工事をしたのに漏水発生!? オーナーが知っておくべき修繕工事の実態とは

2023/11/09

1棟アパート・マンションのオーナーとして、
物件の収益性を維持するために欠かせないのが「大規模修繕工事」です。

区分所有のマンションオーナーであれば、
修繕積立金が毎月積み立てられ、建物管理組合の主導の元に
計画的に修繕が行われていきます。

一方、1棟アパート・マンションのオーナーは
物件の日常的なメンテナンスに加えて、計画的に行う修繕工事も
自身が把握したうえで実施をしていく必要があります。

この工事を適切な時期に、適切な工事内容で行わなければ、
物件の資産価値も下がってしまいかねません。

工事を行わなければならない一方で、投資家からは、
できるだけ修繕費用はかけたくないといった声も耳にします。

自分が暮らすマンションではないので、
定期的な修繕工事費用を節約したい気持ちも理解できますが、
工事費用の安さだけで施工会社を選んでしまうと、のちのトラブルのもとになります。

実際、価格面だけで選んだ施工会社の工事の不具合によって、
追加費用を支払い、再工事を実施したというケースもあります。

そこで今回のコラムでは、1棟アパート・マンションの大規模修繕工事の実態をご紹介。
トラブルに巻き込まれないためにオーナーが知っておくべき修繕工事のポイントと
資産価値と収益性を両立する工事のポイントについてお伝えします。

当社でも相談が寄せられることの多い
防水工事のトラブル事例をご紹介します。

ひとつ目は、屋上の手すりと接地面の防水加工が不十分なことから発生した漏水です。

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上記の写真のケースでは、
コンクリートと手すりの結合部分で、防水加工処理が不十分でした。
そのため、結合部分から雨水がコンクリート内部に浸入。

側面に施された防水シートの裏にまで、浸水が進み、
まるで水ぶくれのような状態になってしまったのです。

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雨水はどこからでも侵入するため
「この程度は問題ないだろう」と思わるような小さな隙間こそ、
完璧に防水加工を行う必要があります。

2つ目は、屋上外周部を囲うコンクリートからの雨水の浸入です。

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この写真のケースでは、屋上外周部を囲うコンクリートの天井部の裏側部分に
防水加工が施されていませんでした。

天井部の裏面は雨水が浸入しないと思われがちですが、
実は、強い雨が降ると、壁面から跳ね返った水滴がコンクリート内部に
染み込んでいってしまうのです。

それが、コンクリートや内部の鉄筋の錆びにつながり、
亀裂や破断を引き起こす要因となるのです。

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3つ目は、手抜きの防水工事を行った結果、
ウレタン防水層が水膨れしてしまった事例です。

ウレタン防水層とは、
屋上から建物内への雨水の浸入を防ぐためのウレタン樹脂を使ったコーティングです。

水膨れは、内部に貯まった雨水が熱せられて水蒸気になり、
外に逃げようとする力が働くことで発生します。

そのため本来ならば、通気緩衝シートと脱気筒と呼ばれる
水蒸気を外に逃がすための装置を設置。
そのあとに、新しい防水層をコーティングする必要があります。

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しかし今回の事例では、通気緩衝シートが設置されておらず、
既存の防水層上のコンクリートにウレタン防水層を直接塗布する、
簡易な工法で工事が実施されていました。

その結果、通常であれば10年は効果が持続する防水工事を実施していたにもかかわらず、
わずか5年でウレタン防水層に亀裂が発生。
亀裂から雨水の浸水が始まっていたのです。

20231109_7_6.png

このままでは、内部の雨水が染み出して、
最上階のお部屋への漏水につながりかねません。

そこで当社で、再度防水工事を実施。
水膨れが発生した既存の防水シートを除去し、
水蒸気を外に逃がす装置をつけ直し、新しい防水層の設置を行った結果、
240万円もの追加費用が発生したのです。

では、なぜこのような不十分な工事が行われてしまうのでしょうか。

ひとつにはオーナーと施工会社の情報格差があげられます。
今回ご紹介した工事の不備を見抜くためには、経験と専門知識が必要です。
はじめて工事を経験する場合、不備を見抜くことは非常に困難です。

また、施工会社にとっては、できるだけ手間や部材を節約して
工事を実施したほうが利益も手元に残ります。

工事を受注するにしても、安い見積もりを提示したほうが有利ですし、
オーナーにとっても収益性を考えるのであれば、
可能な限り安い工事のほうが望ましいでしょう。

人件費や部材が高騰しているなか、適切な工事を適切な期間でやり遂げるためには
安すぎる価格では成り立たないはずです。
こうした外部環境もずさんな工事を引き起こす要因となっているのです。

では、信頼のおける施工会社に依頼すれば、問題は解決するのでしょうか。

留意しなければならない点は予算との兼ね合いです。

施工会社は完璧な工事を実施しようとしますが、
オーナー側にとって工事予算は限られていますし、
収益性も考慮する必要があります。

完全な工事の実施だけを念頭においた場合、
工事費用が高額で結局工事を見送るといった事態になりかねません。

そもそも、オーナーの目的は「収益の最大化」です。

「予算に合わせて、今すぐ修繕が必要な分だけ工事をしたい」
そう考える方も多いでしょう。

大規模修繕工事を検討するうえで大切なことは、
「収益性」と「適切な工事」を両立させること。
そのためには、自分と同じ目的、同じ目線を持つパートナーを見つけることが必要です。

たとえば当社では、賃貸管理会社として蓄積されたノウハウを活かし、
所有物件の収益性と工事の適切性の両立を心がけた提案を実施しています。

最低限実施しなければいけない工事はどの部分なのか、
先送りした工事はいつまでに実施すべきか、
そして、そのときまでにいくらの工事費用を見積もっておけばよいのか。

オーナー様、そして物件の現況にあわせたご提案をお約束致します。

単発の工事だけでなく、将来発生する修繕工事を見積もり、
お客様のご状況に合わせて、長期の修繕計画ご提案することも可能です。

現在、当社では約28,000戸の賃貸不動産を管理しておりますが、
そのうち、1棟アパート・マンションは614棟、延べ6,158戸の管理実績があります。

大規模修繕工事の進め方や施工会社選定について、
在籍する1級建築士が無料でご相談を承っておりますので、
修繕工事や長期修繕計画の立案でお困りの際には、ぜひお気軽にご依頼ください。

日本財託 ソリューション事業部オーナーサポート課 O・A

◆ スタッフプロフィール ◆
鹿児島県鹿児島市出身の26歳。
1棟管理物件の劣化診断や修繕工事の提案、見積・仕様書の作成を行っています。
会社の部活動でフットサルに励んでいます。
自宅近所でできる、個人参加型のフットサルにも参加したいと考えているこの頃です。

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