転入超過3.3万人にとどまらない!ひとつの統計だけでは見えない東京の人口増を支える要素

2022/05/12

先月末、住民基本台帳人口移動報告の最新データが発表されました。
3月、東京都への転入者数から転出者数を差し引いた
転入超過数は3万3171人でした。

1月から3カ月連続となった東京都の転入超過は、
賃貸市場に活況をもたらし、
入居率の上昇につながった大きな要因です。

とはいえ、東京への人口流入は、
実はデータ上だけの数にとどまりません。
この統計には含まれない人口移動も存在するからです。

転入超過数として見えてくる人数以上に、
賃貸需要を生み出す人口流入があるからこそ、
東京の賃貸需要は底堅いといえます。

今回は、住民基本台帳移動報告の最新データを読み解きつつ、
この統計だけでは見えてこない東京の人口増を支える
2つの別要素についてご紹介していきます。

まずは転入超過数の最新データを振り返っていきましょう。

賃貸需要に直結する人口動態のトレンドを掴むには、
3月の数字を見るのが極めて重要です。

なぜなら1年の中でもっとも引っ越しが多いのがこの時期で、
それ以外の月の移動は絶対数が少ないからです。

3月の数字がほぼ年間の傾向を決めるといっても
過言ではありません。

実際、2021年の場合では東京への年間転入者数約42万167人のうち、
およそ4分の1にあたる9万7325人が3月単月に流入しています。

今年3月の転入超過数は3万3171人で、
昨年3月の2万7803人を上回りました。

内訳としては、転入者数が9万8812人で前年同月に比べて1.5%増、
対照的に転出者数は6万5641人と同5.6%減少しています。

年代別に見ていくと、
15~29歳の賃貸物件に住む若者層の転入超過数は3万9106人、
一方でそれ以外の年代は5935人の転出超過でした。

実に約4万人の若者層は全国から押し寄せてきています。
一都三県と愛知、大阪、福岡の7都府県のみが転入超過であり、
その他の40道府県はすべて転出超過、つまり若者が流出してしまっているのです。

この構図はコロナ禍以前から全く変わっていません。

一方、東京から転出するのは、30代以降のファミリー層であり、
賃貸物件の入居者になりうる若者は流入し続けています。

大学や専門学校卒業後に、満足な給料が得られる仕事をしたい、
自分らしく働ける仕事をしたい、こうした若者の想いに応える仕事が
東京には豊富にあるからです。

ここまで住民基本台帳移動報告のデータを見てきましたが、
賃貸需要に影響する人口の社会増減に関して、
実は2つ、この統計には含まれていない要素があります。

ひとつが、住民票を移さない人口移動の存在と、
もうひとつが、国外からの転入です。

まず一つ目の住民票を移さない人口移動とはどういうことでしょうか。

法律上、国民は誰しも住所地を移してから14日以内に、
住民票を移す手続きをしなければならないことになっています。

ところが、実際は東京に引っ越してきたにも関わらず、
「実家に住民票を置いたまま」にしている人たちが一定数いるのです。

総務省が2016年に行った「18歳選挙権に関する意識調査」があります。

この調査によると、全国の18~20歳で親元を離れている人のうち、
なんと半数以上の56%が住民票を移動していないと回答しています。

つまり、この56%の人たちの移動は、
転入・転出の統計には全く表われてこないのです。

3月の15~19歳の転入超過数は、6266人でしたが、
実際にはもっと多い可能性があるのです。

2つ目の要素である国外からの転入者数は、
主に短期滞在を除く外国人の日本国内への流入数を意味します。

特に東京の賃貸市場を語る上では、
外国人の流入は外せないポイントです。

区市町村別での外国人人口TOP100のリストには、
東京23区のうち、千代田区を除く22の区が名を連ねています。

では、どれだけの外国人が東京都に流入してきているのでしょうか。

長らく国外からの入国制限が続いてきたので、
在留外国人統計から、コロナ禍以前の数字で見てみましょう。

2018年12月末から2019年12月末の1年間に、
東京都に在留する外国人は57万人弱から約59万人へと、
2万人以上増加しています。

5年前の2014年末と比べると、
およそ16万人も増えているのです。


このように統計として明示的に表れるもの、
なかなか表れにくいものも含めて、
東京への人口流入は、複数の要因で構成されています。

それは、日本中そして世界中から人を集める魅力が、
東京という都市に、確固たるものとして存在するからに他なりません。

生活様式の変化、リモートワークといった要因だけでは、
簡単には覆らない人口集積力が東京というマーケットの底堅さです。

そして、その後押しを受けて東京で賃貸経営を行うことが、
将来にわたって安定した家賃収入を得るための一番のポイントです。

日本財託 マーケティング部セールスプロモーション課
横尾 幸則(よこおゆきのり)

◆ スタッフプロフィール ◆
埼玉県大宮市出身の34歳。
マーケティング部で、セミナーやHPの運営、メールマガジンの執筆や広報活動を通じて東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝える。

GWは結局東京から一歩も外に出ることなく終えてしまったので、
5月の気候がよいうちに荒川沿いをサイクリングして、
せめて埼玉までは上陸したいと思います。

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