今年の3月、政府が入国規制を緩和したことにより、
外国籍の入居希望者は飛躍的に増加しました。

当社では3月の賃貸契約数914件のうち、
352件が外国籍の方で、そのおよそ9割が留学生でした。

こうした留学生の多くが日本国内に滞在するために借りる住まいが
大学や語学学校へのアクセスが良い都心のワンルームマンションです。

一方で、来日したばかりの留学生は日本語や日本の生活ルールに慣れておらず、
些細なことでも日々の生活に支障をきたしてしまいます。

当社が管理する物件に入居する留学生からも、
様々なお問い合わせを頂きます。

お問い合わせの際には、状況を正確に把握するだけでなく、
その対処法を的確にお伝えする必要があるため、
母国語でのコミュニケーションが欠かせません。

仮に対応が的外れなものだったり、時間がかかりすぎてしまうと
早期の解約につながりかねません。

留学生需要を捉えて空室を早期に解消し、さらに長く住み続けてもらうためには、
慣れない土地であっても安心して過ごせる環境を整えることが重要です。

そこで当社では、留学生をはじめとした外国籍の入居者のために、
母国語でコミュニケーションが取れるスタッフが常駐しています。

今回のコラムでは、入国緩和に比例して増加する
お困り相談への対応を事例と共にご紹介します。

入国条件が緩和されてから、当社では毎月200件以上の賃貸契約を外国籍の入居者様と結んでいます。

それに伴い、生活に関する相談件数も急増。
4月は292件、5月は378件、6月は431件と毎月のように増加しています。

コロナ前の2019年6月の相談件数が108件だったので、およそ4倍の数字となっています。

相談の多くは、エアコンや給湯器の使い方といった室内設備に関するご質問や、
電気やガスの契約に関するご質問、さらに自治体やマンションごとに
定められた生活のルールなど多岐にわたります。

先日、中国出身の23歳の男性Aさんから、
お湯が使えないとご相談をいただきました。

電話で確認をしてみると、
夜間にお湯を沸かす『電気温水器』が室内に備え付けられていることがわかりました。

そのうえで、電気契約やブレーカーの確認も行いましたが、
問題のある箇所はみつかりません。

そのため、ひと晩お待ちいただき、
翌日改めて状況を確認いただくこととなりました。

しかし、その翌日もお湯が使えず、Ａさんからは
「すぐに対応してほしい」とご依頼がありました。

電気温水器が壊れている可能性もありましたが、
念のためもう一度、状況をひとつひとつ確認していったところ、
電気温水器の電源が入っていないことが判明したのです。

原因は単純でしたが、外国籍の方にとっては使い慣れていない設備も多く、
母国語で利用マニュアルが完備されているわけではないので、
その都度、丁寧なサポートが必要となってきます。

また、別の中国出身で25歳の男性入居者Ｂさんから、
天井から水漏れが発生していると連絡がありました。

スタッフが急行して、室内の状況を確認してみると、
たしかに居室の天井から水がしたたり落ちています。

漏水箇所を直すまで、Bさんにはホテルに仮住まいをしてもらうことになりました。

すると、Bさんから数日後に相談がありました。

『お金がもうすぐなくなりそうです。』

保険契約では仮住まいのホテルの宿泊費用も補償の対象となっています。
しかし、保険金は後日に支給されるため、当面の宿泊費用はご自身でご負担いただくことになります。

そこで、手持ちの資金に不安のあったＢさんと協議して、
当社が宿泊費用を立て替え、後日支給された保険金と相殺をさせていただく運びとなりました。

さらに、Ｂさんは保険の内容を正確に理解できておらず、
保険で補償される「1日あたり」の宿泊費用の上限金額を、
「全宿泊日数」での上限金額と勘違いされて、非常に安いホテルに宿泊されていました。

改めて保険契約の内容をご説明させていただき、
適切なホテルに宿泊いただくことになりました。

日本人や日本に長く住む外国籍の方にとっては一般的なことでも、
はじめて来日した外国籍の方にとっては些細なトラブルであっても
そもそもどこに相談してよいかもわかりません。

そこで、当社では何か生活トラブルがあった際には、
外国籍の入居者様専用のご連絡窓口にお問い合わせをいただくことで
迅速に対応しています。

一方で、もっと気軽にご相談したいというご要望も頂きます。
そのような外国籍の入居者様とは中国で広く使用されているチャットアプリ『WeChat』にご登録を頂き、
母国語でコミュニケーションを取っています。

口頭での説明が難しい場合でも、写真や動画を介して状況を確認することができるため、
『WeChat』でのやり取りは、外国籍の入居者様から大変ご好評いただいており、
事例でご紹介したＡさんからも感謝の言葉をいただきました。

不動産投資の最大のリスクは空室です。
そのうえで留学生の需要を捉えることは、早期の空室解消に効果的です。

しかし、いくら入居してもらえたとしても、
その後のサポート体制が整っていなければ早期の解約につながりかねません。

今回ご紹介したように、当社では母国語でコミュニケーションを取り、
生活トラブルを早期に解決する体制を整えています。

今後ますます増加する留学生が異国でも安心して長くお住まい頂けるよう、
手厚くサポートをしていきたいと思います。

日本財託管理サービス　賃貸営業部国際事業課　朱　苾蕙（しゅ　ひっけい）

◆　スタッフプロフィール　◆
中国出身。
国際事業課に所属し、外国籍入居者やオーナー様からの問い合わせ窓口になり、入居者が抱える言語問題を解消するだけでなく、入居者のトラブル解決、住み替え、解約の相談など生活サポートもしております。

中国本土で人気歌手周深（しゅう しん）の歌声に惹かれています。デビュー曲の「大魚」は何回聞いても心が癒されます。また、言語力も凄くて多言語で「アナと雪の女王」の「Let it go」も歌っています。一息したい時に周深（しゅう しん）の歌声を聴けば、疲れた心を浄化してくれます。