新興企業で五反田・田町がアツイ!オフィス事情から見る東京の賃貸市場

2018/05/10

先月、森トラストが今後の大規模オフィスビルの

供給量の調査結果を発表しました。

今後3年間に、再開発で東京23区に供給される
大規模オフィスの延床面積は420万平米。

丸ビルと同じ大きさのビルが、
26棟も建ってしまうほどの規模です。

再開発はエリアの就労人口を増やし、
賃貸需要を生み出します。

しかし、こんなにも短期間に高層ビルが建ち並ぶと、
需要が追いつかないのではないかと、
不審がる方もいらっしゃるかもしれません。

『オフィス2018年問題』として、
空室の増加を懸念する声も出ていますが、
実際のところどうなのでしょうか。

今回は、東京のオフィス需要の現状と未来から、
賃貸市場への影響を考えていきたいと思います。


結論からいえば、
現状の23区のオフィス需要は底堅いと言えます。

人・モノ・金・情報が集まり続ける東京は、
ビジネスに最適な環境だからです。

三鬼商事が先月発表した都心5区の
3月のオフィス空室率は2.80%ですから、
ほとんどが入居中になります。

またオフィス平均賃料は51か月連続で上昇。
これはオフィスを借りたいという企業からのニーズが、
高いことを意味しています。

すでに、資本金10億円以上の企業の半数、
上場企業の半数、そして外資企業の4分の3は、
東京に本社を置いています。


では、大規模オフィス供給が増えていく今年以降の
オフィス需要はどうなるのでしょうか。

実は今年と来年にかけて竣工する大規模オフィスの多くで
すでにテナントが決まっていると言います。

たとえば、
地上35階、地下4階建ての渋谷ストリームでは、
オフィスフロアのすべてにグーグル日本本社が入居する予定です。

再開発が完了して、蓋を開けてみると空室だらけ、
という可能性はかなり低いようです。


一方、『オフィス2018年問題』では、
企業が新築ビルに移ることで、既存のビルの空室が
増えてしまうことを問題としています。

しかし、既存ビルにはまた別のオフィス需要があります。

高額賃料の大規模オフィスビルに
入居できるのは、資金に余裕のある大企業が中心です。

一方、賃料が割安なオフィスビルには中小企業や
起業して間もないスタートアップ企業が入居します。

しかも再開発のほとんどは、
既存街区のそういった小さなビルを取り壊して行うものです。
そのまま既存ビルが温存されるわけではないのです。


将来のオフィス需要と賃貸需要を考える上で、
見逃せないのは
スタートアップ企業に関するトレンドです。

スタートアップ企業が集まることで、
新たに注目が高まっているエリアが出てきています。

その一つが「五反田」です。

少し前まで、IT企業といえば、
渋谷か六本木というイメージがありました。

しかし、渋谷や六本木のオフィス賃料はぐんぐん上昇し、
スタートアップ企業の懐事情では厳しい環境です。


そこでいま、賃料が割安な五反田に、
成長著しいスタートアップIT企業が根付き、活気づいています。

わずか5年ほどでの間で、
クラウド会計ソフトのfreee、太陽光発電仲介のグッドフェローズ、
個人スキル売買サービスのココナラといった企業が集まりました。

会社同士の距離も近く、活発な交流も生まれています。


同様にスタートアップで注目されるエリアが、「田町」です。

同じ港区の六本木や虎ノ門、品川などに比べ、
割安にオフィスを構えられる点が支持されています。

ここにはAI開発のヒーローズ、ミドリムシ製品のユーグレナ、
スマートロックのフォトシンスなどの成長著しい企業が集まっています。

特に、同じ田町に本社を置く会計アプリ大手のマネーフォワードは、
この3年で社員数が3倍以上に急拡大し、先日マザーズに上場もしています。


田町は空港や新幹線へのアクセスはもちろん、新興企業に資本を投下する
ベンチャーキャピタル企業にも近いという利点もあります。


東京には、2016年度だけでも約3万4000社の
新しい会社が誕生しています。

これは都道府県別でみると、
2位の大阪の3倍にあたる数です。

また、昨年までの3年間でIPO(新規上場)をした
280社のうち、3分の2が東京に本社を置いています。

これらの企業が成長に合わせて、
新たな雇用と賃貸需要を生み出します。


加えて、スタートアップ企業に
「職住近接」志向の会社が多いことも見過ごせないポイントです。

たとえば前述のFreeeやグッドフェローズは、
会社から指定した距離以内に住む社員に、
家賃補助を出しています。

オフィス賃料だけでなく、
五反田は住居の家賃も渋谷駅近辺に比べ割安で、
単身者にもやさしいエリアです。

住みやすさという観点では、五反田も田町も、
飲食店が豊富で独り暮らしの生活には困りません。

この職住近接の流れは、一過性のものではありません。

私鉄各社の通勤定期利用額のデータからは、
この10年で通勤距離が、
どんどん短くなっていることが分かっています。

郊外から都心へと人が移り続けているのです。


これまでのビジネス街だけでなく、
次々に新たなビジネスの拠点が生まれている東京23区。

ビジネスの好循環が回り続け、
オフィス需要そして賃貸需要を生み出す
東京都心であれば長期的、安定的な不動産投資が可能です。


日本財託 マーケティング部セールスプロモーション課
横尾 幸則(よこお ゆきのり)

 
◆ スタッフプロフィール ◆
 
埼玉県大宮市出身の30歳。
 
マーケティング部セールスプロモーション課で、
セミナーやHPの運営、 メールマガジンの執筆や広報活動を通じて
東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝える。
 
IPOに興味を持ち参戦を始めて早3年。
今年こそはと全件に抽選を入れ続けているが未だ朗報なし。

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