築20年の中古ワンルームが新たなマンションに生まれ変わる!建て替え再開発最新事例

2018/10/25

マンション投資を検討する上で気になることの一つは、

古くなったマンションの行く末です。

建物の寿命が尽きたら、
マンションはどうなってしまうのでしょうか。

住居として実用に耐えられなくなれば、
マンションは取り壊されます。

そのとき、
マンションオーナーには2つの選択肢があります。

ひとつは、土地の持分を新たな事業主に売却して、
まとまったお金を手に入れること。

もうひとつは、共同事業主として、
建て替え再開発事業に参加して
新しいマンションの所有者になる形です。

賃貸需要が底堅い都心のマンションなら、
それまで持ち続けていた期間の家賃収入も含めて
いずれの方法でも十分に元が取ることが期待できます。

また、都心の立地が良いマンションであれば、
物理的な耐用年数を迎える前に、
建て替えとなるケースもあります。

今回は現在進行中の、
建て替え再開発に参加することになった
マンションの建て替え事例をご紹介したいと思います。


今回、建て替え再開発に至った物件は、
JR「渋谷」駅から徒歩4分、
鉄筋コンクリート造のマンションです。

当社で当該マンションの1室を管理しています。

今年12月から取り壊しが始まりますが、
築年数はわずか20年。
建物寿命の面ではまだまだ利用できる物件です。

東急グループが推進する
渋谷駅周辺の大規模な6つの再開発計画の1つに
組み込まれました。

物件の周辺には、
旧耐震基準の商業ビルやマンションなどもあり、
様々な物件が混在するエリアです。

細い街路も多く、防災上のリスクがあり、
さらに、土地の有効活用が十分でないという問題がありました。

これらの問題改善と渋谷駅周辺の回遊性を高めるため、
東急グループが10年以上前から再開発計画を進めてきたのです。

2023年の完成を目指し、
2万6000平米もの広大な敷地で進む再開発事業は、
2棟の高層ビルがメインとなります。

オフィスや商業施設を中心とした37階建てのA棟、
そして渋谷駅を見下ろす高層マンションとなる
32階建てのB棟には住居170戸が入る予定です。


地権者として共同事業に参加すると、
現在の物件の評価額との差額を支払うことで、
B棟の1室を手に入れることができます。

当社が管理する物件は、
25平米、間取り1Kの区分ワンルームで、
再開発組合による時価評価額は、2830万円でした。

一方、地権者として割り当てられるのは、
高層マンションの17階~19階部分の1室です。

いずれも40平米前後の1LDKで、
価格は4000万円前後です。

今回ケースでは、時価評価額との差額である
約1300万円を支払うことで
新しい部屋の所有者となる予定です。

これは地権者向けの特別販売価格で、
周辺相場からすれば、本来の価格は、
6000万円はくだらないでしょう。

また、この部屋を賃貸に出したときの
相場家賃は家賃22万円前後を見込めます。

渋谷駅徒歩5分圏内の新築賃貸は
きわめて希少のため、場合によっては
もっと高く貸せるかもしれません。


ちなみに、この物件では借り入れ完済済みで、
ローンの支払いはありませんでした。

もし、ローン支払い中でも、
現在の家賃をもとに補償金が支払われるので、
返済をまかなうことができます。

この再開発では、現況の月額家賃12万5000円の
90%相当額を2023年の竣工までの5年分、
補償してもらえます。

権利変更に必要な諸経費の補償も含めて、
約700万円を一括で受け取れるのです。

良いことずくめのようにも見えますが、
事業に参加するのは、実はオーナーにとっても
それなりに手間暇がかかる話です。


まず再開発組合や、管理組合総会の資料を見て、
最新の情報をチェックする必要があります。

途中で計画が変更されれば、
補償額や、追加出費額が大きく変動する
可能性があるからです。

この再開発でも、当初、
地権者住戸は約60平米の予定で、
手出し額がもっと高額になる可能性がありました。

手付金1割を除いた残りの9割は5年後の
竣工時の支払いですが、この追加出費分の資金は
オーナーで工面する必要があります。

また、残債があれば、抵当権を設定している金融機関に、
建物を解体する旨の同意書へ
承認をもらわなければなりません。


そして、入居者の立ち退きをスムーズにするためには、
定期借家契約への切り替えが必要です。

一般的な賃貸借契約では、2年間の契約期間を終了しても、
オーナーからは正当な事由がなければ解約できません。

そのため、期限が終わった時点で終了できる
定期借家にしないと、無用な立ち退きトラブルが
発生する可能性があります。

煩雑な交渉や契約変更の手続きもありますので、
建て替えに関する議論が出てきた段階から、
賃貸管理会社に相談しておくことをお勧めします。


ちなみに、取り壊しになる物件は、当社で交渉して、
長年住んでいた入居者に定期借家に切り替えてもらい、
今月末には退去される予定です。


今回のように建て替え再開発に加わる物件は、
狙って買えるようなものではありません。

ただ、建て替えの需要が生まれるのは
土地の利用価値が高い東京23区だけです。

オリンピックを過ぎても、東京都心の再開発計画は
目白押しで、まだまだ終わりません。

また、再開発でなくマンション単独の建て替え事例も、
今後増えてくると予想されています。

以前コラムで取り上げた「四谷コーポラス」が好例です。

<築61年のマンション建替え事例で分かる!不動産投資は「立地が命」のその理由>
http://www.nihonzaitaku.co.jp/mailmag/category03/post-409.html

長期安定収入という面だけでなく、
将来の建て替えまで考慮するのであれば、
23区内の駅から10分以内の物件を選んでおくことをお勧めします。


日本財託管理サービス オーナー事務局 法務審査室
神山 直人(かみやまなおと)

◆スタッフプロフィール

埼玉県川口市出身の40歳。

法務審査室として、法改正や判例変更の情報を収集、
日本財託グループが取り交わす各種契約文書に反映して、
法令遵守した取引が行えるようにしています。

以前は事業部にて、物件の買取や売買仲介を担当。

美味しい焼とん屋に足繁く通っていたところ、
中年太りに負けてしまい、最近ジム通いを始めました。

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