管理費の削減だけじゃない!赤字回避へ管理組合が実践する「収益力アップ」の施策とは
2019/06/20
先週の週刊エコノミストは、
『マンション管理の悲劇』として、
管理不全に陥るマンションが辿る暗い未来が特集されました。
マンションの管理不全については、
3月に週刊東洋経済でも取り上げられたこともあり、
不動産オーナーにとって身近な問題となりつつあります。
東京都では今年3月に、
「マンションの適正な管理の促進に関する条例」が制定されました。
これにより、来年の4月から
昭和58年以前に建てられたマンションで
一定の基準を満たすものは、管理状況について
届け出を提出しなければならなくなりました。
条例では管理組合の運営における体制の未整備や資金不足等により、
マンションの維持・管理 が適切に行われていないマンションは
管理不全の疑いがあると定義されています。
管理不全マンションにならないためには
将来に渡ってその資産価値を維持するための
修繕計画が欠かせません。
しかし、修繕を行うためにはお金が必要です。
将来の修繕積立金が不足する場合には
修繕積立金の値上げを検討する管理組合は多いと思いますが、
オーナーの負担が増える事に反対意見が出ることもあります。
そんな時、ぜひ検討していただきたいのが、
経費の削減だけではなく、
マンションの管理組合で『収益を得る方法』です。
今回のコラムでは、管理不全に陥る前に考えたい
管理組合で収益をあげ、将来の修繕に備える方法を
当社の事例を交えて紹介したいと思います。
まず、管理組合で修繕積立金が不足する事が見込まれると
管理費を下げて、節約できた部分を修繕積立金に充てる事を
検討するケースがあります。
もちろん高い管理費を適正な額にするよう
管理会社に交渉する事は大切な事です。
しかし、最近では人件費の高騰を受けて、
採算が合わない管理組合の管理を解約する
建物管理会社も出てきています。
どの管理会社にも管理を依頼できないとなると
管理組合運営は難しい事はいうまでもありません。
そこで、解決策として
収益を上げて、修繕積立金に充当するという道があります。
一般的には、通信会社にアンテナ基地局として貸し出し収益を得る方法や
駐車場や駐輪場を有料で貸し出したりする方法があります。
このほかにも、以前管理人が住み込みで使用していた居室を
賃貸に出すということも検討できる場合があります。
過去、当社でも杉並区の物件について
管理人の居室を活用した事例があります。
毎月入る賃料は管理組合の収益として計上、
修繕積立金に加算していきました。
現在66,000円で賃貸中ですが、
15年間フルに貸し出していた場合、
年間79万2,000円、15年で約1,200万円が
修繕積立金に充当することができます。
居室のリノベーション費用や退去時のリフォーム費用、
設備の交換費などを加味する必要はありますが、
それでも管理組合にとって大きな収入源です。
なお、管理人の居室を賃貸に出すには、
管理組合で承認を得たうえで、
必要があれば規約を変えなければならないので注意が必要です。
さらに最近では、
チラシなどのポスティングを有料制にし、
収益化を進める管理組合もあります。
仮に、総戸数100戸の物件で
1枚2円のチラシを10枚セットで、
月に10回投函したとします。
すると、月に2万円、
年間で24万円の収益となります。
総戸数や同封されるチラシの枚数により収益力は上下しますが、
わずらわしいチラシが収益の一端を担うと考えれば
収益改善のひとつの施策として検討の余地はあります。
このように単純な管理費の値下げだけではなく、
収益力アップを目指す動きが出てきています。
最近も事例で紹介した未使用の管理人の居室を
有効活用したいという相談を受け、
収益化が可能かどうか現在検討しています。
共通しているのは、管理不全に陥らないように
管理組合が能動的に行動していることです。
不動産オーナーになるということは、
そのマンション全体の経営者のひとりとなることと
等しい権利を持っています。
そのため、マンションを購入したら終わりではなく、
所有しているマンションの行く末を考える
ひとりの経営者という意識を持ち、
積極的に管理組合に参加していくことをおすすめします。
日本財託管理サービス オーナー事務局 猪熊 元気(いのくまげんき)
◆ スタッフプロフィール ◆
山口県周南市出身の39歳。
マンション投資に関する税務相談や管理組合運営など、
オーナー様からの相談事に提携事務所と連携をとりながら対応。
オーナー様向け情報誌「まめール」の作成も担当する。
年齢とともにお腹周りが気になりだしたので、
先月から『タバタ式トレーニング』を取り入れています。
まだ3週間ですが、すでに4kgの減量に成功しました。