賃貸需要は商店街の盛衰とともにあり!?元気な商店街が支える東京の魅力とは?
2022/12/08
ワールドカップでドイツ・スペインに劇的な逆転勝利で、
ビッグサプライズをもたらした日本代表。
残念ながらベスト8にはわずかに届きませんでしたが、
試合日には、飲食店にサポーターが集い、
パブリックビューイングでも日本代表を応援する姿が全国各地で見られました。
そうした飲食店が多く立ち並ぶのが商店街です。
昨今、地方を中心に商店街の店舗の閉鎖が相次ぎ、
いわゆる「シャッター街」と呼ばれて社会問題となっています。
一方、東京では人が集まり、勢いのある商店街が数多くあります。
そして意外なことに、東京の商店街はワンルームの入居者層である
学生や会社員も多く利用する場所となっているのです。
今回のコラムでは、街の賑わいに一役買っている商店街の実情をお伝えしながら、
そんな元気な商店街が残り続けている東京の魅力をご紹介します。
まずは商店街の現状をみてみましょう。
中小企業庁の最新データによると、
商店街は全国で13,408件が存在しています。
全国で最も数が多いのが東京都で2447件、
次いで大阪府の896件となっており、実に約2.7倍もの差があります。
商店街の業種構成で最も多いのは飲食店・居酒屋が28%、
次いで身の回り品などの小売店が15.2%、
美容院、クリーニング店などのサービス店が13.7%と続きます。
東京ではとりわけ飲食店・居酒屋の構成比が高く、その割合は32.3%。
1位である「くいだおれの街」大阪が35.7%ですので、高い水準であることが分かります。
かつての昭和の時代には、食料品だけでなく雑貨や衣料品、家具に至るまでを
商店街の店舗が提供していましたが、人々のニーズの変化により
現在、商店街を支えているのは飲食店といえるでしょう。
商店街の約3割が飲食店ということは、その地域の人口が少なくなると
連鎖的に商店街も廃れていくことになります。
実際、商店街が取り巻く状況を見てみると、全体の数は年々減少傾向にあり、
2009年の14,467件から2021年までの12年間で1,059件の減。
この10年あまりで1割弱の商店街が地域から「消滅」しているのです。
消滅とまでいかなくとも、人口が減少し続ける地方の商店街は青色吐息。
中小企業庁のアンケート調査によると、商店街の現状の景況について
「繁栄している」「繁栄の兆しがある」「まあまあである」と答えた商店街は
全国平均で28.6%ほどしかありません。
つまり、実に7割ほどが衰退していると感じているのです。
さらに、現状で商店街に「空き店舗がある」と答えたのは全国平均で73.1%、
なかでも高知県に至っては100%という数字に。
全体の傾向をみても、やはり人口減少が進む地方自治体は苦しい数字となっています。
一方で東京はというと、「繁栄している」「繁栄の兆しがある」「まあまあである」が40.6%、
空き店舗が全くない商店街が34.3%と、両者とも全国で最も高い割合になっています。
これは東京都全体の数値なので、
23区内に限れば割合はより高まるでしょう。
この数字を裏付けるように、東京には多くの人を引き付ける
魅力的で大規模な商店街が数多くあります。
例えば、JR中央線吉祥寺駅の北口にある「吉祥寺サンロード」商店街。
長さ約300mのアーケードには約160店舗が連なり、
平日でも5万人弱が集まるなど都内屈指の賑わいを誇ります。
吉祥寺は「SUUMO住みたい街ランキング2022 首都圏版」で横浜に次ぐ2位、
「長谷工エアーベスト住みたい街(駅)ランキング2022 首都圏総合・都県別」では
第1位を獲得。
吉祥寺サンロード商店街は賃貸需要の獲得に一役も二役もかっているといえます。
さらに、東京には戸越、十条、砂町の「三大銀座」と呼ばれる歴史ある商店街もあります。
そのいずれも平日でも1万人以上の来訪があり、街の魅力を支えています。
このように、東京では活気にあふれ人々の生活を支えている商店街があり、
その裏には東京の底堅い賃貸需要があるのです。
一方で商店街というと、主婦(夫)や高齢者のイメージがあるかもしれません。
しかし、こと東京の商店街に限っては若者や会社員の利用も目立ちます。
商店街への来訪者の層の構成割合は
全国平均で学生・若者が8.5%、会社員が12.8%で計21.3%ですが、
東京では学生・若者が11.3%、
会社員が16.2%の計27.5%と全国で最も多い割合となっています。
一人暮らしの学生や社会人は外食で食事を済ませることが多く、
こうした背景と商店街の飲食店の多さがマッチし、利用を後押ししていると考えられます。
また、商店街があれば物件の場所が駅徒歩10分程度の立地であっても、
実際にかかった時間に対して、体感ではさほど遠さを感じないというメリットもあります。
地方や郊外の店舗のない道を10分歩くのと、
東京で買い物しがならの10分は違うということです。
賃貸仲介会社に聞いたところ、
実際に入居希望者の内見時に、近くの商店街も案内すると決まりやすく、
魅力的な商店街があることは物件を紹介する上で強みの一つになっているということです。
地方商店街が衰退の一途をたどる中、
多くの商店街がこれだけの規模で賑わっているのは東京だけです。
そして、その賑わいは賃貸需要なくしては成り立ちませんし、
人が集まることで商店街はさらに活気付く、まさに「正のスパイラル」を生み出します。
この週末、東京近郊にお住まいの方は、
「三大銀座」など活気ある商店街を覗いてみてはいかがでしょうか。
日本財託 マーケティング部セールスプロモーション課
香西 信宏(こうざい のぶひろ)
◆ スタッフプロフィール ◆
香川県三木町出身の29歳。
マーケティング部セールスプロモーション課に所属し、
メールマガジンの執筆や広報活動を通じて東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝える。
前職では新聞記者として石川・富山両県を取材していましたが、
地方の商店街は国や自治体からの補助金と、地元の有志の努力で何とか持っているような状況が続いています。
そのような背景もあり、シャッター街が増えている現状はやはり切ないものがあります。