入居者の過失で漏水加害側になってしまったら?漏水リスクへの備え方

2019/03/14

不動産投資は長期にわたって行うため、

所有期間中には、様々なトラブルも起こるものです。

なかでも、築年数が経過するほど、
発生する可能性が高まるトラブルの一つが、
「漏水」です。

現在21,000戸以上を管理する
当社の場合、1日1件以上はどこかの物件で
漏水が発生しています。

漏水原因の約7割は、
配管設備の経年劣化によるものです。

しかし、残り約3割の原因は
入居者の過失です。

漏水はいつどの物件に降りかかってきても
おかしくないトラブルです。

そこで今回のコラムでは、
当社が対応した実例をもとに、
入居者の過失による漏水トラブルへの対応法をご紹介します。


昨年の8月、渋谷区にあるマンションの
建物管理会社から連絡が入りました。

『御社が賃貸管理しているお部屋から、
 漏水しているようです。
 
 階下の入居者さんが
 早く何とかしてくれ!と言ってきています』

漏水の厄介なところは、
階下にも被害をもたらしてしまうことです。

まずは現地に行って、
原因を特定しないことには始まりません。

ところが、肝心の入居者となかなか
連絡がつきませんでした。

管理しているとはいえ、本人の了承を得ずに、
勝手に入室することはできません。

留守電、メールを残し、さらに緊急連絡先にも連絡。
最後は勤務先にも電話を入れて、
ようやくお話することができました。

ところが当人は、
『いや~、心当たりないんですけど~』
とのんびりした返事です。

調査立ち入りの可能性を伝え、
入居者の仕事が終わる時間も近かったので、
帰宅後に再度、確認してもらうことにしました。

数時間後、帰宅した入居者から、
連絡が入りました。

『すみません、風呂の水を出しっぱなしにしていました』

早速、現場へ急行です。

お風呂場から溢れだした水は、
自室のキッチンまで拡がり、
床が水浸しになるほどの被害が出ていました。

運悪く、シャンプーの詰め替えパックのゴミが
お風呂の排水溝に詰まって、水が流れなくなっていました。

自室だけにとどまらず、かなりの溢れた水が
下の階にも漏水したようです。

下のお部屋にも、ご迷惑をおかけした謝罪と
状況の確認にうかがいました。

階下の被害状況のほうが酷く、
天井と壁の広範囲で水シミができており、
触れるとまだ手がしっとりと濡れるような状況でした。

さらに、キッチンの換気扇やコンロ、
ダウンライトまで水が被ってしまっています。

原因と被害状況が判明したので、
ここからは一日でも早くお部屋を住める状態に
戻さなければなりません。

当社で管理している上階の部屋では
キッチンに溢れた水を、
すでにバスタオルで一通り拭いてありました。

ただ、キッチンのフローリングには、
水に濡れた痕がうっすらと見受けられます。

このような場合、基本的にフローリングは、
全て交換が必要です。

その場ではダメージが無いように見えますが、
時間が経つと、カビが発生することもあるからです。

後のトラブルにならないよう、
被害範囲の特定には細心の注意を払います。

さてここで気になるのは、
復旧に関わる費用です。

この事例では、入居者の過失で、
オーナー様の所有物であるお部屋に
被害を与えてしまっています。

そのため、これらの復旧費用は入居者に
全て負担していただくことになります。

フローリングの張り替えなどで、
27万円ほど。

また、被害を受けた階下の部屋の復旧費用も、
加害者である入居者の負担です。

部屋を管理する別の賃貸管理会社に
復旧費用の見積もりを出してもらったところ、
こちらがおよそ40万円でした。

これだけの費用ですから、
入居者が簡単に払えるものでありません。

そこで大切になるのが保険です。

当社の管理物件の入居者には、
必ず住宅総合保険にご加入頂いております。

今回のような漏水被害からの復旧費用は、
この保険金でほぼカバーすることができます。

原状回復工事のため、
被害者に仮住まいに移っていただく必要がある際の
費用にも保険が使えます。

保険会社とのやり取りも当社が間に入り、
入居者には内容を確認の上、署名と捺印を
していただくだけです。

その後も、管理組合への工事申請や、
近隣住戸へのご挨拶、
そして工事完了を確認するまでは気が抜けません。

階下の部屋も含めて1か月もかからず、
元通り快適に住める状態に復旧することができました。

漏水トラブルは、
関係者が多く、やり取りも煩雑になりがちです。

加害側、被害側双方の入居者、
オーナー様、賃貸管理会社、

そして、建物管理会社や管理組合、近隣住民、
保険会社も絡んできます。

だからといって対応にもたついていれば、
入居者は退去して、
空室になってしまうかもしれません。

オーナー様ご自身がこの間に立って
やり取りするのは、時間と手間の面からも
まず不可能でしょう。

また、1人の担当者があらゆる賃貸管理業務を
兼任するような体制の会社でも難しいといえます。

1人ひとりのトラブル対応経験も乏しく、
十分に対応しきれないからです。

私たちのように、被害側、加害側関わらず、
毎日のように漏水トラブルに対応している
管理スタッフはわずかだと思います。

経験とノウハウが蓄積されているからこそ、
現場状況の確認と共に、最速で事態を収束させるための
道筋を描くことができるのです。

任せている賃貸管理会社の
トラブル対応力に不安がある方は
お気軽にご相談ください。


日本財託管理サービス 管理部管理課
田村 成騎(たむらなるき)


◆ スタッフプロフィール ◆

静岡県静岡市出身の26歳。

管理部管理課で、
漏水や火災といった緊急時のトラブルをはじめ、
室内設備や騒音問題など
入居者のお困り事の解決を行っています。

特技は本場渋谷で修行したフリースタイルラップ。
社内イベントでも観衆の心を掴むパフォーマンス力は好評。

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