相続トラブルを未然に防ぐ家族信託活用法!
2018/03/22
家族信託のご紹介をはじめてから
約1年半が経過しました。
これまで50名を超えるお客様のご契約に携わらせて頂き、
今月は過去最多となる8件のご契約をお手伝い致しました。
最近では特にお問い合わせの数も増えてきており、
注目の高さを肌で実感しています。
通常、認知症が重症化して判断能力が低下すると、
契約行為ができなくなります。
このとき、あらかじめ家族信託を利用しておけば、
契約内容で定めた財産の管理運営を、子どもに任せることができます。
これによって、財産を凍結させることなく、
財産から得られた利益を両親のために活用することができます。
家族信託を利用するには、
認知症が重症化する前に行うことが必要です。
ただ、両親が認知症になってしまったからといって、
まったく使い道がないわけではありません。
特に考えて頂きたいケースが
片親が認知症を患い、
もう片親が元気でいるケースです。
実は、こうした場合で相続がおきると、
思わぬトラブルを招くケースがあります。
今回のコラムでは、
家族信託を活用して相続トラブルを回避した
事例をご紹介します。
先日、私の書籍の読者から
ご連絡をいただきました。
相談者は東京在住の40代の男性Aさん。
70代になるご両親は遠く離れた離島に住んでおり、
認知症の母親を高齢の父親が自宅で介護する、
いわゆる「老々介護」を行っていたのです。
ただ、介護をされている父親も持病を持たれており、
体調も万全とはいえない状況です。
仮に持病が悪化したり、父親も認知症を発症した場合、
東京に生活の拠点がある息子Aさんやそのほかの兄妹が
実家に戻って介護をすることは難しい状況でした。
そのため介護施設への入居を検討されていたのです。
また、もう一つの問題は、
万が一、父親が先に亡くなってしまうケースです。
遺言を残さずに亡くなった際には、
遺産分割協議が行われます。
ただし、認知症の母親は判断能力がないため、
このままでは協議に参加できません。
そこで、母親に法定後見人をつけて、
遺産分協議を行うことになります。
認知症の母親が相続した財産は
後見人が監督することになります。
こうなってしまうと、
いざ母親の介護施設の入居のために自宅の売却をしようにも、
家庭裁判所の許可を得る必要があります。
もし、売却ができなければ、
介護費用は子どもたちの負担となってしまう可能性がありました。
さらに法定後見人が付くと、
毎月3万円~5万円の費用が発生してしまいます。
これが10年間続いてしまうと、
360万円~600万円もの大金を
支払うことになってしまうのです。
遺言を利用すれば、
認知症の母親ではなく、子供たちに実家を残すこともできました。
ただ、父親が亡くなる前に認知症になってしまうと、
契約行為ができなくなりますので、
結局実家を売却することはできず、
同じように介護資金の工面に苦労することになります。
そこでご提案したのが、家族信託です。
父親とAさんとの間で家族信託契約を結ぶことができれば、
実家を含めた資産の管理をAさんに任せられます。
これで、お父様が認知症になってしまっても、
Aさんの権限で委託された資産を管理運用することが可能です。
万が一のことがあってもご両親の財産から
介護費用を捻出することが可能となります。
「これだ!」とAさんにはご納得いただきました。
後日、Aさんと共に実家のある離島へ向かい、
ご両親と面談を行いました。
ご両親も先々のことに頭を悩めていたものの、
家族信託に希望を見いだされました。
さらにAさんから
「自分のためというより、
孫のために検討してほしい」
と話されたことをきっかけに、
スムーズに話が進むようになりました。
ひと通りの手続きを終え、
ご両親もスッキリされた様子でした。
なにより遠く離れて暮らす息子さんが
「家族信託をすると
本に書いてあった通り、
家族の絆が深まりますね」
と話されていたことが印象的でした。
今回の事例では、お父様が認知症になる前に
家族信託を選択されたことによって、
資産の管理を息子さんに任せることができました。
同居しているならまだしも、
地方で離れて暮らす両親とは
年に一度の帰省の機会にしか会わないという方が
多いのではないでしょうか。
「次に会った時に話そう」
そう思っていた矢先、
持病の悪化や怪我がきっかけになって、
認知症を発症してしまうケースもあります。
とはいえ、いきなり介護やお金の話をしてしまうと
敬遠されてしまうご両親もいることでしょう。
そんな時こそ
私たちにご相談ください。
離れた場所にお住まいでも足を運び
ご家族の皆さまと同じ目線でお話をさせて頂き、
最適な道をご提案させていただきます。
家族信託の基本的な考え方は、
ご両親の豊かな生活をこれから先も維持していくこと。
そして、それがご両親を支えるご家族の負担を
軽くすることにもつながります。
ご両親の認知症や介護でお悩みであれば、
まずはぜひ一度ご相談ください。
日本財託 資産コンサルティング部 家族信託コーディネーター
横手 彰太(よこてしょうた)
◆ スタッフプロフィール ◆
鹿児島県阿久根市出身の45歳。
資産コンサルティング部アセットプランニング課で、
相続対策や法人設立、家族信託など、
お客様の資産を守り増やしていく提案を行っています。
最近家族で米村でんじろう先生の『サイエンスショー』に行きました。
大人も楽しめる内容になってますので、
お子様がいる方は、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
最新著書『親が認知症になる前に知っておきたいお金の話
いざというときに困らないための「家族信託」』
https://www.nihonzaitaku.jp/souzoku/booklet/
◆ 家族信託に関するコラムはこちらで掲載中
『家族信託と相続 家族の想いを叶える相続』
https://shintaku-souzoku.jp/category/kazoku-shintaku