コロナ禍でも7万人以上の若者が東京に集まり続ける理由とは!?
2021/02/04
1月29日、2020年の住民基本台帳人口移動報告に基づく
都道府県別の転入・転出者数とその差である転入超過数を総務省が発表しました。
発表を受け、翌日の新聞各紙には
「東京の転入超過は6割減」
「コロナ、一極集中に変化」
などインパクトのある見出しが躍りました。
人口の増減は賃貸需要に直結する重要な指標です。
ただ、今回発表されたデータを読み解くと、
コロナ禍であってもワンルームの入居者となる若者が
東京に集まってくる姿が見えてきました。
そこで、今回のコラムでは、最新のデータを紐解きながら、
コロナ禍でも東京に若者が集まり続ける理由を考えていきます。
まずは、今回発表された人口移動報告を見ていきましょう。
全国47都道府県のうち、人口がプラスとなったのは前年の調査と同じ8都府県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、福岡県、沖縄県、滋賀県)となり、
依然として特定の地域への人口流入が続いている状態です。
そして、昨年の東京都の転入超過数は31,125人となり、
前年と比べ62%減となりました。
数としては依然として全国1位の多さではあるものの、2位の神奈川県が29,574人で
その差は約1500人にまで縮まる結果となったのです。
しかし、15~29歳の若年層に限ると結果は大きく異なります。
東京都の15歳~29歳の若年層の転入超過数は73,855人となっており、
同じく神奈川県の若年層の転入超過数が23,500人でしたので、
実に3倍以上の若者を集めているのです。
コロナ禍であっても、ワンルームの賃貸需要を考えるうえで重要な若者人口は
安定的に増え続けているということです。
この若年層の転入超過数をさらに細かく見ると、
全体の6割以上が20~24歳となっています。
つまり、大学や短大、専門学校などを卒業し、
「就職」で都内に引っ越した若者が数多くいることがわかります。
また、転入超過数に男女で大きく差が出ているのも東京都の特徴です。
20~24歳では、男性の22,921人に対し、女性は約1.2倍の27,418人となっています。
神奈川県は男性が6,850人に対し、女性が7,241人という
5%程度の違いしかないことに比べると、顕著な差です。
ではなぜ、若者、とりわけ女性が東京都に集まるのでしょうか。
その理由は「仕事の内容」と「給与水準」です。
東京都には数多くの企業が集まり、資本金が10億円以上の会社も全国の半数以上にあたる
約3000社に上っています。加えて外資系企業数も75%以上となる約2,500社が
東京都に拠点を構えています。
このことから、東京都は地方と比べ、大企業を中心に、様々な職業に就ける機会が
多いことが分かります。
日本はサービス業など第三次産業が7割以上を占めており、
なかでも東京都は第三次産業の比率が全国平均と比べ10ポイント以上高くなっています。
国の調査によると、女性の就業先で最も多いのが「卸売業・小売業」で、
それ以外でも上位に第三次産業が並んでいます。
幅広く仕事が選べる点が、女性を中心とした若者が東京に魅力を感じる点の一つとなっています。
また同じ第三次産業でも、東京都と地方とでは一人当たりの生産性に大きな格差があり、
その差は2倍ほどにもなります。
生産性が高いということはその分、社員に支払われる給与も高くなるということです。
実際、都道府県別の1カ月当たりの平均賃金(賞与・割増賃金は除く)では、
東京都が最も高く37.9万円で全国平均の約1.2倍、
最も低い青森県とではその差は約1.5倍にまで広がります。
また、東京都は正規雇用の仕事が多く、全国平均と比べ5.6ポイントの差があります。
このように、職業選択の幅が広く、給与水準が高く、雇用も安定していることが、
若者、特に女性が東京で働くメリットなのです。
今回、コロナ禍にのなかでも若年層の転入超過数が約7万人であったとはいえ、
前年と比べると約20%減少しています。
しかし、この傾向が長く続くわけではありません。
リーマンショックや東日本大震災でもそれは証明されています。
当時、これらの発生直後では、今回と同様に東京都への転入超過数が減少しました。
しかし、その傾向は長くは続かず、1、2年ほどで人は戻ってきています。
都市問題に関する第一人者の
市川宏雄明治大学名誉教授もこの点を指摘しており、
今後も東京一極集中の流れが止まることは考えられないと分析しています。
不動産投資は賃貸需要のある立地を見極めることができれば、
長期で安定した収入を得えることできる手堅い投資法です。
この点、東京はこのコロナ禍であっても若者が全国から集まってくる
底堅い賃貸需要のある場所であることが、今回の調査結果でもよくわかりました。
これから不動産投資を検討される方は、
コロナ禍であっても若者を集め続ける東京に投資をすることをお勧めいたします。
日本財託 マーケティング部セールスプロモーション課
香西 信宏(こうざい のぶひろ)
◆ スタッフプロフィール ◆
香川県木田郡三木町出身の27歳。
マーケティング部セールスプロモーション課に所属し、
メールマガジンの執筆や広報活動を通じて東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝える。
先日、実家で保管していた大学時代に購入した500冊ほどの本を処分することに。
学びや感動を与えてくれた一冊一冊との別れを寂しく思いながら、今後は電子書籍のみで読書をしようと決意しました。