ゴミ収集車が来ない?!私道沿い新築アパートのゴミ問題解決事例
2019/10/10
長崎市の『私道封鎖』の話が、にわかに話題となっています。
道路には、国や地方自治体が所有し管理する公道と、個人や会社が管理する私道の2種類があります。
長崎市では、住宅団地内を通る私道の一部が封鎖されて車両通行止めになり、私道所有者と、沿道住民の対立が深まっているようです。
このように100世帯もの規模は稀ですが、私道に絡んだ不動産のトラブルは、実はそこまで珍しいことではありません。
今回は、当社の管理物件で直面した私道にまつわるトラブルとその解決までの道のりをご紹介します。
事例の物件は、大田区に所在する総戸数9戸の木造アパートです。
オーナー様が新築で購入され、任せる管理会社を探すなかで、当社にお声かけいただき、管理を受託しました。
2月末の竣工を前にして、1月から入居者の募集を開始。
駅から2分という立地もあり、入居者は次々と決まって順調な滑り出しでした。
ところが間もなく、一つの問題が発覚しました。
ゴミが出せないのです。
ゴミ集積所の申請を行うために調べたところ、現状ではアパートの面している私道を、ゴミ収集車が通れないことが分かりました。
個人の所有地である以上、いくらアスファルト舗装された道路として使用されていても、本来、所有者以外の人は私道を自由に通行できません。
売買契約時に承諾を得ていたのは、住民の通行のみでした。
そこで、アパートの施工会社とも協力しながら、ゴミ問題解決へのチャレンジが始まりました。
私道の横幅は、狭いところはわずか2メートルあまりでゴミ収集車の通行には不安がありました。
一方、アパートから歩いて2分もしないところに、近隣住民が利用と管理を行うゴミ集積所があります。ここにアパートからゴミを持っていってもらえば、すぐに問題は解決するはずです。
ところが、
「ゴミ捨てのマナーが悪くてこれまで散々嫌な思いをしてきている。また9世帯分も増えるなんてとんでもない!」
「他の家に言っても絶対無理って言われるよ!」
近隣住民はけんもほろろで受け入れ拒否。
何度訪れて相談しても、全く相手にしてくれません。
区の清掃事務所で相談しましたが、やはり私道なのでゴミ収集車は入れず、集積所の管理についても権限がないとのこと。
「集積所のことは町会で決めているので、町会で聞いてみてください」
聞き込みをして町会長の家を見つけ、日をあけて、3度も訪れました。
その都度、お話は聞いていただけましたが、のれんに腕押しです。
「私の一存では決められないので・・・」
「周りの方が嫌だというなら難しいですね」
毎日のようにお願いに奔走しているうちに、ほとんどのお部屋で入居は決まり、焦りは募るばかり。胃の痛い日々が続きました。
何とか間を取り持ってもらおうと、再び区の清掃事務所に訪れました。
状況を説明していったところ、収集を検討できる2つの条件を引き出すことができました。
1つは、私道の所有者にゴミ収集車を通行させる承諾書をもらうこと。
もう1つは、ゴミ収集車が通行可能な道幅か、確認することです。
そこで早速、私道の所有者にコンタクトを取りました。
丁寧に事情をお伝えしましたが、やはり難色を示されました。
ただ、こちらも入居者9人の生活がかかっているので、引き下がれません。
『ご面倒はおかけしませんので、何とかお願いします!』
少し考えさせてくれ、とその日には返事はいただけませんでした。
しかし、念のためと町会長に、話を通してもらえるよう、根回しをしておいたのがきいたのでしょうか。数日後に連絡があり、無事、承諾書をいただくことができたのです。
あとは、ゴミ収集車が私道に入れるかどうかの確認です。
あの狭い私道を、約4tのゴミ収集車はバックで入ってこれるのか。
現地検証の時はまさに手に汗握りましたが、無事アパートの前までたどり着けることが分かりました。
清掃事務所でも通常より迅速に手続きを進めていただけたおかげで、初めの入居者の引越しから2日後、アパート前からゴミの回収がスタートしました。
全室に入居者が引っ越してくる前に、ゴミ問題を解決することができたのです。
この事例では幸いにも、そこまで時間がかからずに私道所有者から承諾をもらえましたが、トラブルが長期化していた可能性もありました。
いくら駅近物件といっても、ゴミを捨てられない不便な家に入居者は長く住むことはないでしょう。
不動産投資は、人の生活の営みがあってこそ、成り立つ投資です。
賃貸物件で快適に生活できる状態を作り、それを維持していかなければ、家賃収入を得ることはできません。
そのために大切なことは、管理です。
特に1棟物件の場合、私道に接しているならその所有者との交渉や、周辺住民との協力関係、地域コミュニティとの共生が不可欠です。
当社では生活に関わる地域の関係者との交渉や調整も多様な経験がございます。
賃貸経営にまつわるお悩みは、どうぞお気軽にご相談ください。
日本財託管理サービス 管理受託部
山形 敏也(やまがたとしや)
◆ スタッフプロフィール ◆
千葉県市川市出身の34歳。
管理受託部に所属し、お悩みを抱えているお客様の物件をお預かりし、賃貸経営のサポートに努めています。
自宅近くの立ち飲み屋に行ってから、立ち飲み屋探しをすることにハマりました。
偶然居合わせた方とコミュニケーションを取るのが楽しみのひとつです。