認知症対策は早めの話し合いがカギ! お盆の家族会議を円満に進める切り出し方とは

2019/08/01

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全国的に梅雨もあけ、猛暑が続いています。

はやいもので、あと2週間程度でお盆です。
実家に帰省する方も多いことでしょう。

お客様との相談に乗っていると、久しぶりの両親との再会で、
思いのほか、物忘れや判断能力が低下していることに
ショックを受けられる方も少なくありません。

例えば先日お会いした方は、奥様に介護費の管理を任せていたものの、
数年の間に、預金口座の暗証番号を5回も忘れて再発行した結果、
『次回は発行できない』と銀行から通達されてしまったそうです。

「大丈夫」と思っていた近親者でも、
そのような出来事がきっかけで
ようやく認知症の気配があることに気づきます。

ひとたび認知症の症状が進んで、
意思能力が失われてしまうと、
銀行の預金も一人では下せなくなります。
実質的な財産の凍結です。

こうなってしまうと財産の凍結状態が解決されるまで、
生活費や介護費用を子どもが負担する必要があります。

特に家族がある50代の子供世代の場合、
自分の子供の養育費や生活費、住宅ローンを支払いつつ、
両親の介護費もねん出しなければいけません。

両親と子どもの世代に挟まれる、
いわゆる『サンドイッチ世代』にとっては
放ってはおけない話です。

その解決策として有効なのが『家族信託』です。

家族信託は、財産の管理を信頼できる家族に
あらかじめ託すためのしくみです。

たとえば万が一、認知症になって意思能力を失っても、
子どもに予め財産管理を任せることで、
介護費用を親の財産から捻出できます。

しかし、それには認知症になってしまう前に
信託契約を交わす必要があります。

とはいえ、なかなか両親に財産の管理について
話を切り出すことを難しく感じる方も多くいることでしょう。

そこで今回は、当社に相談にこられた
『サンドイッチ世代』のお客様の事例をご紹介しつつ、
両親への話の切り出し方についてご紹介します。


当社には、まさに『サンドイッチ世代』の50代の方が
多く相談にいらっしゃいます。

Y様もそのうちのひとりでした。

現在、奥様と3人の子供と関東に住んでいますが、
80台半ばの両親は関西にお住まいです。

お母様はすでに重度の認知症を患い、施設で暮らしており、
ひとり暮らしのお父様も物忘れが多くなってきています。

離れて暮らすうえ、心配になったY様は
昨年5月に当社の家族信託セミナーにご参加いただき、
その場でご面談を行いました。

お父様の判断能力次第で、
信託契約を進めたいとのことでしたので
7月に関西にあるご実家へお伺いしました。

その場で、私から家族信託の目的、
そして判断能力がなくなった場合に起こり得ること、
例えば介護費用や子供の養育費が出せなくなることなど
をご説明差し上げました。

Y様からも
『万が一のことがおきたら大変になる。
その前になんとかしたい』とお話したところ
お父様もご納得された様子でした。

その後は、契約の内容やスケジュールを確認し、
8月末に契約が完了。

お父様は、仮に自分に万が一のことがあった時も、
Y様が自身の財産を活用し、
施設に入っている母をサポートできることを嬉しそうに語っていました。


家族信託を利用した財産管理について、
一人ではご両親に話しづらいという方のために、
また、誤解を招かないよう正確な情報をお伝えするために
私たちコンサルタントからお話させて頂くケースがあります。

今回のY様のケースも同様でした。

いきなり財産管理の話を切り出してしまったら、
両親とこれまで築いてきた信頼関係を壊してしまうのではないかと、
心配される方もいらっしゃいます。

突然、家族信託の制度や法律用語を出しても、
話がこじれるだけです。

私たちが意識していることは、
家族信託を行う『目的』をきちんと伝えることです。

冒頭にもお伝えしましたが、
認知症になってしまったら
両親の預金口座は凍結してしまいます。

仮に、両親が入所を希望する施設があったとしても、
お金がおろせなくなり、
その希望が通らなくなってしまうことも考えられます。

その前に信託契約を結んで、預金を両親のために使うようにできていれば、
両親の希望を実現させることができる。

そのことをお伝えし、
共感してもらうことが必要です。

家族信託の目的は、
ご両親の希望する生活を家族でサポートするための手法です。


一方、同じ財産にまつわる話でも、
遺言はご両親が亡くなった後の財産分与に関する話ですので、
話を切り出しづらいのもよくわかります。

また、相続対策で節税をするといっても、
子供たちにとってはメリットがあっても、
ご両親には関係のない話です。

その提案が誰のためのものなのか、
家族信託と遺言では目的が大きく異なるのです。

『長生きしてほしいから、一緒に準備して行きたい』
『孫のために、今から考えてみよう』

このように、家族信託がご両親の生活のためであるならば、
積極的に話し合って頂きたいと思います。

そして、話し合う機会を設けるのは、
早ければ早いにこしたことはありません。

それは、疎遠になっている時間が長いほど、
1回の話し合いでは収まらず、
なかには1年ほどかかってしまうケースもあるからです。

認知症の兆候が見え始めたら、
信託契約を結ぶことが難しくなってしまいます。

30カ所の公証役場での手続きを経験して感じるのは、
年々公証人の意思確認が厳しくなっていることです。

Y様のように、
小さな一歩があなたの家族を守ることにつながります。

このお盆に帰省するのであれば、
ぜひ家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。


日本財託 資産コンサルティング部アセットプランニング課
家族信託コンサルタント

横手 彰太(よこてしょうた)

◆ スタッフプロフィール ◆
 
鹿児島県阿久根市出身の47歳。

認知症とお金の問題を解決する専門家。
相続対策や法人設立、家族信託など、
お客様の資産を守り増やしていく提案を行っています。

先週、小3の長男と富士山登頂してきました。人生4回目の登頂です。
3回目は、今の妻とのプロポーズ登山。
2回目は、2歳の次男が大きくなってから登りました。
今回はちょうど梅雨が明けて天気は最高でした。

詳しくは、ブログの写真を見てください!

『5分で分かる!100件の家族信託データ』
詳細はこちらから是非ご覧ください。
http://www.nihonzaitaku.co.jp/bs/object/pdf/100familytrusts.pdf

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