金利の高いローンから繰り上げ返済するのは間違い!?キャッシュフローを最大化するK%とは

2025/02/27

不動産投資で効率的に収益物件を増やしていくには、
ローンの繰り上げ返済がポイントになります。

自身の資金による繰り上げ返済に加えて、
ローン完済後の家賃収入も次のマンションのローン返済に充てることで、
さらにローン完済のスピードは加速していきます。

このとき、問題になるのが複数のローンがあるときに、
どちらのローンから先に返済したほうが、
資産形成に有効かという点です。

そこで、今回のコラムでは、
繰り上げ返済の優先順位を見極めるための指標「K%」についてお伝えします。

まず繰り上げ返済には、
「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの種類があります。

期間短縮型は、
毎月の返済額を変えずに返済期間を短縮することで、
総返済額を抑える方法です。

一方、返済額軽減型は
返済期間をそのままに、毎月の返済額を減らすことができます。

つまり、返済額軽減型の繰り上げ返済を行えば、
ローン完済を待たずに、キャッシュフローを徐々に改善していくことができるのです。

そのため、キャッシュフローを再投資に充てることで
資産形成を効率化するという観点では、
同じ繰り上げ返済でも、返済額軽減型を選択したほうが有利になります。

ここで問題になるのが、
冒頭でお伝えしたように、複数のローンを異なる条件で借り入れていた場合に、
どのローンから返済を進めていくことが望ましいかということです。

この繰り上げ返済の判断基準として有効な指標が「K%」です。

K%とは、ローン残高に対する年間返済額の割合を示す指標で、
繰り上げ返済の優先順位を決めるために役立つという意味で、
「Key(重要な)%」とも言われています。

K%は以下の計算式で算出されます。

・K% = (ローン年間返済額 ÷ ローン残債)× 100

このK%の数値が高いほど、返済の進みが速く、
繰り上げ返済の効果が大きいため、優先して返済すべきだと判断できます。

2つの物件事例をもとに実際にシミュレーションしてみましょう。
A物件は残債が2,000万円、金利が2%、借入期間が25年です。
一方、B物件の残債は600万円、金利が1.5%、借入期間が10年とします。

一見すると、金利の高い物件の方から返済したほうが
効果が大きいように思えます。

では実際にそれぞれK%の値を計算してみましょう。

A物件の年間ローン返済額は約101.7万円となり、残債が2,000万円ですから、
K%の値は5.09%。
B物件の年間ローン返済額は約64.6万円で、残債が600万円なので
K%の値は10.77%です。

B物件のほうが、K%の値は大きくなり、
繰り上げ返済の優先順位は高いと判断できます。

具体的に、100万円の繰り上げ返済を行ってみましょう。

するとA物件の残債は2,000万円から1,900万円に減少し、
年間返済額は約101.7万円から97.3万円になります。

支払い負担の軽減効果は、年間で約4.4万円。
月額に換算すると約3,700円です。

一方、B物件の残債は600万円から500万円に減少し、
年間返済額は約64.6万円から54.2万円、
支払い負担の軽減効果は年間で約10.4万円です。
月額に換算すると約8,700円となります。

A物件と比較するとB物件のほうが、
返済額軽減型の繰り上げ返済によるキャッシュフロー改善効果が、
2倍以上も大きいことが分かりました。

ただし、K%だけをみていると、
金利上昇リスクを見落とす可能性があります。

K%は、年間返済額を基準に計算されるため、
金利が上昇しても実際に返済額に反映されるまで、
時間がかかるからです。

多くの金融機関では、
金利が上昇しても毎月の返済額が急激に増えないよう
「1.25倍ルール」が設けられています。

これは金利が上昇しても、すぐには返済額が1.25倍よりも増えないというルールです。

ただし、利息の支払いが先送りになるだけで、
元金の減りが遅くなるという問題の先送りとも言えます。

そのため、まずは1.25倍ルールを考慮せず、
上昇後の金利をもとにK%を計算します。
次に、キャッシュフロー改善効果の高いローンを優先して繰り上げ返済することで、
金利上昇リスクを考慮した、ローン返済の優先順を決めることができます。

先ほどのA物件の金利が2%から3%に上昇したケースを比較してみましょう。

年間返済額は約101.7万円から約113.8万円に増加し、
それに伴いK%の値も5.09%から5.69%に上昇します。

A物件の年間返済額は約12.1万円増加していますが、
それでもK%の値はB物件のほうがまだ高いため、
B物件を優先して繰り上げ返済するのが資産形成に有利だといえます。

このようにK%をもとに繰り上げ返済の優先順位を判断することで、
キャッシュフローが改善し、資産拡大のスピードが加速していきます。

確定申告のこの時期に、まずはご所有物件のK%を算出して、
ご自身にとって最適なローンの返済戦略を検討してみてはいかがでしょうか。

日本財託 マーケティング部 セールスプロモーション課  K・K

◆ スタッフプロフィール ◆
神奈川県横浜出身の46歳。マーケティング部で、セミナーやHPの運営、
メールマガジンの執筆や広報活動を通じて
東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝えている。
確定申告のシーズンですね。今日から準備に取り掛かろうと、
部屋の掃除を始めたら1日が終わるという週末を繰り返しています。

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