17兆円で進化する東京の防災力!深刻化する水害へ備える「地下河川構想」とは?

2024/08/01

7月7日、大きな盛り上がりを見せた東京都知事選は、
現職の小池百合子知事の勝利で幕を閉じました。

小池都知事が3期目の重点項目として掲げているのが「防災」です。

2022年12月に「TOKYO 強靭化プロジェクト」が発足し、
100年先も安心できる強靭で持続可能な都市を目指す取り組みがスタート。

TOKYO 強靭化プロジェクトの中でも、
メイン事業のひとつとされているのが「地下河川構想」です。

近年の気候変動による降雨量の増加に対応するため、河川の水を地下トンネルを通じて、
最終的には海に流せるようにするという事業です。

すでに地下河川構想にむけた一部事業は開始しており、
水害対策が着々と進んでいます。

賃貸経営において、水害が発生して物件に被害が出ると、
入居者からの賃料の減額請求や予期せぬ費用が発生する可能性もあります。

防災インフラの強化は、東京で不動産投資を実践または検討している方にとって、
大きな安心材料となります。

そこで今回のコラムでは、東京で実施されている水害対策と実施効果、
その展望についても解説していきます。

近年、ゲリラ豪雨の発生回数が急増しています。

ウェザーニュースの発表によると、2023年のゲリラ豪雨は全国で9.3万回以上発生。
これは前年に比べて20%も高い数値で、今年も同程度の発生が見込まれています。

大雨の増加に伴い、河川の増水や氾濫、浸水被害のニュースが目立ちますが、
東京においてはその被害は大幅に減少しています。

全国的に大きな被害を出した2017年の台風21号の浸水被害を例に見てみましょう。

実は過去の同規模の台風と比較しても、被害は格段に少なくなっているのです。

東京都によると、2017年の台風21号と同規模の1966年の台風4号では、
浸水棟数が41,953棟、12河川で氾濫しました。
また、1991年の台風18号では2,231棟、4河川が氾濫。

一方、2017年の台風では浸水棟数はわずか44棟にまで減少し、
河川の氾濫はありませんでした。

そして、東京都におけるさらなる水害対策を推進しているのが、
「TOKYO強靭化プロジェクト」です。

TOKYO強靭化プロジェクトとは、防災・減災対策として
2022年12月に発足したプロジェクトです。
風水害、地震、電力・通信等の途絶、感染症の5つの危機への備えを
向上させることを目的としています。

2040年代までの総事業予算は17兆円。

これは東京都の年間予算の約2年分に相当します。プロジェクト発足からわずか1年で、
当初予定されていた15兆円からさらに2兆円の予算が追加されました。

特に風水害対策の事業費用は、元々計上されていた6.1兆円から7.1兆円に引き上げられ、予算増加の大きな要因となっています。

巨額の予算が投入される中、事業構想の目玉のひとつとされているのが、
「地下河川構想」です。

東京では豪雨の際に河川の水位上昇を緩和するための
「調節池」の整備が進められており、
2024年7月時点で、12河川27箇所の調節池が稼働しています。

その中でも、地下河川構想で鍵となるのは、地下トンネル式の貯水施設です。
地下に設置されたトンネル内に氾濫の恐れのある河川の水を貯水する施設で、
地下調節池と呼ばれています。

各地で独立している地下調節池を連結し、地下に河川の大動脈を作り上げ、
貯水量を柔軟に調整しながら、
最終的に海に放流する仕組みが地下河川構想の概略です。

そして、この地下河川構想の実現に向けた動きがすでに始まっています。

それが、白子川地下調節池と神田川・環状七号線地下調節池の接続工事です。

練馬区にある白子川地下調節池と、東京都内で最大の貯留量を誇る
神田川・環状七号線地下調節池を連結させる「環状七号線地下広域調節池」の整備が
進められています。

完成すれば国内最大規模の広域地下調節池となり、
長さ約13km、約140万立方メートルの貯水能力を持つことになります。

これは50mプール約560杯分に相当します。
当初の完成時期を前倒し、2025年12月の完成を目指しています。

では、地下調節池の整備効果はいったいどれほどのものなのでしょうか。

神田川・環状七号線地下調節池を例にその効果を見ていきましょう。

神田川周辺は、地下調節池が完成するまで非常に氾濫の多いエリアでした。
氾濫による浸水被害があまりにも多いため、神田川沿いの住む住民らが、
国や東京都を相手に損害賠償請求訴訟を起こすほどです。

しかし神田川・環状七号線地下調節池の整備により、氾濫・浸水被害の数は激減しました。

地下調節池をはじめとした防災・減災インフラの整備に
大規模な予算を投入できるのは、税収が大きく、さらに増えている東京だからこそです。

コロナ禍以降、東京都の税収入は増加傾向に戻りつつあります。
2024年度の都税収入は6兆3865億円で前年度に比べて3%の増加。
大阪府の税収が約1兆4000億円ですから、実に4.5倍にもなります。

現在、東京ではさらに9つの調節池の整備工事が進められており、
今後も大きな予算が割かれることが予想されます。

東京都全体の水害対策がより盤石なものとなれば、
ハザードマップ上の浸水予想地域は縮小され、
川沿いの物件における入居者の安心感も高まります。

特に浸水被害のリスクの高いといわれている河川沿いの1階の部屋においても、
安定した賃貸需要が期待できます。

賃貸経営において、物件の所在するエリアの防災インフラの整備は、
資産価値の安定化に直結します。

そして、この防災インフラの整備が年々進み、
万が一のリスクが低減しているエリアが東京です。
防災への投資も一過性のものではなく、40年代まで先を見据えた計画が立てられています。

再開発が進み都市の魅力が増すだけでなく、
都市を守る防災インフラの整備も進む
東京での不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。

日本財託 インサイドセールス部 A・T

◆ スタッフプロフィール ◆
長野県坂城町出身の27歳。
当社オーナー様の経済的自由の実現に向けて、各種情報の配信やイベント企画を担当しています。先月北海道に旅行に行き、新球場「エスコンフィールド」で野球観戦をしました。
試合は延長12回までもつれる大接戦で、ホテルに戻れたのは24時過ぎ。
次の日寝不足でしたが、よい旅の思い出になりました。

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