共有エリアの活用術!収入源を創出してマンションの資産価値を守る
2024/02/15
先日、日経新聞の夕刊一面に、
資産運用を行うマンション管理組合の増加に関する記事が掲載されました。
記事によれば、住宅金融支援機構が扱う管理組合向け債券
「マンションすまい・る債」の購入申込数が、
2023年度に過去最多を記録。
前年度対比で、購入希望数は1.5倍、申込額は1.3倍に増加しました。
この背景には、人件費や資材価格の上昇があります。
コスト増加が続けば、修繕積立金が将来不足することも考えられ、
そうなれば、健全なマンション管理が難しくなる可能性があります。
その対策として、マンション管理組合は記事に取り上げられたような
手法で積立金を増やそうとしたり、また支出を抑えようと工夫をしています。
そこで今回のコラムでは、
マンションの資産価値を維持し続けるために、
管理組合が実施できる収入源を作る手法をご紹介します。
まずは、冒頭にお伝えした「すまい・る債」について、紹介していきましょう。
「すまい・る債」の基本利率は0.475%で、適正な管理が認められたマンションには、
追加で0.05%が加算され、利率は0.525%になります。
一口50万円から購入可能ですが、
仮に一口で運用したとしても、年間2500円程度です。
すまい・る債で資金不足を補うなら、
大きな資金を運用することが求められます。
総戸数が多い大規模なファミリーマンションで、すでに贅沢な積立金があるなら、
ふさわしい運用先と言えるかもしれません。
しかし、多くのワンルームマンションでは
分譲当初の利回りを高く設定するため、修繕積立金が抑えられているケースが目立ちます。
そのため、積立金はなかなか貯まらず、
「すまい・る債」を利用するほどの余裕はないのが現状です。
では、こうした場合、収入を増やすためにどのような取り組みがあるのでしょうか。
その代表的な手法が『空きスペースの活用』です。
自動販売機の設置やキッチンカーへの空きスペースの貸し出し、
そして管理人室の第三者への賃貸です。
自動販売機は売上に対して10~20%の収益を得ることができ、
道路沿いの敷地に自動販売機の設置が可能なら、
夜間に照明の役割を果たし、防犯面でも貢献してくれます。
キッチンカーの場合は、マンションの立地がオフィス街や住宅街であれば、
需要を見込むことができ、売上に対しておよそ5%の収益を得ることができます。
ただ、キッチンカーの種類によっては、
飲食の匂いや煙が周囲に広がり、クレームに繋がることもあります。
どのようなキッチンカーを入れるのかは、配慮が必要です。
また、管理人室を貸し出すことで収益を上げることも可能です。
管理形態には、常駐管理と巡回管理の2つがあります。
常駐管理は管理人がマンション内に常駐しており、
設備の急な故障にも一時対応できますし、セキュリティ面でも優位性があります。
一方で、管理人が待機するための部屋を割り当てる必要があり、
コストも高くつくため、マンション規模によっては適しないこともあります。
そのため、現在ではコストを抑えるためにも、
常駐管理から巡回管理に切り替えるケースが増えてきており、
その分、管理人室を改装して賃貸物件として活用できる余地が生まれます。
他にも、駐車場や駐輪場に空き区画があるなら、
レンタルスペースとして貸し出すことも可能です。
なかでも、街中で最近よく見かける電動キックボードの
駐車スペースとして活用する事例も出てきています。
電動キックボードの駐車スペースは、
長机1台分程度があれば十分で、電源確保の必要もありません。
手軽な移動手段として若者を中心に人気を集めており、
単身世帯が住まうワンルームマンションでは、収益だけではなく、
入居者満足度の向上も期待できます。
さらに、空きスペースの有効活用で上がった収益を
入居者の利便性を高める設備の導入に充当し、
マンションの競争力を高める取り組みをしている管理組合もあります。
当社のオーナー様が管理組合の理事長を勤めているワンルームマンションでは、
電動キックボードやリフォームした管理人室を貸し出して収益を上げています。
そして、その資金をもとにして、宅配ボックスの設置を導入したのです。
今後、人件費や資材費用の高騰が続けば、
マンション全体についてもより関心を持って、
より積極的に管理組合運営に携わることが重要になってきます。
今回ご紹介した、
共有スペースの利用に関する重要な決定は、
管理組合の決議を通じて行われます。
管理組合から送られてくる総会の議事録やお知らせにしっかりと目を通し、
自身のマンションがどのように管理運営をされているのかを把握することから
始めてみてはいかがでしょうか。
日本財託 マーケティング部 セールスプロモーション課
K・K
◆ スタッフプロフィール◆
神奈川県横浜出身の45歳。
マーケティング部で、セミナーやHPの運営、メールマガジンの執筆や広報活動を通じて
東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝えている。
あまりの見た目の可愛さから、ポメラニアンとチワワのミックス犬を飼い始めたものの、
まったく懐いてくれず、噛まれてしまうので、ゴム手袋越しに触りながら、
毛並みのモフモフを想像している。