家具で生活イメージを湧かせる!ホームステージングの最新事例
2018/12/27
今、アメリカの不動産業界では、
「ホームステージング」と呼ばれる手法が
にわかに広まっています。
これは、空室のお部屋に家具や装飾品をセットし、
モデルルームのような演出を施す手法です。
内見時の第一印象を良くすることで、
入居後の生活イメージを湧かせて、
生活意欲を喚起させることが目的です。
ホームステージングは、日本では自宅用マンションの
売却の際に使われることがほとんどで、
賃貸物件での活用例は少なかったのが事実です。
しかし、ここ数年で賃貸物件においても事例が増え、
早期の空室解消に効果を発揮することが分かってきました。
当社でも、空室解消の施策として
ホームステージングに取り組んだ事例があります。
そこで今回は、当社の管理物件の事例を踏まえ、
ホームステージングの活用法をご紹介します。
対象となった物件は、
横浜市中区の京急本線「黄金町」駅
徒歩5分の物件です。
築34年、SRC造マンションの
23.69平米、1Kのお部屋でした。
以前の入居者が14年という長期で
お住まいでしたが、退去されることになったのです。
14年前の相場で据え置かれていた
6万円という家賃は、
現在の相場とはかけ離れています。
周辺家賃相場では、4万8000円程度に
なることが見込まれました。
しかも、長期の入居だったため、
原状回復工事の費用も高くついてしまいます。
そこで、内装のフルリノベーションと、
ホームステージングを組み合わせて、
相場を上回る家賃での成約を目指しました。
ホームステージングを効果的に行う際の
ポイントは3つです。
一つ目は、8割の人に受ける第一印象を目指すことです。
オーナー様の好みや趣味ではなく、
あくまでも入居希望者の8割に許容される
演出を心がけます。
このお部屋では、
モノトーンが基調のリノベーションに合わせて
落ち着いた色のローテーブルとベッドを配置しました。
派手すぎず、現実的な一人暮らしのイメージを
持ってもらえるようにしています。
二つ目は、視線の動きを意識することです。
室内の端などに小物や観葉植物を設置して、
各所にポイントカラーを作ります。
視線を動かすポイントを作ることで、
部屋を見渡すことになり、
室内をより広く感じさせる効果が期待できます。
三つ目は、掲載写真の質です。
まずは内見の予約を入れてもらえないと、
ホームステージングの意味がありませんから、
写真の見栄えは大切です。
当社では結婚式の撮影なども行う
プロカメラマンのスタッフに
物件撮影を依頼しています。
<過去コラム:ひと物件につき300枚以上!ビジュアルで差をつけて入居者を惹きつける>
http://www.nihonzaitaku.co.jp/mailmag/category02/post-375.html
実際にステージングした室内の様子は、
こちらからご覧いただけます。
http://www.nihonzaitaku.co.jp/bs/object/pdf/BeforeAfterHomeStaging.pdf
結果、写真の掲載開始後、1週間あまりで
内見に訪れた方から入居申込みがありました。
家賃は、周辺相場から1万円以上も高い、
6万円で成約することができ、家賃の現状維持に成功しました。
第三者調査でも、ホームステージングが
入居者募集に役立つというデータが公表されています。
今月1日、日本ホームステージング協会が発表した
『ホームステージング白書2018』によると
ホームステージング導入前後で、
平均空室期間は91日から33日へと
3分の1となりました。
導入前の平均家賃は6万7358円で、
導入後では約1300円アップの6万8691円です。
なお、ホームステージングに要した平均金額は、
6万8337円なので、ほぼ家賃1か月分の投資で
空室期間の短縮効果が表れていることが分かります。
実際に、当社の事例も、
ほぼ家賃1か月分の予算感で実施できています。
リノベーションを伴わず、
最小限の家具と小物を使った簡易的なステージングで
効果が出た例もあります。
対象物件は、1Kの20平米あまりで、
特別な内装工事は行っていません。
ここに、机、椅子、ライト、ベッドといった家具と
小物という最小限の演出を試験的に施しました。
設置の2日後に内見があり、
その場で申し込みをいただけたのです。
ホームステージングの発展形もあります。
それは「家具付き」での入居者募集です。
一人暮らしに必須となる家具を備え付け、
他の部屋と差別化するやり方です。
当社では、入居者様向けに、
家具の販売サービスを開始しました。
一般的な量販店で買えるものより、
デザイン性が高く、良質な製品を設置サービス込みで、
安価に提供しています。
ご案内している机、椅子、ライト、ベッドの
家具4点の一人暮らしパッケージは
8万8000円です。
※販売中の家具が設置されたモデルルームは
360度画像でご覧いただけます。
https://spacely.co.jp/zaitakukanri/ZAITAKUFunitureSERVICE
上位以外にも多種多様な家具を、
オーナー様にセレクトしていただき、
オトクな金額でご提供することが可能です。
時に100万円以上かかることもある
フルリノベーションに比べれば割安な投資で、
周辺相場を数千円上回る家賃での成約も期待できます。
賃料の維持には、
購入時の立地選びは何より重要です。
ただ、外部の経済環境が変わらず、
物件の築年数が経過すれば、
家賃が下落していくことは避けられません。
ホームステージングなどを活用すれば、
早期の空室解消や家賃の維持・アップにもつながります。
魅力を付加する「演出」が、
競合物件との差を生み出すカギになるのです。
資金面で丸ごとリノベーションは難しい時でも、
少額からの投資で入居者に選ばれやすい
工夫を行うことは可能です。
リフォーム工事に合わせたホームステージングや
家具付き募集など、様々なオプションサービスの提供を通じて、
これからも空室の早期解消、家賃の維持に努めてまいります。
日本財託管理サービス 管理部一棟ソリューション課
笠原 良太(かさはらりょうた)
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都八王子市出身の39歳。
管理部一棟ソリューション課として、
賃貸経営の収益力を改善する設備投資や、
リノベーションなどの提案を行っている。
趣味は釣り。今夏、同僚たちと行った北海道遠征で、
午前3時起床、雨風吹き荒れる中でも、
釣りを楽しめるくらいには釣りバカ。