世界一幸福な国で見つけた幸せのかたち
2023/04/06
留学先の友人と記念撮影をするS・Sさん
大学2年生のとき、北欧のデンマークに留学していました。
近年の幸福度ランキングでは常に上位で「世界一幸福な国」と称されるこの国での生活は、
日本でアルバイトや学業に奔走していた私にとって、非常に新鮮だったのを覚えています。
夕方の4時になると自転車レーンが退勤ラッシュで混雑。
役所に「私のビザが届きません」とメールすれば
「今はバケーション中なんだ!また2カ月後!」という始末です。
正直「のんびりすぎるのではないか?」とツッコミを入れたくなるほどでした。
しかし、自分や自分にとって大切な人の幸せを一番に追求しようとする
デンマークの国民性を肌で感じるにつれ、
もう少し肩の力を抜いてみようかなと、考えを改めるようになりました。
目的もなく湖の回りを歩きながら友達とおしゃべりをしたり、
顔ほど大きいシナモンロールを買って芝生の上でもぐもぐ食べたり。
そんな穏やかな日々を過ごすうち、
小さくてシンプルな楽しみを見つけられるようになった気がします。
その最中、新型コロナウイルスによる未曾有のパンデミックが私の留学生活を襲いました。
「大学封鎖・授業停止」
「デンマークのコロナ感染者数世界10位」
「危険勧告レベルに達した国の留学生は直ちに帰国するように」―。
携帯電話には、日中夜関係なく緊急のメッセージが届きます。
各地で起こる惨状に心が痛むと同時に、海外で生活を続ける不安はどんどん膨らんでいきました。
そして、苦渋の選択ではありますが、日本へ帰ることを決意。
何が起こるか予測できない事態のため、家族のもとで一緒に暮らすことが一番であると考えたのです。
決意が固まると行動は早いもので、すぐさま2日後のフライトを予約。
思い入れのある住まいを片付け、帰国の準備を整えていきました。
そして迎えた留学生活最後の夜。
ドアをノックする音が聞こえたので、外に出てみると、
留学中に最も親しくしていたイタリア人の友人が立っていました。
「帰国の準備でごはん食べられていないでしょ?」と
手作りのピザを焼いて持ってきてくれたのです。
そして、デザートには、私が大好きだった親友お手製のティラミスも添えてくれました。
『お互い大変な状況は同じなのに、
私のことを気遣ってこんなに色々と用意してくれるなんて...』。
ピザとティラミスを美味しく頂きながら、
友達と過ごした日々を思い出し、涙が止まりませんでした。
留学生活での勉学は半ばで終わってしまいましたが、
人生における「幸せのかたち」は十二分に教えてもらったように思います。
先日、その親友から「今年は日本に遊びに行こうと思っている!」
という嬉しいニュースが届きました。
日本で再会した時は、改めて感謝の言葉を伝えるつもりです。
そして、受け取った優しさを恩返しできるよう、おもてなしできたらと考えています。
日本財託 人事総務部 S・S
◆ スタッフプロフィール ◆
神奈川県横浜市出身。
人事総務部に所属し、主に新卒社員の採用業務や研修を担当しています。
留学中はヨーロッパ11か国を格安で旅していました。あの頃みたいに旅行がしたくなり、
思い切ってオランダとロンドン行の飛行機をブッキング済みです。
安全に気を付けながら楽しみたいと思います!