エントランスでご飯を炊く入居者!見守り活動で高齢者の生活をサポートする
2019/03/28
3月も残りあと数日となりました。
最近の関心事と言えば、
4月1日に発表される『新元号』ではないでしょうか。
30年続いた平成に幕が下ろされ、
新しい時代が始まろうとしています。
この30年の間には
様々な問題が取り沙汰されてきました。
そのひとつが『超高齢社会』
平成元年の時点では、
約1,400万人だった65歳以上の人口は、
平成31年現在、3,500万人を超えており、
全人口の28%を占めています。
当社が管理する約2万戸の物件のなかでも
65歳以上の入居者は2月末の時点で
326人いらっしゃいます。
当社では入居者を募集する際には、
「65歳まで」という年齢制限を設けていますが、
昔から住み続けてくださっている方や
当社に管理をお任せいただいた時点で、
すでにお住まいになっている方もいるため、
一定数の高齢者がお住まいになっています。
高齢の入居者が安心して暮らせる環境を整えることも
私たち賃貸管理会社の重要な仕事のひとつです。
今回のコラムは、当社の高齢の入居者様の見守り活動について
事例とともにご紹介いたします。
『御社の入居者が
エントランスでご飯を炊いています!』
およそ3年前の夏、
管理物件の入居者様について、
マンションの建物管理会社から連絡が入りました。
耳を疑うような内容に半信半疑ながら現場へ急行すると、
確かに共用部のエントランスに
炊飯器が置かれていたのです。
すぐにお部屋に伺うと、
「どうしたんですか?」と悪びれる様子もなく、
入居者のAさんが出てきました。
もともと公務員だった60代のAさんは、
数年前に脳梗塞を発症。
受け答えはしっかりしていたものの、
病気の後遺症から定職に就けず、
電気代や水道代を滞納してしまっていたのです。
電気と水道が止まっているので、
炊飯器の電源はエントランスから、
そして、お米を炊くための水は
共用部のトイレを利用していました。
さらに、水道や電気に加えて、
今月分の家賃も振り込まれていませんでした。
当社ではこうした生活トラブルを抱えている入居者様がいれば、
生活を再建できるようサポートしています。
Aさんのケースでは、
まずは生活に必要な収入を確保するために、
生活保護の申請を行うことにしました。
脳梗塞の後遺症から、
足を引きずるAさんに付き添い、
炎天下の中、30分ほどかけて区役所へ向かいます。
無事に生活保護の受給は決まりましたが、
生活保護の収入だけでは、現在の家賃はまかないきれません。
別の物件への転居も検討しましたが、
生活保護を理由に入居を断られてしまい、
同じエリア内でなかなかお部屋が見つかりません。
1カ月ほど探し続けた結果、
条件にあった部屋がお住いの近くで見つかり、
無事に転居することができました。
『これでようやくひと安心』と思ったのもつかの間、
2度目の脳梗塞を発症。
これまで以上に体を動かすのが
困難な状況になってしまったのです。
そこでAさんやケースワーカーと相談し、
週に1度、訪問介護を行う介護士と契約しました。
あわせて、私自身も毎月の定期訪問を繰り返し、
Aさんの生活をサポートしてきました。
その結果、約2年間、
問題なく生活を送ることができました。
しかし、およそ1年前、
3回目の脳梗塞を発症してしまったのです。
幸いにもすぐに病院へと運ばれ、回復に向かいましたが、
今度は身体を起こすことも難しいほどの
障害が残ってしまいました。
それからも、毎月の定期訪問を欠かさず実施し、
ときどき買い出しのお手伝いを行っています。
『本当にいつもありがとう』
訪問の際、Aさんから感謝されるたびに、
「この仕事をやっていて良かった」と思わずにはいられません。
今後も高齢化が進んでいくなかで、
高齢の入居者様のおひとりおひとりの生活サポート、
安否確認も非常に重要となってきています。
安心して長く住んでいただける入居者が多くなれば、
それが、オーナー様の安定した家賃収入にもつながるはずです。
高齢の入居者様に限らず、
すべての入居者様に対して心のこもった対応を心がけ、
安心して暮らしていける環境を保っていけるよう
これからも尽力していきたいと思います。
日本財託管理サービス 債権管理部 吉末 篤司(よしすえあつし)
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都足立区出身の45歳。
債権管理部にて、滞納家賃の回収だけでなく、
高齢の入居者様への定期訪問を行っています。
普段は高齢者の見守り活動を行っていますが、
今回のケースは、生活困難者への救済処置にて対処した事例です。
今後も知恵と行動力をもって、
入居者様に向き合っていきたいと思います。