コロナ禍にあっても7万人以上の若者が東京に集まる!最新データから読み解く賃貸市況
2022/02/03
先日、総務省より最新の人口移動調査の結果が発表されました。
この調査によると、転入者数から転出者数を差し引いた数がプラスになる
いわゆる転入超過だったのは、東京を含め10都府県。
昨年までは不動の1位だった東京都の転入超過数はおよそ5,400人で、
第6位となりました。
さらに、東京23区だけに限定すれば、およそ1.5万人のマイナスで、
比較可能な14年以降で初めて転出超過となったのです。
一方で、発表された最新データを精査してみると、
表向きの数字とは異なる一面も見えてきます。
そこで今回のコラムでは、報道される人口移動報告では取り上げられない
年代ごとの人口移動データを読み解きながら、
最新の東京の賃貸市況についてお伝えしていきます。
コロナ以前の東京都は、まさに『東京一極集中』と称されるように、
毎年、他の道府県から膨大な数の人が集まっていました。
例えば、2019年の東京都の転入超過数はおよそ8.3万人。
これは2番目に多かった神奈川県の約2.8倍の人数でした。
過去の転入超過数と最新データを比べると、
現在の東京の賃貸市況に不安を感じる方もいるかもしれません。
ただ、賃貸需要で大切なポイントは
全体数もさることながら、若者の東京への流入数です。
2021年の最新データを年代別に詳しく見てみると、
また違った一面が見えてきます。
賃貸需要の中心となる単身層の15歳~29歳の若者の
東京への転入超過数は、2021年の1年間で71,817人でした。
おなじ若者の転入超過数で第2位だった神奈川県が24,105人ですから、
東京は実は3倍の若者を集めていることになります。
初の転出超過と報道された東京23区だけに絞っても、
15~29歳の若者はおよそ65,234人の転入超過でした。
この若者世代の東京への転入超過は、
初めて緊急事態宣言が発令された2020年4月以降、
実は一度もマイナスに転じたことはありません。
その要因となっているのは、就職と進学です。
現在、資本金10億以上の大企業はおよそ1万社ありますが、
そのうちのおよそ4割が東京に集まっています。
いわゆる大企業の数が多く、
若者が希望する仕事が他のエリアに比べて非常に多いのです。
さらに後押しとなっているのは、賃金格差です。
東京の2021年度の1時間あたりの最低賃金は1,041円です。
時給1,000円を超えているのは東京と神奈川だけで、
最も賃金の低い高知や沖縄と比べるとおよそ200円以上も差があります。
大卒の初任給で比較しても、
東京都は全国のなかで最も高額で22万5,000円、
第2位の千葉県と比べても8,000円も高くなっています。
また一時期リモート授業が続いていた大学も、対面での授業が増加しています。
慶應義塾大学では、この4月から対面授業を9割にすると発表しました。
特に、多くの若者が動き出すのは、
この年明けから3月までの繁忙期と言われるこの時期です。
池袋に店舗を構える仲介会社の担当者によると、
1月の3連休には多くのお客様が来店されたそうです。
4月から進学を控えている学生や東京で就職の決まった地方の大学生で、
その日のうちにお部屋を決めていく方もいらっしゃったとのことです。
また昨年に引き続き、コロナを懸念されるお客様に対する
オンライン内見のお問い合わせも増えています。
このように足元の賃貸市場は活況を迎えています。
コロナ禍にあって、外国人留学生の来日はストップしていますが、
感染拡大が落ち着き、留学生の来日も以前と同じ水準に戻るのであれば、
さらに、都内のワンルームの賃貸市況は活性化するはずです。
過去を振り返れば、リーマンショックや東日本大震災など
東京から人が離れる時期はありました。
しかし、その後も減り続けたかと言えばそうではなく、
人は戻り、さらに増え続ける状況となりました。
コロナ禍にあっても若者が集まり続け、
旺盛な賃貸需要を見込める東京であれば、
長期に渡って安定した収入を得られるはずです。
日本財託 マーケティング部セールスプロモーション課
村嶋 直樹(むらしまなおき)
◆ スタッフプロフィール ◆
静岡県御殿場市出身の34歳。
マーケティング部セールスプロモーション課でセミナーやHPの運営、
メールマガジンの執筆や広報活動を通じて東京・中古・ワンルームの魅力を
多くのお客様にお伝えすることを使命としています。
今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を毎週見ています。地元が静岡なので知っている地名も多く、
コロナが落ち着いたら、帰省がてら名所を回ってみたいと考えています。