郊外から都心へ移転するキャンパス! 生き残りをかけた大学の取り組みが賃貸需要に及ぼす影響とは

2024/10/24

近年、地方の私立大学で入学者数の定員割れが増えています。

新潟県内の4年制私立大学では、
2024年度、15校のうち実に13校で定員割れとなりました。
開設初年度の北里大学健康科学部も定員割れをし、前年度より3校増加。

また、広島県内の私立大学でも、14校中12校が定員割れとなっています。
若者人口が減少している中、学生数も減少傾向にあり、
大学の運営は厳しい局面に立たされています。

各大学では、生き残りをかけて、学生に選ばれるよう
通いやすい場所へのキャンパスの移転や教育・研究レベルの向上を目指しています。

そこで今回のコラムでは、学生に選ばれるための大学の取り組みと
多くの大学が集まる東京の賃貸需要の展望をお伝えいたします。

まずは、大学のキャンパス移転の動きについて、見ていきましょう。

キャンパスの郊外から都心部への移転は、
志願者数の増加に繋がっているという実績があります。

2005年から、埼玉県朝霞市から都心へのキャンパス移転をした東洋大学では、
その2年後には約4500人の志願者の増加につながりました。

その後、コロナ禍の影響もあって志願者を落とした時期もありましたが、
2024年の入試では、志願者が4年ぶりに10万人を超えました。
移転前の2005年の志願者数が約55,000人ですが、ほぼ倍増しています。

受験者数が減少傾向にある中、都心部へのキャンパス移転したことが、
志願者が増加の一因となっているのです。

東洋大学に続き、ほかにも多くの大学がキャンパスを都心に移転しています。

最近では、2020年に専修大学が九段下駅近くの神田キャンパスに、
16階建ての新校舎を増設しました。

新校舎には、これまで神田で学んでいた法学部の学生に加え、
川崎の生田キャンパスから移転してきた商学部と、
2020年新設の国際コミュニケーション学部の学生が学んでいます。

商学部と国際コミュニケーション学部、合わせて約2800人の学生が
新たに神田の街にやってきました。

2023年には、中央大学法学部が、
八王子市の多摩キャンパスから文京区の茗荷谷キャンパスに移転しました。
キャンパス移転に伴い、法学部の学部生・院生の約6000人が文京区に移動しました。

こうしたキャンパスの移転効果を期待して、
大学のキャンパス移転は、今後も予定されています。

2025年4月、東京理科大学の薬学部は、千葉の野田キャンパスから
東京の葛飾キャンパスに移転し、約1000人の学生が都内にやってくる予定です。

さらに、法政大学の経済学部は、2030年度を目途に、
町田市の多摩キャンパスから千代田区の市ヶ谷キャンパスに移転する予定です。
約4000人の経済学部の学生が千代田区に移動することが見込まれています。

このようにキャンパス移転は今後も計画されているため、
東京は、これからも多くの学生が集まる街になっていくと考えられます。

また、継続して学生を集めていくためには、
キャンパスの移転だけではなく、大学教育の質を上げることもポイントです。

先日、英国の教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)は、
世界の大学を順位付けした「世界大学ランキング」の2025年版を発表しました。
日本の大学は、上位200校の中で5校がランクイン。
トップの東京大学は、昨年より順位を一つ上げた28位でした。

THEはランク外の大学について、
「研究の質の低下や学生数の減少など複数の課題に直面している」と懸念を示しています。

一方で、教育や研究のレベルを上げるには原資が必要です。
これまで以上に大学には「稼ぐ力」が求められているのです。
では、「大学の稼ぐ力」とは何でしょうか?

ひとつは、収入源の多様化を目指すことです。
東京大学を例に見ていきましょう。

近年、東京大学では企業と連携して研究を進めていく「産学連携」を強化しています。
2018年には、ダイキン工業株式会社と「産学協創協定」を締結し、
ダイキン東大ラボを開設することとなりました。
この協定では締結の2018年からの10年間で、100億円の資金が拠出されるといいます。

また、国際的な研究ネットワークの構築を進める動きも見られます。

2019年からカナダのオタワ大学フォトニクス研究センターと、
半導体結晶、高効率太陽電池に関する共同研究を展開しています。
期間は5年間で、協同内容には、教授や研究員の交流と合わせて、
外部資金の獲得も挙げられています。

このように、大学内だけではなく、外部組織とうまく協同することで、
収入源の多様化を目指しています。

しかし、上記のような施策をとることができる大学は多くありません。
もともと組織力や地力のある都内大学が中心になってくると考えられます。

文部科学省が発表している「令和4年度の大学等における産学連携等実施状況について」の調査では、民間企業からの研究資金等受入額で、東京大学が1位でした。

上位10校には旧帝大の7校が名を連ねており、それ以外の3校は
6位の慶応義塾大学、8位の東京工業大学、9位の順天堂大学と、
すべて都内にキャンパスがある大学です。

また、大学の稼ぐ力の強化のために、授業料を値上げする動きがあります。
東京大学は9月に、授業料の値上げを決定しました。

しかし授業料の値上げによって学生数を減らさないためには、
奨学金制度の拡充も不可欠です。

東京大学は、授業料の値上げと併せて、授業料免除の所得制限を400万円以下から
600万円以下に拡大することを発表しました。

現在、日本学生支援機構の給付型奨学金の対象は低所得層が中心です。
授業料を値上げするのであれば、大学独自の奨学金制度を備える必要がありますが、
資金力が乏しい大学では困難で、地方の大学では授業料の値上げに
踏み切れていないのが実情です。

このように、キャンパスの移転や教育・研究の質の向上も実現できれば、
より多くの学生が集まり、大学の存続も強固なものとなるでしょう。

こうした取り組みで先行しているのは、やはり東京の大学です。

教育環境が充実している大学は今後も東京に集中することが考えられ、
それに伴い学生も東京へと集まってくると考えられます。
少子高齢化が進む中でも、東京の学生の賃貸ニーズを期待することができます。

また、大学教育の充実は日本の学生だけでなく、海外の留学生からの引き合いも増やし
それが東京の賃貸需要にもつながっていきます。

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ご検討されてはいかがでしょうか。

日本財託 インサイドセールス部カスタマーサクセス課 Y・H

◆ スタッフプロフィール ◆
兵庫県芦屋市出身の24歳。
オーナー様の経済的自由の実現に向けて、メールやお電話で情報配信をしています。

先日久しぶりに兵庫県の実家に帰りました。
コンビニに立ち寄った際、おにぎりの海苔が味付け海苔であることに、
懐かしさを感じました。
個人的には味付け海苔の方が好きなので、もし機会があればぜひ食べてみてください。

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