リノベーションすべきか、それともしないべきか!リノベーションの効果を判断する2つの基準
2017/02/16
私たちはお客様から空室解消のご相談をいただいくことが多いのですが、
単に空室を埋めるだけではなく、
物件の調査を行った結果、高い収益改善の効果が見込めれば、
リノベーション工事の提案を行うこともあります。
ただ、費用のかかるリノベーション工事については、
否定的な考えを持っているお客様もいらっしゃいます。
多額な費用が必要な上に、
投下資金の回収に時間がかかることがネックになるようです。
確かに、費用対効果を考えると、
いまリノベーション工事をした方が良いのか、
それとも、現状のまま募集を続けた方が良いのか、
判断することは簡単ではありません。
そこで、今回のコラムでは、
当社が実際に行ったリノベーション工事の事例を元に、
リノベーション効果を判断する2つの基準について
お伝えしていきます。
ご紹介する事例は、東京メトロ東西線早稲田駅から徒歩9分、
早稲田大学にほど近い場所にある一棟マンションです。
築29年の鉄筋コンクリート造5階建ての
総戸数5戸のマンションです。
各フロアに1部屋ずつあり
1階から3階は賃貸中、4階から5階部分は、
前オーナーが自宅として利用していたため空室でした。
この2部屋の空室を埋めて欲しいとお客様から、
入居募集のご依頼をいただいたのです。
早速、物件に足を運び、募集賃料を査定した結果、
4階の約40㎡ある部屋は11万円、
5階のメゾネットタイプ部屋は14万円でした。
実は、この物件は建物が竣工した当時から、
1度も大規模修繕工事が実施されていませんでした。
そのため、共用部の照明器具が外れたまま放置されていたり、
鉄部の手すりはサビだらけです。
外観だけでなく、室内も長年前オーナーが住んでいましたので、
壁紙は剥がれ、フローリングの床材も傷だらけです。
また、昭和を感じさせる真っ青な便器や、
膝を抱えるようにしなければ入浴できない狭い浴槽など、
現在のトレンドとは明らかにかけ離れた設備ばかりでした。
こうした悪条件を踏まえると、募集家賃は低くなりますし、
空室が長期化することも考えられます。
ただし、リノベーション工事を実施して、
マンションの外観と室内を一新することができれば、
家賃を上げ、さらに早期の空室解消も見込めます。
キッチンとバスルームは最新設備に入れ替え、
和室は洋室に変更、さらに押入れはウォークインクローゼットに
変えることにしました。
リノベーション工事費用は
4階と5階をあわせて総額700万円です。
このようなケースの場合、
あなただったらリノべ―ション工事を行うでしょうか?
それとも、元の部屋をリフォームするのにとどめて、
入居者を募集するでしょうか?
リノベーションの効果を判断するためには、
2つの基準があります。
1つ目の基準が、
リノベーション工事によって向上した収益力です。
先ほどのケースでリノベーション工事をおこなった場合、
4階は14万8000円、5階のメゾネットタイプの部屋は17万8000円で
募集することが可能です。
2部屋分の収入は32万6000円となります。
つまり、リノベーション工事前の募集家賃が
2部屋合計で25万円。
収益改善額は月額7万6000円で、
年間で計算すると91万2000円になります。
リノベーション工事の投下資金は700万円ですから、
利回りは13%です。
つまり、手取り家賃7万6000円の物件を
700万円で手にすることと、同じ効果が見込むことができるのです。
23区内で13%もの利回りを見込める
収益物件はありません。
これだけとってもみても、今回のリノベーションは魅力的な案件です。
2つ目の基準は、資産価値の向上です。
収益不動産の価格は、
収益還元法と呼ばれる評価法を用いて算出します。
収益還元法は、物件が将来生み出す収益力と
類似物件の利回り(還元率)を活用して、
不動産の価格を決定する方法です。
物件の生み出す収益力が高ければ不動産価格も高くなり、
収益力が低ければ物件の価格も安くなります。
そのため、リノベーション工事によって、家賃を上げることができれば、
物件の資産価値、つまり売却時の価格も上昇させることができます。
先ほどの物件で考えてみるとリノベーションによって、
年間91万2000円の収入アップを実現することができました。
近隣の類似物件の表面利回りは5.5%程度です。
この5.5%で増加した年間家賃収入を割り戻すと、
リノベーションの価値は約1,650万円になります。
リノベーション工事費用が700万円でしたから、
その倍以上の資産価値の増加に貢献してくれた計算です。
こうしてリノベーション工事の収益性と資産価値の向上を
考慮した結果、今回の工事を実施することになりました。
その結果、5階のメゾネットタイプの部屋は工事中に
お申し込みを頂くことができ、
4階のお部屋も工事完了後、わずか1週間で
次の入居者を決めることができました。
リノベーション工事というと、
通常のリフォーム工事と異なり高額になるため、
二の足を踏まれる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、正しく工事を行うことができれば、
収益力と資産価値の向上、早期の空室解消につながり、
不動産経営にとって大変効果的です。
また、手元にまとまった資金がなかったとしても、
金融機関から融資を受けて、
リノベーション費用をまかなうこともできるので、
効果が見込まれるのであれば積極的に活用してはいかがでしょうか。
リノベーション工事を実施するかどうか考えている方は、
今回ご紹介した2つの基準を元に検討してみてください。
日本財託管理サービス 賃貸営業部管理受託課 荒井 陽一朗(あらいよういちろう)
◆ スタッフプロフィール ◆
埼玉県さいたま市出身の25歳。
管理受託課にて、賃貸管理のご相談窓口として、
オーナー様に信頼のできる賃貸管理会社の大切さをお伝えしている。
真冬でもタンクトップでフットサルのプレーをして、
筋トレの成果を披露しているが、評判はいまいち。