他人任せは罠への入口!かんぽ問題から考える不適切営業への防衛策
2019/08/29
この夏、世間を騒がせた、かんぽ生命による不適切な金融商品販売。
今週の週刊東洋経済では「かんぽの闇 金融商品の罠」として、こうした営業や金融商品に警鐘を鳴らす特集を行っています。
「高齢者の話でしょ」「私は大丈夫」と他人事だと思った方は要注意です。
残念ながら、不動産投資の世界にも不適切な商品販売や強引な営業といった手法が少なくありません。
今回は、報じられている金融商品営業の事例との共通点から、不動産投資を検討する際に遭遇しうる「罠」に注意すべき3つのポイントと防衛策をお伝えします。
一つ目は「目的」です。
紙面ではかんぽの営業マンが言葉巧みに
商品を次々と売りつけている様子が説明されていました。
契約獲得のためにトークを切り替えて目的自体を変えてしまうのです。
加入時には死亡保障だったものが、巧みな営業トークによって、数年後には保険金の受取人とする生前贈与による相続税対策を目的とした契約にすり替わっているといった事例です。
しかも本人が生前贈与の仕組みすら理解せずに保険料を支払っており、相続税対策にすらなっていない事例もあったようです。
解約と新規契約を繰り返すたびに、余計なお金を支払わされていることになります。
不動産投資を勧める営業でのよくあるトークは、「節税できます」「保険になります」といったものです。
不動産投資による節税効果は短期的なものでしかありません。
また、団体生命保険による万が一の備えとしての機能はありますが、あくまでも副次的なものです。
それだけを目的に、収益を生まない不動産を購入してしまうのはリスクが大きすぎます。
私たちに取れる防衛策は、始める前からその後まで、運用の目的を明確化して、ぶらさないことです。
不動産投資の目的はあくまでも、長期安定収入を得るための資産作りです。
二つ目は、「テック」です。
不動産の世界でも、AIの活用といったいわゆる「不動産テック」をうたう会社が増えています。
しかし、そのテックの中身を見ると、あくまでも不動産会社の業務効率化を行っている範囲にとどまります。
「AIにお任せ」「全自動で運用」は、そもそも不動産投資では不可能です。
不動産投資はお部屋に入居者が生活していく以上、その生活をサポートするためには人が介在する必要があります。
雰囲気に惑わされないようにする防衛策は、テックの限界を正しく認識することです。
たとえば、AIがビッグデータから判定した家賃額はたしかに適切かもしれません。
だからといって、それをインターネットに掲載すれば簡単に空室が埋まるわけではありません。
適切で迅速な内装工事や、空室情報の発信における工夫、賃貸仲介担当者の熱意、スムーズな審査や契約手続き、といった様々な要素や人が関わって、初めて家賃が振り込まれるのです。
三つ目は「利益を生まない商品」です。
かんぽ生命の保険商品は、運用期間をトータルで見ても元本割れしてしまうなど、他社と比較して商品力が乏しいと指摘されています。
だからこそ営業担当者はしっかりと商品の中身を説明せずに、強引な売り込みに走った側面もあるようです。
不動産投資でも同じような例は、話が尽きません。
たとえば、利回りの高さだけアピールして、地方・郊外でのアパート経営における空室リスクを説明しない営業。
また、シェアハウス運営会社が倒産に至り、数多くのオーナーが困ることとなった「かぼちゃの馬車」の事件も記憶に新しいところです。
「高利回りで家賃保証だから安心」のはずが、需要と供給が全く釣り合っておらず、賃貸経営が成立しない状況だったことが隠されていました。
私たちが取りうるこういった商品への防衛策は、まずは比較検討です。
セールストークをうのみにせず、自分で相場を調べてみるのもお勧めです。
問い合わせてもいないのに、向こうから売り込みに来られた物件情報はまず疑ったほうが良いでしょう。
ご紹介した3つに関わらず、罠に陥らないための最大のポイントは「自分でしっかりと考えること」です。
アドバイスをそのまま受け入れるのではなく、自分自身でアドバイスを消化して、投資方法を吟味する必要があります。
特に、保険以上に不動産投資は、一度始めたら、辞めにくい特徴があります。
だからこそ、物件の価格や利回りだけに目を向けたり、ひとりの担当者からの話だけを決断の材料にしたりするのは、慎重になるべきです。
まずはセミナーや書籍、複数社との面談を通じて、それぞれの考え方を取り入れることです。
その上で、自分なりの投資指針を作り、信頼できるパートナーと共に、堅実な不動産投資を始めてみてはいかがでしょうか。
日本財託 マーケティング部セールスプロモーション課
横尾 幸則(よこおゆきのり)
◆ スタッフプロフィール ◆
埼玉県大宮市出身の31歳。
マーケティング部セールスプロモーション課で、セミナーやHPの運営、メールマガジンの執筆や広報活動を通じて東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝える。
お腹周りの成長が止まらないので、夏期休暇中にシェイプアップツール「ゆらこ」を導入するも、正直最近あまり揺れていない。