サブリース契約|初めてのオーナー勝訴と法規制へ!規制からみえる不動産投資の本質論
2020/04/02
一括借り上げによる家賃保証、いわゆる「サブリース」を取り巻く環境が転換期を迎えています。
サブリース家賃減額契約の無効と減額分の支払いを求めた全国の物件オーナーと不動産会社L社の裁判。
各地のオーナーが一斉提訴した一連の裁判において、2月の岐阜地裁でオーナー側の言い分が通り、初めて「勝訴」を勝ち取ったのです。
民間賃貸住宅の約2割で採用され、投資用物件の購入時にも見聞きすることが多いサブリースですが、これまでも多くの問題点が指摘されてきました。
さらに、先月6日には、サブリースに初めて法規制をかける法案が閣議決定されています。
今回は、不動産投資で失敗しないために知っておくべきサブリースの現状と、今回の法案によってどのように変わるのか、ご紹介したいと思います。
サブリースとは、オーナーの物件を不動産会社が借り上げ、第三者に転貸するしくみです。
オーナーは不動産会社の手数料である10~20%が差し引かれた上で、家賃収入を空室や滞納リスクなく受け取れます。
メリットはありますが、問題点も指摘されています。
大きな論点は、訴訟にもなっている保証家賃の減額と契約の解除です。
『30年間一括借り上げ』とする一方で、契約書には保証家賃の見直しや契約解除について、しっかり記載があります。
築年数の経過や外部環境の変化によって空室が常態化すれば、家賃を引き下げられることもあるのです。
また不動産会社側からは解約しやすいのに、オーナー側からは高額な違約金が必要で解約しにくいといった契約になっていた事例もあります。
このような状況が、現場で十分に説明されないまま、野放しにされていたのが事実です。
2019年の国交省のアンケートによると管理業者との間でトラブルが発生したと回答したオーナーは46%、約半数にものぼりました。
今回のL社に対するオーナーによる集団訴訟で争点になったのは、オーナーが家賃減額を決める契約の重要な前提自体を誤認していたか否か、そして誤認の原因はどちらに責任があるか、の2点です。
これまでの裁判でオーナー側の主張は認められずにいましたが、岐阜地裁では、オーナー側に誤認が生じたことを認め、誤認を解かなかったL社に責任があるとしました。
また一昨年、話題にのぼった「かぼちゃの馬車」の問題もサブリースに関連するものです。
サブリース方式で女性向けシェアハウスを運営していた会社が、経営難で家賃の支払いを停止し、会社も破綻しました。
家賃収入をあてに多額の借入をしていたオーナーたちが窮地に追い込まれた例もまだ記憶に新しいところです。
こうした現状を受けて、先月6日閣議決定された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」が成立すれば、サブリースに初めて法規制が入ることになります。
『家賃がずっと下がらないから安心』といった勧誘は禁止され、家賃の保証期間など重要事項の契約内容は、書面を交付して説明する義務を事業者に課します。
違反した場合、罰金や業務停止命令が出ることもありえます。
極めて当たり前の話のようですが、逆に言えばこういった営業行為が今まで平然と行われてきたのです。
今国会中に法案は成立する見通しで、サブリースに関する規制は成立後、6カ月以内に施行されます。
順調に6月に成立したとすれば、年末か年明けには法規制が始まる予定です。
このようにサブリースをめぐる環境は今後は改善されていく流れではあります。
ただし、本来はサブリースに頼らず、賃貸需要が将来にわたり安定したエリアで勝負することが不動産投資で収益を上げるための原則です。
東京23区内の駅から徒歩10分以内の利便性が高い立地であれば、サブリースの保証に頼る必要もないと私たちは考えています。
サブリースの保証が無ければ収益に不安が生じるような物件は、本来、不動産投資には向かない立地だと考えたほうがよいでしょう。
『家賃保証』『サブリース』という甘い言葉で隠されたリスクを、投資家としてしっかり見抜かなければ、失敗に至ります。
不動産投資の大きな失敗を防ぐためには、買う前に立地を冷静に見極めることが大切です。
日本財託 マーケティング部セールスプロモーション課
横尾 幸則(よこおゆきのり)
◆ スタッフプロフィール ◆
埼玉県大宮市出身の32歳。
マーケティング部で、セミナーやHPの運営、
メールマガジンの執筆や広報活動を通じて
東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝える。
電車内で咳やクシャミをすると罪人を見るかのような
視線を浴びがちな昨今ですが、断じて言います。
私のこれは花粉によるものです。