利回りだけで良い、悪いは早計!投資を検討する上で大切な2つの尺度

2021/06/17

「都心中古ワンルームの利回りは4%程ですよね。

 他の金融商品でもっと良いものがあるのでは?」

お客様から最近よくいただくご質問の一つです。

『海外ETFで年利6%』『高配当7%の米国株投資』

たしかに利回りだけ注目すれば、魅力的に見える投資商品はたくさんあります。

しかし、数字だけを評価軸にして投資先を決めてしまうと、

将来大きな損失を被ったり、思わぬ落とし穴に陥りかねません。

そこで今回は資産形成を検討する上で利回りの数字以上に大切な、

2つの尺度についてご紹介します。

利回り以外にもさまざまにある投資商品の要素から、何に重きを置いて投資の検討をするべきでしょうか?

その2つの重要な尺度は、時間と目的だと考えています。

ある資産額に達するために、必要となる時間を2つの投資商品で比較してみましょう。

年間100万円を資産形成に使える人が、資産額2,000万円を目指すケースで考えてみます。

都心の中古ワンルームマンション、ドル建てのETF(上場投資信託)、

それぞれの投資手法でシミュレーションしてみましょう。

中古ワンルームは価格2,000万円、

家賃収入から管理費、修繕積立金、管理代行手数料を差し引いた

手取り利回りは3.8%の物件です。

この物件を金利1.64%、借入期間35年のフルローンを組んで購入するとします。

毎年100万円ずつ繰り上げ返済を行うと、約13年でローンのない状態にでき、資産2,000万円に到達します。

では、7%の運用利回りが出るドル建てのETFの場合はどうでしょうか。

なお、運用利息は全て元本に組み込み再投資されるものとします。

毎年100万円、月に直すと83,333円ずつ

積み立て投資をしていくと2,000万円に到達するのは、

やはり約13年後です。

3.8%と、7%。

「利回り」の数字としての差がありますが、

ほぼ同じスピードで資産形成できるのです。

ETFに比べて利回りが低いはずのワンルーム投資が同じ期間で同じ額の資産形成ができるのには理由があります。

それは入居者の力です。

投資用ローンの返済はあなた自身の100万円の繰り上げ返済に加えて、毎月に家賃収入からも返済が進んでいきます。

あなたと入居者の2人の力でローンを返済していくので、これだけ早く資産を作ることができるのです。

もちろん、実際の投資にあたっては、このシミュレーションに入っていない

コストやリスクも踏まえて検討すべきでしょう。

不動産投資であれば、空室リスクや金利上昇リスク、原状回復工事のコストなどを、

外貨建ての商品であれば地政学リスクや為替リスクを念頭に置く必要があります。

次に検討すべき評価軸は目的です。

何を手に入れるために、投資を始めるのか明確にしておくことです。

たとえば、老後の不安を解消したり、家族の生活を守ることが目的ならば、

都心中古ワンルームは選択肢として優れています。

毎月得られる家賃収入は、長期的そして安定的な定期収入となりますし、運用資産の元本自体は取り崩さないで済みます。

ETFの運用益からお金を使うなら、運用しながら元本の取り崩しが必要となります。

また、7%でプラスが出ているということは、そのETFにはそれ相応の大きさの価格変動が起こり得るということです。

リターンとリスクは表裏一体ですから、利回りが高いということは、それだけリスクである価格変動幅も大きいことを意味します。

たとえば、リーマンショック級の下落が起きて大きく元本が目減りしてしまうこともあるでしょう。

定年までに長い時間が残されている方であれば、取り戻すことも十分可能でしょうが、すでに定年を迎えていて、元本を取り崩しながら、生活費として活用している人にとっては大打撃です。

定年退職をした時点で、積み上げてきたETFを収益不動産に組み替えれば、価格変動を気にすることなく、安定した家賃収入を得ることが可能です。

また、ローンを組んで購入する収益不動産には、団体信用生命保険がつきます。

返済中に万が一のことがあった場合でも、ローンのないマンションを家族に遺すことができます。

たとえば毎年100万円ずつ投資を開始して、3年後に、あなたに万が一のことがあったらどうでしょう。

その間、積み立てられる米国株は300万円分。

300万円から7%の配当が得られても、年21万円、月1万7,500円です。

都心中古ワンルームなら、ローンが完済されますから、

2,000万円の資産を通じて毎月約6万円の定期収入が入り、

家族の生活を守ることができるはずです。

そもそも、投資商品を検討する際、同じ「利回り」という言葉を使っていても、

意味が異なるものを指していることが多い点には注意が必要です。

株式における配当利回りや不動産における利回りは、元本の額に対して得られる果実です。

イソップ童話『金の卵を産むガチョウ』でいえば、ガチョウが産んだ金の卵の数ですよね。

対して、投資信託やファンドにおける運用利回りは、投資元本の累積の増加率を年換算したもの。

いわば、ガチョウ自身が肥えたことによる体重=売値の上昇率です。

「不動産投資と米国株ETF、どっちが良い?」という問いは、

「卵と鶏肉、どっちが美味しい?」という質問に等しいでしょう。

そもそも種類が違うものを並べて比べてもあまり意味がないですし、両方とも、美味しいですよね。

「投資元本10万円から積み立てるドル建てETF7%」と、

「借入ができる価格2,000万円の都心中古ワンルーム4%」の

利回りの数字だけに囚われるのではなく、

数字の裏側にある意味合いもしっかりと認識して、投資手法を使い分けてみてはいかがでしょうか。

日本財託 資産コンサルティング部 中嶋勝重(なかじまかつしげ)

 

◆ スタッフプロフィール ◆

京都府東山区出身の37歳。

資産コンサルティング部に所属し、350名以上のお客様に対して、

東京・中古・ワンルームによる資産形成のお手伝いをしている。

セミナー講師としても活躍中。

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー2級 の他に、

ワンルーム業界ただ一人といわれる【日本ボクシング検定2級】※JBC監修 保持者。

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