不動産小口化ファンドが行政処分!? 小口化商品の特徴と注意点とは
2024/08/22
6月、「みんなで大家さん」のサービス名で
不動産小口化ファンドシリーズを展開する会社が、
業務停止命令の行政処分を受けました。
「みんなで大家さん」は、不動産小口化商品のひとつです。
不動産小口化商品とは、不動産を小口分割し、投資家がその一部を購入することで
不動産投資ができる投資商品です。
これにより、従来の不動産投資のように多額の資金を必要とせず、
少額から投資を始めることが可能になります。
ではなぜ今回、行政処分を受けるに至ったのか?
主な理由は、販売を行った商品において、
当初の募集内容から変更があったにもかかわらず、
投資家への説明が不十分であったためです。
このような報道を目にすると、小口化商品のリスクは高いと思われるかもしれませんが、
すべての小口化商品が危険なわけではありません。
しかし、実物不動産への投資と比べて取り組みやすい投資商品とはいえ、
他の投資商品と同じように注意すべき点があり、
検討にあたっては商品の特性も理解しておく必要があります。
そこで今回のコラムでは、不動産小口化商品の特徴をご紹介しながら、
投資目的に見合った投資商品の選び方を解説いたします。
投資額を少額にして取り組みやすくしているとはいえ、
集めたお金は対象となる不動産に投資されます。
投資したお金が不動産に投資される点では、実物投資と変わりはありません。
そして、多くの投資家が、小口化商品を選ぶ際に利回りを重視する傾向があります。
もちろん利回りも選定基準の重要な要素ではあるのですが、
それが利回りだけに注目している場合は、注意が必要です。
高い利回りには、それに見合うだけのリスクが隠れているからです。
そのリスクを認識したうえで、投資するのであれば問題ありませんが、
よく分からないまま投資をすると、気づかぬうちに損をしてしまう可能性があります。
たとえば、小口化商品のなかには6%、7%といった高い利回りを謳う商品もあります。
リスクが高いといわれる株式投資で、
配当利回りが3%以上で「高配当株」といわれることを考えると、
圧倒的な利回りであることが分かります。
これは裏返すと、それだけリスクが高いことを表しているのです。
たとえば、いま手取り利回りが6%を超えるような投資物件を見つけようとすると、
立地は都内ではなく、地方や郊外になります。
この場合、都内と比較すると賃貸需要は見劣りしますし、
空室が長期化するリスクも高くなります。
一方、築年数が浅い都内の中古ワンルームマンションは手取り利回りが3.5%程度ですが、
その分、賃貸需要が旺盛で長期にわたって安定した収入を見込むことができるのです。
小口化商品といっても、投資家から集めたお金は実物不動産に投資され、
その不動産には当然空室のリスクもあります。
一見すると、リスクが見えづらくなりますが、
この点もしっかりと把握しておく必要があります。
このようにリターンとリスクは表裏一体の関係にあるので、
小口化商品であっても、リスクをしっかりと理解したうえで、
投資を行うことが欠かせません。
また、小口化商品に投資する際には、
投資対象の不動産価額や設定賃料の妥当性にも注意が必要です。
売却益で利益を得る商品であれば、
不動産の取得価額や売却予定額が、周辺相場と比較して妥当な水準か。
賃料収入で利益を得る商品であれば、設定賃料が高すぎないか。
国が公表する地価公示や不動産ポータルサイトなどの情報と比較して、
設定額と実情に大きな差がないか調査してみることをお勧めします。
また、投資商品を選ぶ際にも、そもそも小口化商品が良いのか、
それとも実物不動産に直接投資をするほうが良いのか、
ご自身の投資目的に照らし合わせて選択することが大切です。
たとえば、あなたの投資の目的が、老後に備えた将来の収入源を確立することであれば、
実物不動産への投資は非常に有効な手段です。
小口化商品の場合、分配型の商品もありますが、
そもそもの投資額が少額であるため、高い利回りであっても収入は限定的です。
その分、購入口数を増やせば問題は解決しますが、
いまから資産形成をはじめる現役世代の多くは、
多額の現金を手元に持っていないことが大半でしょう。
この点、実物不動産の場合は、借り入れを利用できるため、
少額な自己資金でも多額の投資を行うことが可能です。
また、実物不動産であれば、目には見えない資産拡大効果も働きます。
500万円の投資資金がある場合で考えてみましょう。
購入する物件は、手取り利回り3.5%の2,000万円の物件です。
500万円を頭金として、残額の1,500万円はローンを利用して、購入します。
借入期間は35年、金利1.5%で計算します。
すると年間のローン返済額約55万円に対して、年間手取り家賃収入は70万円であり、
年額約15万円の収入が手元に残る計算です。
一方、利回り5%の小口化商品に500万円を投資した場合は、
年額25万円の収入になります。
一見すると、小口化商品のほうが優れているようにみえます。
ただ、実物不動産の場合、手元に残るお金は年額15万円ですが、
それと同時に1年間で約33万円分の元本返済も進んでいます。
これは、資産から負債を差し引いた純資産が33万円増えたことを表し、
手取り収入15万円と合わせて、48万円分の資産が拡大したということです。
さらに、運用によって生まれた収入を返済額軽減型の「繰上返済」に充てることで、
返済するたびに、手取り収入は増加していきます。
手元の家賃収入だけでなく、自己資金を加えて、繰上返済を行うことによって、
完済までの期間をさらに短縮することが可能です。
ひとたび完済したマンションができれば、
そこから得られる家賃収入を次のマンションのローン返済に充てることができ、
資産形成のスピードはさらに加速していきます。
ここまで、不動産小口化商品の注意点をお伝えしながら、
実物資産とその特徴を比較してきました。
小口化商品には、少額から投資できる点や分散投資ができる点など、メリットがあります。
しかし、投資商品であるためメリットばかりではありません。
くれぐれも気を付けたいのは、不動産に投資をしている事実であり、
小口化商品だからといってうまい話や高すぎる利回りがあるわけではないということです。
投資を検討する際には、利回りだけで判断するのではなく、
ご自身の目的に見合っているのか、そしてリスクまで含めて検討することをお勧めします。
日本財託 マーケティング部 セールスプロモーション課 K・K
◆ スタッフプロフィール◆
神奈川県横浜出身の46歳。
マーケティング部で、セミナーやHPの運営、メールマガジンの執筆や広報活動を通じて
東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝えている。
最近、ぎっくり腰を患いコルセットが手放せないが、
この機会にお腹の引き締め効果も密かに期待している。