法人化のコストを大幅圧縮!認知症対策に有効な「家族信託」の活用法
2017/08/10
昨年から施行された明日11日の「山の日」から、
お盆休みが始まる方も多いのではないでしょうか。
海水浴や山登り、遊園地に買い物など、
夏の過ごし方を考えるだけでも楽しいですよね。
実家に帰省し、家族とゆっくり過ごす
貴重な時間にもできます。
両親や兄弟、そして親族一同集まる良い機会だからこそ
話せることも多いと思います。
相続もそのひとつです。
実家を誰に継がせるか、所有している不動産や土地などを
どのように相続するかについて、
あなたも悩まれているかもしれません。
相続対策には状況に応じて、多くの手法がありますが、
たくさんの不動産を所有している方や多額の資産をお持ちの方に
有効な対策が「法人化」です。
当社ではこれまで、相続対策の手法として、
家族信託をご紹介してきました。
実は、家族信託は相続対策や認知症対策だけでなく、
法人化に伴う経費の圧縮にも効果を発揮します。
そこで、今回のコラムでは、
家族信託を活用した法人化のメリットを
ご紹介したいと思います。
まずは、なぜ法人化が相続対策に
有効なのかご紹介します。
収益不動産をお持ちの方で考えてみたいと思います。
この場合、個人所有のままであれば、
収益不動産から得られる家賃収入は
全額オーナーの個人所得となり、財産も増えていきます。
これを、法人を設立して収益不動産の名義を会社に移すことで、
収益不動産から得られる家賃収入を給与として
オーナーや役員(子や孫などの家族)に分配することができ、
生前に財産を移転することができます。
また、役員に支払う給与は全額会社の経費として取り扱える上に、
給与を受け取る側は不動産所得ではないため、
給与所得控除が適用されるので、
さらに節税メリットを享受できます。
メリットのある法人化ですが、
設立や財産の移転に伴うコストも発生します。
法人化に伴う代表的なコストは、
法人の設立費用や不動産の移転コストにあたる登録免許税や
不動産取得税などがあげられます。
不動産の登録免許税は、固定資産税評価額の1.5%~2%、
不動産取得税は、固定資産税評価額の3%~4%です。
固定資産評価額が1000万円の
収益不動産を6戸所有しているAさんの場合で考えてみます。
一般的な手法で法人化を行い
所有権を個人から法人へ移転すると、
1戸につき登録免許税がおよそ15万円、
不動産取得税はおよそ30万円がかかり、
6戸を合わせると約90万円の登録免許税と
約180万円もの不動産取得税が発生します。
移転に伴う税金だけでも合わせて約270万円が必要になると、
いくら相続対策に効果があるといっても、
初期費用の負担額は無視できません。
では、家族信託を活用すると、
こうした初期費用をどれだけ抑えることができるのでしょうか。
家族信託とは、保有する不動産や預金等の資産を
家族などの第三者に託して、
財産を管理・運営する手法です。
例えば、所有している収益不動産の管理や運営を
信頼できる家族に任せ、本人は家賃収入などの利益を
受け取るように設定することができます。
この利益を受け取る人を、
家族信託では「受益者」と呼び
財産の管理運用を委託する人を「委託者」、
そして、管理運用を任された人を「受託者」と呼びます。
家族信託を法人化に活用すると、
まず収益不動産の所有者であるAさんを「委託者」兼「受益者」、
そして、「受託者」をAさんの息子さんであるBさんに設定します。
その後、Aさんの受益権を新たに設立した法人に売却します。
受益権を売買した場合、
法人には不動産取得税の負担はなく、
登録免許税も通常の売買の5分の1に圧縮することが可能です。
また、万が一、売買の前に委託者であるAさんが
ご高齢で認知症になってしまったとしても、
不動産の管理運営は受託者である息子のBさんに委ねられているので、
手続きが滞ることもありません。
このように、法人化に家族信託を組み合わせることで、
移転に伴うコストを抑えることが可能になります。
今回ご紹介したケースは、
数ある家族信託の活用事例の一つです。
家族信託は、ご両親のこれからの生活を豊かにするものであり、
亡くなられた後の財産承継の仕方まで自由に設計できる
画期的な財産管理の手法です。
特に、認知症患者数800万人時代を迎えるといわれるなか、
認知症に対する切り札としても、
テレビや雑誌でも大きく取り上げられ始めています。
お盆休みに家族で集まるこの機会に、
ぜひ家族の将来について話し合って
みてはいかがでしょうか。
家族信託が切り札になるかもしれません。
日本財託 資産コンサルティング部 家族信託コーディネーター
横手 彰太(よこてしょうた)
◆ スタッフプロフィール ◆
鹿児島県阿久根市出身の45歳。
資産コンサルティング部アセットプランニング課のメンバーとして、
相続対策や法人設立など、お客様の資産を守り増やしていく提案を行っています。
最近はまってるのは小学1年生の息子と行く登山です。
先週、木曽駒ケ岳を一泊して初登頂。
息子の名前が歩岳(ほたか)だけに、いずれは西穂高岳を登りたいと思っている。
『相続対策は「東京中古ワンルーム」と「家族信託」で考えよう』
https://www.nihonzaitaku.jp/souzoku/book/