融資枠を拡大する繰上返済を使った効率的な資産拡大戦略
2020/02/13
『もう1戸、物件を増やしたいのですが、なんとか融資を利用できないでしょうか』
積極的に戸数を増やしたいと考えているお客様から、しばしばいただくお言葉です。
金利変動リスクが伴うため、身の丈を超えるような過剰な借り入れは私たちはお勧めしていません
しかし、不動産投資の醍醐味のひとつは、ローンを利用して効率的に資産を作れることです。
実際に当社のお客様の約7割がローンを利用されて不動産投資を始めています。
借入のリスクを軽減しながら、金融機関からの融資を効率的に活用して資産形成するポイントは『繰上返済』にあります。
さらに、同額の繰り上げ返済であっても、返済の方法によっては、融資枠を確保し続けながら、効率的に資産を増やせる方法もあるのです。
そこで今回は、金融機関の基本的な融資基準をおさえながら、資産拡大のスピードを加速させる繰り上げ返済の方法についてお伝えします。
不動産投資を検討中の方なら、「与信枠」という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。
与信枠とは、あなたが持つ「お金を借りるための力」です。
サラリーマンの方であれば、勤務先や年収などに応じて金融機関が評価する与信枠を持っています。
枠というからには、無限にローンが組めるわけではなく、限界があります。
金融機関は主に年収倍率と返済比率という2つの評価軸で、この枠を判定しています。
年収倍率とは、年収に対して何倍まで借りられるのかという考え方です。
年収800万円の人であれば、金融機関にもよりますが倍率は8倍程度です。
つまり最大で、6,400万円まで借りることができます。
実際にはここから住宅ローンなど、既存の借入額を差し引いた金額が不動産投資に使える枠となります。
たとえば、住宅ローンで4,000万円の残債があるとすると、6,400-4,000=2,400万円までの投資用ローンを組むことができるといった具合です。
一方、返済比率とは、年収のうち、何割を返済に充てているのかという考え方です。
年収が800万円の人がローンを組んだ後、毎年200万円を返済するのであれば、返済比率は25%です。
この年収倍率と返済比率は、どの金融機関も融資をする際に重点的に考慮される審査項目となります。
この与信枠における2つの基準を念頭に入れて、繰り上げ返済を進めていくと効率的に資産を作っていくことができます。
では、ここからは融資基準を理解したうえで、効率的に資産を増やしていく繰り上げ返済についてみていきましょう。
繰上返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。
「期間短縮型」は、繰上返済によって借入期間を短縮する手法です。
「返済額軽減型」は、借入期間はそのままで、毎月の返済額を軽減する手法です。
期間短縮型の繰り上げ返済を行った場合、返済額の分だけ、融資枠も改善することになります。
ただ、毎月の返済額は変わらないので、年収が一定だとすれば、返済比率は変わりません。
その点、返済額軽減型の繰上返済であれば、借入期間は変わりませんが、借入総額だけでなく、毎月のローン返済額も減少します。
つまり、融資の2つの基準である年収倍率と返済比率を同時に改善することができます。
この『同時に』という点が最大のポイントです。
『年収倍率では問題ありませんが、返済比率が規定を上回っているため融資できません』
買い増しを検討するオーナー様への融資に関して、
しばしば金融機関の担当者からこのように断りが入ることがあるのです。
返済額軽減型の繰上返済は、支払利息の軽減効果こそ期間短縮型に劣りますが、与信枠を活用して1戸でも多くの物件を購入していきたいという方には、ピッタリの手法です。
加えて、月々の返済額が減るので、金利上昇に伴う返済額上昇にも備えられるだけでなく、毎月のキャッシュフローが増えることで余剰資金の確保もしやすくなり、賃貸経営の安定化にもつながります。
私が2年ほど前に5戸の物件をご紹介したオーナーのA様は、住宅ローンも完済していることから、5戸の家賃収入からの手残りと給与収入から25万円を投じて、毎月毎月、返済額軽減型の繰上返済をされています。
2年あまりで、月の手残りの金額は約4万円から約10万円まで増えており、『将来の不確実性への保険として大きな精神的安定をもたらしてくれている』とおっしゃっていました。
また、年収倍率と返済比率を同時に下げられているため、今からおよそ2年後、借入当初から数えれば4年程度で2000万円前後の物件を購入するための与信枠を回復できる計算です。
A様の場合、共働きで自宅のローンも完済されていて資金的余裕があることもありますが、これだけのスピード感でマンションを増やしていくことも不可能ではありません。
もちろん、ローンは確かに効率的に資産を増やせる手法ですが、過剰な借入にはリスクも伴います。
リスクの管理もしないまま、多額のローンを組んで投資をはじめることは運転免許も持たずに、高速道路を走りだすようなものです。
まずは融資の審査基準を理解して、計画的に繰上返済を行っていくことが、リスクをコントロールしながら、効率的な資産形成を進めるために大切なポイントです。
年収や勤続年数、勤続先、金融機関によって、与信枠は一人ひとり異なります。
まずはご自身の与信枠だけでも知っておきたいという方、そして2戸目以降の戦略をしっかり立てておきたいという方は、私たちコンサルタントにお気軽にご相談ください。
日本財託 資産コンサルティング部 岩脇 勇人(いわわきはやと)
◆スタッフプロフィール◆
神奈川県横浜市出身の27歳。
投資用マンションのコンサルタントとして、日々資産運用のご相談を受けています。
自分自身でも3戸の投資物件を所有しており、毎年12月には必ず繰上返済をしています。
年末は2泊5日で、父と2人、エジプト旅行に行ってきました。
いつか行ってみたいと話していた父も楽しめたようで、ひとつ親孝行が実践できたかなと感じています。