第一人者が認知症になる時代に!財産管理対策で考えたい家族信託と任意後見の併用

2020/01/30

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『認知症の第一人者が認知症になった』
先日放映されたNHKスペシャルのテーマです。

長谷川式と呼ばれる検査指標を開発し、認知症研究の第一人者だった長谷川和夫医師。
90歳になった彼自身が認知症になってしまった姿を追ったドキュメントです。

日本で一番認知症のことを分かっているドクターですら、認知症になることには抗えないという事実が突き付けられる番組でした。

人生100年といわれ、長生きする確率が上がれば上がるほど、大切な家族や自分自身が認知症になるリスクも比例して高くなることでしょう。

だからこそ私はしっかり判断能力があるうちに、万全の備えとして、いわば「頭の保険」をかけておくことをお勧めしています。

特に困るのは、認知症が進んだ際の財産管理の問題です。
この問題を解決する最新の対策として、家族信託と任意後見契約の組み合わせがあります。

そこで今回は、認知症とお金の問題を解決する家族信託と、あわせて考えることで効果を発揮する任意後見契約の活用法をご紹介したいと思います。


家族信託についてはこれまでのコラムでも事例を交えてお伝えしてきました。

『介護費と生活費のサンドイッチを避ける!人生100年時代の資産の増やし方・守り方』

家族信託は、両親が所有する財産の管理や処分に関して、信頼のおける子どもに託すという契約です。

あらかじめ家族信託契約を結んでおくことで、たとえ親が認知症で判断能力を失ったとしても、子どもは親の財産を親のために使うことができるようになります。

契約の設計次第で自由度の高い財産管理ができる家族信託ですが、限界もあります。

たとえば、年金が振り込まれる銀行口座や、日常生活で用いる手元の小口現金の管理には向いていません。


この家族信託の限界を補える手段として有効な方法が、任意後見契約との併用です。

そもそも任意後見契約とは、後見制度の一種で、自身の判断能力が不十分になった際に備え、支援する人(後見人)と支援する内容を決めて、あらかじめ契約をしておく手法です。

『後見人がつく』というとほとんどの方が「法定後見」を想像されると思います。

任意後見契約が法定後見の最も異なる点は、判断能力があるうちに本人が後見人を指定できることです。

法定後見では、後見人にはほとんどの場合、弁護士や司法書士など専門家がつくのに対し、任意後見なら、いわば後見人の予約が可能です。
あらかじめ信頼できる家族を指定して任せることができます。

任意後見の支援内容として、小口現金や年金が入る銀行口座の管理といった財産管理の委任項目を含めておけば、万が一の際も家族が管理を続けられます。

また、認知症ではないものの、本人が寝たきりで窓口に行けないような場合でも、権限を委任されている者として、銀行の窓口で手続きなどを代行できます。

実際のところは、
『暗証番号を教えてもらい、親の銀行カードで必要に応じて現金を引き出す』
『夫の代わりに妻が窓口の手続きを代行』
といった行為は広く行われているでしょう。

ただ、これは現時点で、窓口担当者の判断や融通によるグレーゾーンで行えているに過ぎません。

振り込め詐欺が多発していことなどを踏まえ、高齢者の口座管理に関する金融機関の姿勢は厳しくなる一方です。

今でも
『これまで窓口に行っていた母が寝たきりになり、代わりに息子が窓口に行ったら、断れられた』
といったケースはあります。
5年後、10年後にどうなっているかは分かりません。

だからこそ、しっかりと書面で「託した」旨を残しておくことが大切なのです。


また、家族信託を使わずに、全て任意後見契約で管理すれば良いのではないか?と思うかもしれません。

しかし、任意後見契約は、民法に規定された後見制度に基づくものであり、後見が始まった段階で、家庭裁判所の管理下に置かれます。
後見監督人という専門家がつき、毎月数万円の費用もかかります。

財産管理の自由度は低くなり、特に不動産といった大きな財産は動かしづらくなる可能性が高いでしょう。
不動産の売却ひとつとっても、家族の意思だけでは難しくなることは確実です。

そこで、家族信託契約で大きな財産だけを分けて管理できるようにすれば安心です。

法律上は、信託法に基づき管理される財産となるため、任意後見が始まった後でも、後見の対象となる財産には含まれません。


特におすすめしたいのは、子供がいないご夫婦や、身寄りがいない独身の方、信頼して託せる子どもがいないといった方です。
任意後見は、家族ではなく弁護士や司法書士など、プロの法律家に後見人を任せることもできます。

認知症になってからでは家族信託も任意後見もできなくなり、手遅れの対策である法定後見の道に進むしかありません。
困るのは自分自身、そして大切な家族です。

「頭の保険」への入り方や、認知症とお金の問題でお困りであれば、ぜひお気軽にご相談ください。

日本財託 資産コンサルティング部アセットプランニング課
家族信託コンサルタント

横手 彰太(よこてしょうた)


◆ スタッフプロフィール ◆
 
鹿児島県阿久根市出身の47歳。

認知症とお金の問題を解決する専門家。
相続対策や法人設立、家族信託など、お客様の資産を守り増やしていく提案を行っています。

今夢中なことは、小3長男の少年サッカーの試合観戦です。
下手でも一生懸命にプレーする姿を見たくて応援にいきます。

家族信託を動画でより分かりやすく解説するYouTubeチャンネルを始めました。
ここまで読んでいただいた方には今すぐのチャンネル登録がオススメです!

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【家族信託の専門家が話す】~頭の保険が必要~任意後見と家族信託を徹底比較

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