契約を急かす不動産会社の事情とは!?サブリース新法施行直前!改正のポイントを最終チェック

2020/12/10

「現在サブリースで運用しているのですが、
不動産会社から新しい契約にしたいと対応を急かされています」

先日、サブリースを利用しているAさんからご相談を頂きました。

現在所有している収益不動産はサブリースで運用してきたそうですが、
不動産会社が新しく契約を結び直したいというのです。

なぜ、不動産会社は新しく契約を結び直したいというのでしょうか。

それには、来週15日から施行される
いわゆる「サブリース新法」が深くかかわっています。

そこで今回は、サブリースを検討している方や
すでにサブリースを利用している方が
新法の施行で注意すべき点を取り上げていきます。

先日のコラムでもご紹介しましたが、今回の改正のポイントは2つ、
「誇大広告と不当勧誘の禁止」と「サブリース契約における重要事項説明義務」です。

■サブリース規制法のガイドラインが発表!それでも不動産会社がサブリースを勧める理由とは?
http://www.nihonzaitaku.co.jp/mailmag/category03/post-704.html

これらは「オーナー保護」という観点が反映された形です。

サブリースはオーナーから不動産を借り上げ運用することで、
空室の心配が無くなることが大きなメリットです。

しかし、保証があるとはいえ、長期の空室が続けば、
不動産会社から賃料の減額や一方的な解約も考えられます。

こうしたトラブルが多発した結果、
リスクやデメリットをきちんと説明して、
オーナーが契約内容をよく理解して、判断できるように新法が作られました。

オーナー保護を目的とした改正のため、
オーナーに有利な条件で契約がなされるように感じますが、
そういうわけではありません。


あくまでもオーナー側にとって不利益につながる事項の
説明義務を定めたものです。

ご注意いただきたい点は、
12月15日よりも前に結ばれた契約は、
新法の適用を受けないということ。

つまり、施行前であれば、不動産会社にとって不利益になるようなことを、
オーナーに積極的に伝える必要はないのです。

そのため、Aさんのように現在のサブリース会社から急いで
契約を済ませたいといわれる場合には注意が必要です。

これが新法施行後の契約内容の変更であれば、
「家賃の減額」「契約の解約条件」など特に重要な事項については、
契約における重要事項説明で強調されることになります。

また、これまでのサブリースでは、
サブリース会社から契約を解約することはできても、
オーナー側からは簡単には解約することはできませんでした。

新法施行後の法律においても、
オーナー側から契約を解約する場合には、
「正当事由」が必要とされています。

なにが「正当事由」にあたるかは明確にはされていませんが、
これまでの判例では、
「老朽化による建て替えと建て替えに伴う立退料の支払い」が該当するとされ、
簡単には解約ができないものとなっています。

しかし、新法の施行後においては
オーナー側がなにもできないわけではありません。

国土交通省の施行規則やガイドラインの定めにはありませんが、
賃貸住宅を取扱う不動産会社が加盟する公益財団法人「日本賃貸住宅管理協会」では、
サブリース新法における重要事項説明の留意点をまとめています。

そのなかで、特に「解約」について、
貸主からの任意解約を認める旨を規定したにもかかわらず、
不動産会社は「正当な事由がないこと」を理由に、オーナー側からの任意解約に応じないことは、

サブリース事業者への信頼を揺るがしかねない極めて不適切な行為と捉え、
解約に応じるよう求めています。

つまり、これまでのように正当事由を盾にオーナーの解約要求を
一方的に拒絶しないよう求めているのです。

法の定めがあるわけではありませんが、
オーナーの利益につながる取り組みです。

また、契約の更新を交渉する席では、
これまではサブリース会社の担当者から威圧的な対応をされ、
オーナー側がやむなく条件をのむといったトラブルも目立っていました。

今回の新法では、新規勧誘時の強引な勧誘も禁止とされており、
その趣旨を考慮すれば、更新時における勧誘も同様だと考えられます。
現在、サブリースを契約しているオーナーにおいては、
よりフェアな立場で交渉に臨むことができるのです。

今回の新法施行によって、サブリース契約内容の留意点がより明確になります。
この機会に契約内容について疑問がある個所があれば、
ぜひ不動産会社に確認してみてはいかがでしょうか。

日本財託 法務審査室 神山 直人(かみやまなおと)

◆ スタッフプロフィール ◆

埼玉県川口市出身の42歳。

法務審査室として、法改正や判例変更の情報を収集、日本財託グループが取り交わす各種契約文書に反映して、
法令に遵守した取引が行えるようにしています。

コロナ禍で『飲み』を控えているが、飲み屋の常連さんからランニングの誘いを受けてトレーニングを開始。
筋肉痛が続く毎日で、自身の理想とギャップにショックを受けている今日この頃。

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