視点を変えると思わぬ気づきが!ドローン活用による建物診断のススメ
2020/08/27
8月も下旬に入り、今年も台風のシーズンがやってきます。
風雨をきっかけにした被害はもちろん、屋上防水の経年劣化が漏水によって、明るみになることも多いのがこの時期です。
劣化した箇所を適切に修繕し、建物の状態を良好に保つには、まずは現状を把握する必要があります。
この現場でいま活躍する機会が増えているのが「ドローン」です。
今回は、当社が実際に実施した最新事例をもとに、ドローンを利用した建物診断のメリットについてご紹介します。
ドローンを活用して点検を行ったのは、当社が1棟すべてのお部屋を管理する築30年の鉄骨造アパートです。
昨年の巨大台風によって、共用廊下の目隠しパネルが吹き飛んでしまい、修繕工事のご相談を受けました。
現地に行ってみると、オーナー様からの依頼箇所だけでなく、屋根材が剥がれている場所もあるようです。
そこで、より詳しく状況を確認するために、ドローンを飛ばして上空から見てみることにしました。
こちらが上空から撮影した写真です。
すると屋根の頂点部分の抑え金具に、サビが見られました。
地上からの目視では全く分かりませんでしたが、上空から建物全体を視界に入れられるドローンのカメラなら一目瞭然です。
オーナー様にもその場でご確認いただき、金具の塗装の塗り直しも含めて、修繕工事を段取りすることになりました。
もちろん、工事を行うために足場をかけて屋根に上がれば、このような別の劣化箇所を見つけられることもあります。
しかし、その分の費用が発生しますし、そこから工事手配をして実施するので、工期も遅れかねません。
はじめから物件の劣化状況の全体像が分かっていれば、次から次へと費用負担が重なることなく、オーナー様としても安心です。
ドローンを活用した建物診断の最大のメリットは、正確な現状把握の上で、工事の実施をその場で判断できること。
そして、調査コストの削減です。
アパートのなかには、常設のはしごもなく、足場を組んだり、長はしごを使わないと屋上に登れない物件も少なくありません。
オーナー様であっても購入以来、一度も屋上を見たことがないというケースもありました。
このような物件では通常、前回の修繕からの経過年数や地上から目視できる外壁の状況から、屋上防水の劣化状況を推測して、工事するしかありませんでした。
ただ、それもドローンを飛ばせば、真上からのアングル、斜め上から、そして劣化している箇所の拡大画像など細やかな撮影で詳細に現状をチェックできます。
必要な工事の実施で漏水などのトラブルを未然に防げるのはもちろん、不要な工事を抑えることも可能です。
また、副次的なメリットとして、触れずに調査ができるという点もあります。
屋根材の劣化状態によっては、強度が落ちていて、調査中に作業者が踏んで屋根材を割ってしまうといった事故も発生します。
また脚立やはしごでの高所作業は、落下事故の危険性も高まりますが、ドローンであれば、こうした心配も不要です。
ドローンの飛行には、実は航空法によって厳しい規制がかけられています。
東京のような人口密集地で飛行させる際には、事前に国土交通省に申請して許可を得る必要があります。
また他人が所有する敷地上空を飛行することもできません。
当社では航空法の適用を受けない重量200g未満のドローンを利用し、物件の敷地上空のみで運用させているので、問題なく飛行可能です。
ただ、この条件を満たしていても、空港や飛行場への空路に被っていたり、政府関連の重要施設周辺は飛ばすことが禁じられています。
『自分でもできるかも』と安易に挑戦すると、法に触れてしまうこともありえますので、くれぐれもご注意ください。
すでに20棟以上の物件でドローンを使って建物診断しています。
当社管理物件はもちろん、管理や修繕をご検討中の方からのご依頼であっても、現在、試験的に23区内の1棟物件に限り、無料で行っています。
飛行条件等クリアしていれば利用できますので、ぜひお気軽にご相談ください。
日本財託管理サービス
管理部一棟ソリューション課 春本 紘平(はるもと こうへい)
◆ スタッフプロフィール ◆
福岡県出身の43歳。
管理部一棟ソリューション課として、建物の資産価値を維持し、収益力を改善するために設備交換、外観のリノベーション、空きスペースの有効活用法などの提案を行っている。
前職は建設会社の現場監督。その経験と建物の知識を生かし建物の資産価値の維持・向上を目指している。
リモートワーク中は、普段テイクアウトしていない近所の名店のお弁当を開拓している。
最近のマイベストはマグロ専門店の「マグロほほ肉ステーキ丼」