、
その増額が過大な一部のマンションでは住民の合意がとれず、
トラブルとなり始めているのです。
国土交通省によれば、
長期修繕計画の当初から最終年までの増加幅の平均値は3.6倍。
なかには10倍を超える事例もあったと言います。
そこで、今回のガイドラインの改正によって、
基準となる増加幅の目安を示そうというものです。
これまでの修繕積立金の増額は、
前述したように新築分譲にマンションを販売しやすくするために、
負担額を抑えていたことが要因でした。
これに加えて、近年では工事費用や人手不足による人件費の高騰も
修繕積立金額の値上げの一因となっています。
建設物価調査会によれば、
建築費の変動を示す「建築費指数」が、
先月、東京で過去最高値を更新したことが分かりました。
2015年におけるマンションの建築費を100とすると、
先月は1.25倍にもなっているのです。
いくら長期修繕計画をしっかり立てていたとしても、
外的要因が原因で値上げ幅が想定を超えてしまうことが出てきています。
そのため、オーナーとって今後より必要になってくるのは、
これまで以上に建物管理に関心を持つことです。
これから行う工事が本当に必要なのか、
積立金が値上げされるのであれば、その値上げ幅は適正なのか、
ほかに方法はないのかなど、
建物管理会社にすべてお任せという姿勢ではなく、
積極的に管理組合の運営に関与していく姿勢が大切です。
また、今回のガイドラインの改正では、
地方自治体がマンション管理にお墨付きを与える
管理計画認定制度も見直しされる方針です。
これまでは築20年以上の中古マンションが一定の基準を満たし、
その評価を受ければ、固定資産税の減税などのインセンティブが受けることができました。
今回の案では、対象物件に新築物件を加えることで、
より計画的に積み立てを行うよう促していくようです。
固定資産税の減税が受けられるのであれば、
キャッシュフローも改善し、さらにマンション経営が有利となるため、
資産価値が高い物件と評価されることになります。
工事費用の高騰などの外的要因が変化しているいま、
オーナー自身が建物管理により関心を持って、
マンションの資産価値を守っていく姿勢が欠かせません。
まずは、建物管理会社から送られてくる管理総会の議案書を読み込む、
そして、議決権もしっかり行使する、さらに余裕があれば管理組合に参加するなど、
ご自身のできる範囲からはじめてみてはいかがでしょうか。
日本財託 マーケティング部 セールスプロモーション課
K・K
◆ スタッフプロフィール◆
神奈川県横浜出身の45歳。
マーケティング部で、セミナーやHPの運営、メールマガジンの執筆や広報活動を通じて
東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝えている。
あまりの見た目の可愛さから、ポメラニアンとチワワのミックス犬を飼い始めたものの、
まったく懐いてくれず、噛まれてしまうので、ゴム手袋越しに触りながら、
毛並みのモフモフを想像している。