東京への若者の転入超過数がついに10万人超え!過去最高を更新した理由とは!?
2024/02/01
1月30日、総務省は昨年1年間の住民基本台帳人口移動報告を発表しました。
とりわけ注目すべきは、東京都への若者の転入超過数です。
発表によると、
昨年1年間の東京都への若年層(15歳~29歳)の転入超過数は103,201人。
これは年齢別のデータが公表された2010年以降、最も多い数となります。
コロナ禍による社会構造の変化や
少子化の影響を感じさせない増加ぶりと言えるでしょう。
さらに、昨年12月、国が5年振りに更新した将来の人口推計によると、
2050年でも現在の人口を維持できている都道府県は、東京都のみであると発表しています。
つまり、コロナ禍を経てもなお、
東京一極集中のトレンドは変わっていないことになります。
今回のコラムでは、最新の人口動態や将来の人口推計をご紹介。
国の推計値を上回り続ける東京一極集中の理由を紐解いていきます。
まずは先日公表された2023年の住民基本台帳人口移動報告を見てみましょう。
全都道府県のうち、転入超過となったのは東京都、神奈川県、埼玉県、大阪府、千葉県、福岡県、滋賀県の
7都府県で、残りは転出超過となりました。
そのうち、転入超過数が最も多いのは東京都です。
その数は68,285人となり、前年の38,023人と比較し約1.8倍の大幅増でした。
転入超過数が1万人を超えたのは大阪府の10,792人を除くと、
神奈川県(28,606人)、埼玉県(24,839人)のいわゆる「東京圏」がメイン。
つまり、東京を中心に人が集まってきていることが分かります。
この人口流入のトレンドをつくっているのが、先述した15~29歳のいわゆる若年層です。
数字を詳しく見てみましょう。
この年代に限定すると、東京都は103,201人の転入超過。
2位の神奈川県ですら24,977人の転入超過ですので、実に4倍超となる圧倒的な差をつけています。
これは2023年5月にコロナが5類感染症へと移行したことが、追い風となった結果だと考えられます。
さらにいうと、この103,201人という数字は年齢別のデータが公表された2010年以降、最多なのです。
若年層(15~29歳)の東京都の転入超過数は
2010年の60,509人から年々ほぼ右肩上がりに増加し、2019年には93,036人を記録。
2020年、2021年はコロナ禍により7万人台まで減少しますが、2022年には90,183人にまで回復しています。
つまり、この若者の東京への流入は今に始まった傾向ではなく、
コロナ禍を経た今後もさらに伸び続ける可能性が高いということです。
この東京一極集中の傾向は国の人口推計にも明らかになっています。
国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに公表している「日本の地域別将来推計人口」において、
昨年12月下旬に2023年版の推計が示されました。
同推計によると、2020年の人口を100とした場合、
日本の人口は縮小の一途をたどり、2050年には83.0と約2割の人口減に。
秋田県をはじめとする11県は約3割の人口が減ってしまうとされています。
そのほか、大都市を抱える道府県でも、北海道(73.1)、大阪府(82.2)、愛知県(88.5)、福岡県(87.2)と、人口減少トレンドから逃れることはできない予想となっています。
一方で、東京都の人口推計をみてみると、他道府県とは事情が変わります。
東京都の人口は2025年、2030年、2035年と右肩上がりに増え続け、
2040年に約1,450万人となり、ピークを迎えるとしています。
その後は人口減少に転じるものの、その勢いは非常に緩やかで、2050年でも1,439万人。
先ほどの2020年比に当てはめると102.5と国内で唯一、100を超える指数をたたき出しています。
加えて、前回の2018年の推計では、東京の人口は2030年の1,388万人がピークだと予想していました。
つまり、若者を中心としたここ5年間の「想定外」の若者の流入が
東京の人口推計に影響を与える結果となったということです。
では、なぜこれほどまでに東京では人口が増え続けているのでしょうか。
過去のコラムでも、大企業の多さやそれに伴う給与水準の高さ、
再開発などで充実する娯楽施設や交通網など、その理由を紹介してきました。
本コラムでは少々視点を変えて、「新たなスタートアップ企業の集積」をご紹介したいと思います。
東京ではこれまで、スタートアップ企業の設立先として主に六本木や渋谷が選ばれてきました。
今、この2大集積地に続く第三の場所として品川区の五反田周辺が脚光を浴びています。
五反田では2018年から品川区と一般社団法人「五反田バレー」が協定を締結し、
スタートアップ企業の誘致や創業支援を行ってきました。
一方で、五反田には大規模なオフィスビルが少なく、
成長した企業が他の地域に本社を移転してしまい、
長期にわたって定着しないという悪循環が課題となっていたのです。
その課題を解決すべく、五反田周辺では現在、複数の再開発が進んでいます。
2023年10月には、JR 東日本グループと野村不動産グループが進めていた、
オフィス棟と2つの住宅棟の3棟からなる複合開発「MEGURO MARC」が全棟完成しました。
これを皮切りに、2024年春には日本郵政不動産株式会社による
大規模複合施設「五反田JPビルディング」が開業。
スタートアップが数多く入居する複合施設「TOCビル」は2024年春に閉館し、
数年後には高さ約150m、延べ床面積約276,000㎡のビルに生まれ変わる予定です。
さらに、五反田駅の東側では東急不動産が再開発に着手。
2027年には高さ約100mと150mの高層ビル2棟が竣工する計画です。
これらの再開発が完成すれば、本当の意味での「五反田バレー」となる日もそう遠くはないでしょう。
このように、東京ではスタートアップ企業に選ばれる土地が複数あるのです。
スタートアップ企業が集まるということは、それだけ雇用の多様性が生まれるということです。
マイナビによる「 2024年卒大学生就職意識調査」によると、新卒社員の企業選びの軸として約3割が
「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」を挙げており、
これは最も多い「安定している会社」(48.8%)に次ぐ数となっています。
つまり、学生視点からみると、スタートアップ企業が増えれば増えるほど、
それだけ選択肢が増え、自分のやりたい仕事ができる可能性が高くなるということ。
その結果、就職を控えた若者がどんどんと東京を目指すのです。
さらに、スタートアップ企業は若手ビジネスパーソンの転職先としても注目されています。
エン・ジャパンが2023年に実施した、20代〜30代前半の社会人を対象とするアンケート調査では、
実に7割近くがスタートアップへの転職に前向きだと回答しました。
その要因の一つとして、スタートアップ企業の待遇が改善されつつあることが挙げられます。
日経新聞が実施した調査によると、将来の事業拡大が有望視されるスタートアップ企業78社のうち、
2023年度の平均見込み年収は710万円となっています。
一方で上場企業の2022年度の平均年収は620万円。
つまり、ひと昔前までの「やりがいや成長を取るならスタートアップ、給与と安定を取るなら大企業」
といった構図が崩れつつあるということです。
終身雇用制度が崩壊しつつあるいま、
今後はますます実力のある若手がスタートアップ企業に活躍の場を求めて
東京に集まることが考えられます。
ここまで、東京の人口増とその理由をお伝えしてきました。
投資においてはどうしても単発的な出来事や価格の上下に目が行きがちですが、
こと不動産投資の場合は長期目線で行うことが非常に重要です。
本コラムでは、不動産投資の最重要項目の一つ、賃貸需要が東京であれば将来にわたっても
堅実に推移する可能性が高いことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
不動産投資で長期安定収入を目指すためにも、
立地選びの際には東京を検討されることをおすすめします。
日本財託 マーケティング部セールスプロモーション課
K・N
◆ スタッフプロフィール ◆
香川県木田郡三木町出身の30歳。
マーケティング部で、セミナーやHPの運営、メールマガジンの執筆や広報活動を通じて東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝えています。
年末年始は久しぶりに帰郷しました。甥っ子が「イヤイヤ期」に入っていたり、姪っ子が少し話せるようになっていたりと、子どもたちの成長ぶりにただただ驚くばかり。最近はお腹周りしか成長していない私でしたが、彼らを見習ってできることを増やしていきたいと思いました。