渋谷区の小学校の『空』が100億円!?空から変わる東京の未来像
2024/10/17
先日、渋谷区の小学校の空に、
約100億円の値段がつけられ、話題を呼びました。
この「空」とは空中権のことです。
空中権とは、土地の上にある空間を使う権利のことです。
この権利を取引することで、
ある土地に建てられる建物の高さを他の場所で使うことができるのです。
東京では、再開発や高層ビルの建設において、
この空中権の取引が頻繁に行われており、
まさに「空から東京が変わろうとしている」と言えます。
そこで今回のコラムでは、
空中権の取引を通じて進む再開発の動向を紹介しながら、
東京の土地の希少性についてお伝えしていきます。
まずは、冒頭で紹介した小学校の事例について、
詳しく見ていきましょう。
この小学校は、日本有数の繁華街である渋谷センター街にほど近い場所に立地している
神南小学校です。
建物は60年が経過して、老朽化が進んでいたため、
児童の保護者からは建て替えの要望が出ていました。
学校の向かいには、築49年の14階建てマンションがあり、
こちらも建て替えが検討されていました。
渋谷区は、神南小学校が持つ未使用の容積率を隣接するマンションに移転することで、
新校舎の建設費として約100億円を調達したのです。
この容積率の移転により、建て替え前に14階建てだったマンションは、
33階建てのタワーマンションに生まれ変わる予定です。
マンションの規模が拡大された分、デベロッパーは新たな住戸を販売でき、
より多くの収益を見込むことが可能になります。
また、マンションの住民にとっても、新たな住戸が設置できることで、
建て替えに伴う負担も軽減されるメリットがあります。
今回の事例だけでなく、
空中権を活用した再開発事業は以前から行われてきました。
有名なところでは、2012年に改修を終えた東京駅の丸の内駅舎があります。
東京駅上空の容積率を、
東京ビルディングや新丸の内ビルディングなどへ移転する形で空中権が取引され、
約500億円もの資金が調達されました。
また、2018年に完成した日本橋高島屋の新館も、
空中権を活用した再開発の一例です。
高島屋の本館は国の重要文化財に指定されており、
建て替えが不可能なため、この本館部分の空中権を利用して、
隣接地の新館を高層ビルに建て替えました。
このほか、これから再開発が本格化するエリアでも、
空中権の取引が行われています。
先ほどご紹介した高島屋がある日本橋エリアでは、
日本橋の直上を走る首都高速道路の地下化計画が進行中です。
地下化後の地上空間を商業施設として活用するため、
空中権の取引による再開発が進められています。
また、再開発のなかでも特に注目されているのが、神宮外苑再開発です。
東京ドーム6個分の広さを誇る28.4ヘクタールのエリアで、
秩父宮ラグビー場や神宮球場の建て替えをはじめ、
高さ190メートルと185メートルの超高層ビルが建設されるなど、
大規模な再開発が行われる予定です。
周辺の樹木が大量に伐採されるため、反対の声もあり、
再開時期は未定ですが2036年の完成を目指しています。
この再開発の総事業費3490億円のうち、
空中権の取引によって、約1300億円の価値が生み出される見込みです。
こうした空中権の取引の多くは、都市再生特別地区で行われます。
都市再生特別地区では、用途や容積率などの規制を解除し、
土地の高度利用が促進されています。
国土交通省のデータによると、全国に118地区あるうち、
約半数の58地区が東京に集中しています。
万博開催に向けて準備が進んでいる大阪は7地区、
名古屋は9地区と東京だけが突出しているのです。
そもそも空中権がこれだけの価値を持つのは、
東京の土地の価値が非常に高いからです。
東京は、言わずと知れた商業やビジネスの中心地であり、
いつも多くの人で賑わっています。
すでに地上には、新たな建物を建てる場所がほとんど残っていないため、
開発は水平的な拡張に限らず、
空中権を活用して垂直に成長する形で広がっています。
空中権は、まさに東京の再開発を「空から変える」現象を生み出しています。
そして、空中権を活用して再開発が進めば、都市の魅力が向上し、
さらに東京の土地の希少性は高まるでしょう。
空から変わる東京の新しい姿に今後も注目です。
日本財託 マーケティング部 セールスプロモーション課 K・K
◆ スタッフプロフィール◆
神奈川県横浜出身の46歳。
マーケティング部で、セミナーやHPの運営、メールマガジンの執筆や広報活動を通じて
東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝えている。
仕事のお昼休憩を一緒にとった際、同僚の女性に勧められ、数年ぶりにポケモンGOを再開。毎日届くギフトに励まされながら続けていましたが、
久しぶりに会った際、お礼を伝えると「何のことですか?」と意外な返答。
その瞬間、実はギフトを交換していた相手は、小2になる同僚の子どもだったことに気づきました。