感染拡大期の賃貸実績レポートから見えるコロナ禍の賃貸募集の現状
2020/07/16
当社では四半期に一度、管理するワンルームマンションの賃貸募集の状況をまとめたレポートを発行しています。
本日、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大した今年4月~6月の実績をまとめた最新データを公開いたしました。
<ワンルームマンション賃貸実績レポート(2020年4月~6月)>
そこで今回のコラムでは、新型コロナウイルスが4月~6月の賃貸募集にどのような影響を与えたのか、昨年のデータと比較しながら振り返ります。
それでは、賃貸実績の主な数値を見ていきましょう。
4月~6月のワンルームマンションの賃貸契約数は969件で、前年の1,142件から15%ほど減少しています。
外出自粛要請のなかで転居を見合わせる人が増え、賃貸市場全体の動きが停滞したことが要因です。
そして、東京23区における平均の空室日数は26.6日でした。
早期のリモートワーク体制への移行や、比較的コロナの影響を受けなかった秋田サテライトオフィスの機能を拡充することで、募集活動を止めることなく継続し、前年同期比3.8日の増加にとどめることができました。
この平均空室日数を詳しく見ると、物件の築年数により差が出ていることがうかがえます。
築30年前後の物件である「バブル期物件」が25.6日から30.9日と、前年と比べて5日近く延びています。
一方で、2000年以降に分譲された「築浅物件」では3.6日の増加と影響は比較的少なくなっています。
この理由は、賃貸契約における『住み替え需要』の割合の増加があげられます。
緊急事態宣言によって、人の移動が制限された結果、上京する大学生や海外からの留学生など、初めて一人暮らしをする層が減少しました。
こうした入居者層には比較的家賃が手ごろなバブル期物件を選ぶ層が一定数います。
大学生や留学生が減少した分、都内または近郊からの住み替え層が賃貸契約全体に占める割合が増えました。
こうした層はビジネスマンが多く、ワンルームでも比較的広く、バス・トイレが別になっている『築浅物件』を好む傾向があります。
平米当たり成約家賃も、築古物件では横ばいですが、築浅物件では上昇しました。
その他に顕著な傾向としては、外国籍入居者が全契約に占める割合が2.1%上昇しました。
実は賃貸市況の全体で見れば、外国籍入居者の獲得は、厳しい状態にあります。
新規の留学生の流入が完全にストップしているからです。
その中で、国内間を移動する一定の需要をしっかり捉えることで、外国籍の方の入居申込みを獲得できています。
外国籍入居者の専門対応部署によるサポート体制があり、普段から外国籍層に強い賃貸仲介会社と関係性を築いている当社の強みがこの局面でも発揮されているといえます。
結果として、6月末現在の入居率は99.14%と、昨年同時期とほぼ同等で推移しています。
また7月に入り、現場の仲介会社店舗からは
『週末は忙しくなって、カウンターが全て埋まることもある』
といった声も聞こえるようになりました。
お部屋の内見予約数は、前年同月比で2倍近くにのぼっています。
7月中旬までの実績では、申込数や解約数はほぼ例年通りの数値を回復して推移しています。
一方で、好調な内見予約数に対して、申込数が伸び悩む手元の数字からは、多くの競合物件の存在が浮かび上がります。
空室が長期化する物件に対してはさらに力を入れて、募集活動を行っています。
また、同じエリアの競合物件との差別化はますます重要なポイントとなっています。
競合物件の情報や内見予約の入り具合を分析しながら、室内設備の入れ替え、ホームステージングやリノベーションといったご提案も行っています。
都内では連日100名を超える感染者が報告されるなど、いまだ収束の兆しは見えず、しばらくはウィズ・コロナの体制が求められるでしょう。
状況が大きく変動することになっても、家賃収入を変わらず安定的にお届けできるよう、感染拡大防止に配慮しつつ、早期に空室を解消するための取り組みを進めてまいります。
日本財託管理サービス 賃貸事業本部 田中 芳之
◆ スタッフプロフィール ◆
賃貸営業部と債権管理部の責任者として、緊急事態においても1日でも早く空室を埋められるよう、また滞納の増加を防ぐべく、日々、新たな仕組みづくりを推進している。
18歳のときにサッカーの本場イギリスにサッカー留学。
地元のサッカーチーム『ダラム・シティFC』にて腕を磨く。