管理解約の違約金が家賃半年分!?管理会社切り替えの思わぬ落とし穴
2021/05/06
先日、NTTドコモとKDDIによる携帯解約の「水際作戦」が話題になりました。
2社は解約手続きを案内するWebページを検索結果の表示から消し、乗り換えを防ごうとしていたのです。
こういった話は携帯だけでなく、不動産の世界でもあります。
その一つは、一部の管理会社による管理代行契約の解約防止策です。
「管理契約の解約に高額な違約金が設定されており、実質的には解約ができない」
といったお困りのご相談が相次いでいます。
今回は、不動産投資を始める前に押さえておきたい管理代行契約の解約に関わる落とし穴について解説します。
管理代行契約の形態は、サブリース契約と集金代行契約の2つの種類に分類できます。
サブリース契約とは、不動産会社がオーナーから賃貸物件を借り上げて、第三者に転貸する契約です。
サブリース契約の解除のしにくさや、数々の問題点を踏まえて、いわゆるサブリース新法が今年1月から施行されたのは以前のコラムでも取り上げました。
『サブリース規制法のガイドラインが発表!それでも不動産会社がサブリースを勧める理由とは?』
『契約を急かす不動産会社の事情とは!?サブリース新法施行直前!改正のポイントを最終チェック』
では、一般的な集金代行契約なら問題は発生しないのかといえば決してそうではありません。
オーナーA様の事例です。
A様は、2戸のワンルームをお持ちで、1棟アパートの購入を機に管理の窓口をまとめたいとご相談を受けました。
当社の賃貸管理サービスや実績をご評価いただき、A様としては管理の切り替えを進めるつもりでした。
ところが、管理会社に契約解除の意向を伝えると、半年分の家賃を違約金として請求されたのです。
管理代行契約書の文言を確認すると、たしかに違約金についての規定がありました。
その他の条項も踏まえると、オーナー様側からは管理契約を解除しにくい契約だったのです。
A様は管理会社の担当者や役員にも直談判で交渉するなど手を尽くしたのですが、結局、管理契約を解約することはできませんでした。
A様の事例に限らず、一部の管理会社では管理の流出を防ぐために、家賃の数カ月、多いところでは半年分など、高額な違約金を設定することで管理解約をしにくくしているケースがあります。
また、管理解約というと管理会社を変更する時ばかりを考えがちですが、実は売却の際にも管理解約は関わってきます。
売却することで新しいオーナーが新しい管理会社に管理を委託することになるからです。
違約金の支払いを回避するには、現在の不動産会社を通じて売却をするしかありません。
このように高額な管理解約の違約金は、管理物件の囲い込みだけでなく、将来の売却までも見据えたものとなっているのです。
オーナーにとっては、空室がなかなか埋まらない、担当者の対応に不満がある、修繕費用が高いなど管理解約の理由があったとしても高額な違約金が設定されていると、「泣き寝入り」の状態になります。
A様のケースでは、ワンルーム2戸の直近での解約は難しいと判断し、1棟アパートの管理を先行してお任せいただく運びとなりました。
弁護士を挟んだ交渉をもってしても、管理解除のトラブルは解決が難しいのが実状です。
こうした高額な違約金のトラブルを回避するためには、契約前に管理代行契約書の解約条項をしっかりと確認しておくことです。
ご相談を受けて私たちが『現在の管理代行契約書を見せてください』と拝見して、そこで初めて問題に気づくことは珍しくありません。
業界標準や相場と比べて、不当な損失をもたらしそうな条項が入っていないかは、チェックしたいところです。
管理解約の違約金は一般的には家賃の1ヶ月分です。
当社では原則として1年以内の管理解約に限って、違約金が発生する形をとっており、最大でも月々の管理手数料の12か月分となっています。
たとえば月額管理手数料が3,300円で、半年間で解約した場合、残りの6ヶ月分にあたる19,800円(3,300円×6ヶ月)の違約金をいただいており、1年経過後は違約金の発生はありません。
現実的には、管理を任せている途中から契約書の文言を見直して契約しなおすことは簡単ではありません。
だからこそ、収益不動産を購入する前、管理委託契約を結ぶ前の段階で、契約書の雛形を見せてもらい、管理解約の条件だけでなく、その他の契約内容がどのようになっているのか、確認することを強くお勧め致します。
不動産投資においては物件選びと同じくらい、賃貸管理を任せる管理会社選びがその後の成否を分けるといっても過言ではありません。
確認する手間を惜しんで、安易にパートナーを選んでしまうと、将来の大きなトラブルにつながりかねません。
契約書は専門的な内容も多く含まれますので、これから収益不動産のご購入をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
日本財託管理サービス 管理受託部受託課
土居 巧(どいたくみ)
◆ スタッフプロフィール ◆
大分県大分市出身の37歳。
管理受託部でオーナー様が抱える空室や滞納など、
賃貸管理のお悩みについて相談窓口を行っております。
コロナに負けず、最低2週間に1度は、
深夜の品川の屋内練習場でテニスの練習に励んでいます。