生命保険でプラスの財産だけを相続する!約20万件に及ぶ相続放棄の注意点
2019/01/24
相続放棄の件数が増加しています。
10年前には約15万件でしたが、、
最新のデータでは約20万件近くにまで増加しています。
『相続』というと、自宅や収益不動産、現金など
プラスの財産の相続ばかりをイメージしますが、
同時に借金といったマイナスの財産も引き継がれることになります。
そうとは知らず、安易に相続してしまうと、
思わぬ負担を背負うことにもなりかねません。
そのため、プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合には、
借金の負担を避けるために相続放棄をすることになります。
ただ、相続放棄は借金を相続する必要はなくなりますが、
同時にプラスの財産も相続することができなくなります。
借金の負担から逃れられるとはいえ、
現金などのプラスの財産を受け取れないのは残念ですよね。
そこで活用したい手法が生命保険です。
生命保険を活用すれば、たとえ相続放棄をしても、
財産を死亡保険金として受け取ることも可能です。
そこで、今回のコラムでは
相続放棄の利用法と注意点、そしてマイナスの財産がある場合の
生命保険の有効活用法についてお伝えします。
両親から引き継ぐプラスの財産よりも、
マイナスの財産のほうが大きい場合、
相続放棄を検討することになります。
相続放棄は生前に行うことはできず、
財産を残される方が亡くなられてから行うことになります。
具体的には『相続の開始を知った日から3か月以内』に
家庭裁判所に申し立てることが必要です。
申し立てにあたっては、期間も短く、
必要な書類を集める手間もかかります。
そもそも故人に借金があったかどうかを調べることも必要ですので、
生前からのご両親とコミュニケーションを
よくとっておくことが欠かせません。
この相続放棄を行うことによって、
借金の返済義務はなくなります。
ただし、注意していただきたい点は
次の相続順位の相続人に相続の権利が移ることです。
たとえば、母親がすでに他界していて、
父親が多額の借金を背負っていた場合、相続人は子どもになります。
このとき、子どもが相続放棄をすれば、
子どもは借金の負担から逃れられます。
しかし、その次の相続順位にある祖父母、
そして祖父母がいない場合には叔父、叔母に
借金の負担がおよぶ可能性があるのです。
そのため、相続放棄をする際には、
自分自身だけで行うのではなく、
相続人になる可能性のある親族全員で、
相続放棄を行うことが大切です。
では、相続放棄をしたうえで、
プラスの財産を受け取るにはどうすればよいでしょうか。
そこで活用できる手法が生命保険です。
死亡保険金は亡くなられた方の財産ではなく、
受取人固有の財産となります。
つまり、受取人が子どもの死亡保険金は両親の財産ではなく、
そもそも受取人である子どもたちの固有の財産とみなされるため、
相続放棄の対象となる財産とならないのです。
そのため、相続放棄をしたとしても、
死亡保険金を受け取ることが可能です。
たとえば、多額の借金を父親が抱えている場合でも、
預金を使って活用して生命保険に加入すれば、
相続放棄をしたとしても、
預金は死亡保険金に形を変えて、
相続人である子どもたちが受け取ることが可能です。
昨年、ご相談いただいたAさんも
父親の多額の借金でお悩みのお客様でした。
41歳になるAさんには、
長年、会社を経営されてきた父親がいらっしゃいました。
会社自体は父親の引退とともに、
清算をしており会社に絡んだ借金はなかったのですが、
過去に知人の連帯保証人になったことがあり、
その借金がまだたくさん残っていたのです。
このままであれば、
マイナスの財産である借金をAさんが引き継ぐことになります。
Aさんの父親にはまったく財産がないわけではなく
個人名義の預金がありました。
そこで、Aさんと父親は生命保険を活用して、
財産を保険金として残し、マイナスの借金は
相続放棄されることにしたのです。
こうすることで、多額の借金からは逃れることができ、
相続財産とは別の固有の財産として、
保険金を受け取ることが可能となりました。
このように、相続放棄をされる場合でも、
生命保険を活用すれば保険金という形で
財産を残すことができます。
生命保険の活用は、
なにも財産がある人ばかりに有効な手法ではありません。
借金などのマイナスの財産がある方も、
生命保険を使って有効な相続対策が可能です。
相続対策のひとつの手法として生命保険を
検討されてはいかがでしょうか。
日本財託 資産コンサルティング部オーナーフォローチーム
長谷 和寿(ながたにかずひさ)
◆ スタッフプロフィール ◆
神奈川県出身の37歳。
オーナーフォローチームで、
オーナー様のお困りごとのヒアリングや
最新情報のご案内を行っています。
12年前、海外青年協力隊でブルガリア赴任中、
ひと月で物価が2倍以上になるインフレに遭遇。
経費不足で3日間断食せざるをえない程の貧困生活に
陥ったことを機に、お金のことに興味を持ち、
帰国後、FP資格を取得した。