リモートワークの定着で都心の賃貸需要は!?賃貸募集の最前線レポート
2020/06/25
緊急事態宣言の解除から約1か月。
「新しい生活様式」「ニュー・ノーマル」といった言葉も耳にするようになりました。
そんななか、先日あるオーナー様よりお問い合わせをいただきました。
『リモートワークやオンライン会議といった働き方が進めば、都心からも人口が流出して、賃貸需要が減少してしまうのではないでしょうか?』
賃貸経営をすでに行っている方はもちろん、これから始める方にとっても、気になる問題です。
そこで今回のコラムでは、新しい生活様式が賃貸需要にどのような影響を与えるのか、賃貸募集の現場の最新状況を交えながら、その影響を考えていきたいと思います。
賃貸募集の実績値を見ても、また現場の肌感覚としても、現状では、リモートワークやオンライン会議の定着によって、賃貸需要が大きく減少するようなことは、起こっておりません。
当社の管理物件の4月の入居率は99.46%、5月の入居率も99.01%で、いずれも99%以上の入居率を維持しています。
また、4月16日以降には緊急事態宣言が全国に拡大されたことから、5月になると移動の自粛がさらに強くなり、解約件数は減少。
さらに、他の道府県からの東京への流入数も前年に比べると少なくなり、成約件数もやや減少しました。
このように5月は成約件数が減少しましたが、そもそもの解約件数も同じように減少したため、入居率は昨年とほぼ同じ水準で推移しています。
また、4月、5月の特徴として、申し込み後のキャンセルの増加があります。
新入社員の配属の遅れや人事異動の延期、また授業のオンライン化などで、すぐに引っ越す必要がなくなった人が増加したことが要因だと考えられます。
そして、緊急事態宣言が解除された6月に入ってからの申込数と解約数は昨年を1割ほど上回るペースで推移しています。
賃貸仲介会社の店舗営業担当者たちに話をきくと、口々に『忙しくなった』と言います。
配属や異動が延期されていた人たちのお部屋探しが一気にスタートし、問い合わせ数が増えているのです。
そのなかで、リモートワークやオンライン会議といった新しい働き方が賃貸市況に影響を与えたかというと、『ほとんど影響はない』とのこと。
また、当社では入居者から提出してもらう解約届けに、必ず解約理由と転居先住所を記入してもらっています。
学生が実家に戻るケースや自宅で仕事をしやすくするためにより広いお部屋へ住み替える動きが、一部で出ていることはうかがえます。
しかし、地方や郊外への住み替えが進んでいるような動きはありません。
先月、学生の就職支援を行う株式会社学情が20代の転職希望者へ行った調査では、今回のコロナ禍でリモートワークを実施した人の約7割が「通勤時間を短くしたい」と回答しました。
これはリモートワークを実施していない人の、1.7倍にものぼります。
リモートワークによって、通勤時間がなくなり、自由に使える時間が増えたことで、今後も終業後の時間を有効活用できるようにしたいと考える人が多いと推測されています。
リモートワークの実施が、通勤時間が短い職住近接の魅力をより多くのビジネスマンに伝えることになったのです。
現状の賃貸市況や各種調査の結果をみる限りでは、都心へのアクセスがよく、駅近で生活に便利な立地の賃貸需要が落ち込むことは考えにくいといえます。
ただ、今後はコロナウイルスの感染防止のために、物件への見学を控える人も多くなることも考えられます。
そのため、内見をしなくても室内の様子がわかるように、360度カメラ撮影による、バーチャル内見の用意も行っています。
東京都心部の賃貸需要は変わりませんが、お部屋探しのスタイルはコロナによって変わっていくことは十分考えられます。
お部屋探しのスタイルが変わったとしても、新しい入居者募集の方法をしっかりと作っていき、1日でも早く空室を解消して、日割り家賃をオーナー様にお届けできるようこれからも努めてまいります。
日本財託管理サービス 賃貸営業部 酒井 英雄(さかいひでお)
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都品川区出身の41歳。
賃貸営業部にて入居者募集を行っています。
仲介会社様と関係強化のため日々電話連絡や訪問に力を入れています。
最近甥っ子が生まれました。
私にも息子がいますが、なぜか息子より私に似ています。