先輩から学んだ「バックオフィスの誇り」
2023/12/14
マラソンに参加されるS・Yさん
社会人になってからのほとんどの期間を経理・会計業務に携わってきました。
いわゆる「バックオフィス」と呼ばれる業務です。
地味だと思われがちな経理業務ですが、
私は日々、誇りとやりがいを持って仕事に取り組んでいます。
ただ、常にそうだったわけではありません。
前職でのある経験がきっかけで、このような考えに至ったのです。
前職では、上場企業A社の経理部に所属していました。
担当は決算の開示業務。
有価証券報告書や決算短信など、投資家向けの重要資料を作成する仕事を担っていました。
社会人2年目に配属された、この開示担当のチームで
先輩から何度も同じ言葉をいただきました。
それは「正しいことを正しくやろう」というものです。
間違いのない資料を作成するために、全ての業務を適切に行おう。
そんな意味で、先輩はこのアドバイスをくれました。
なかでも「チェック業務」には特に厳しく、ミスを見逃してしまったときには
「チェックをしたのに、間違いが残っていれば意味がない。必ず間違っている前提で見ろ」。
こうした注意を何度も何度も受け、だんだんと経理業務に嫌気がさしていたのです。
しかしあるときから、仕事への向き合い方が大きく変わることになります。
社会人3年目に経験した、決算発表当日での出来事です。
その日は、先輩社員2人と一緒に、
熊本の本社から福岡の取引所まで移動し、決算資料を提出する仕事を任されていました。
既に資料は完成しており、あとはその資料を取引所に持ち込めば業務完了。
そんな状況でした。
ところが開示の3時間ほど前に、熊本の本社に残っていた先輩から緊急の連絡が入ります。
「数値に誤りがあった!まだ取引所に提出しないでくれ!」
連絡を受けたとき、私は混乱して頭が真っ白になっていました。
しかし、一緒に資料を運んでいた先輩が迅速に指示を出し、すぐに近くの事務所に移動。
本社から送ってもらった適切な資料に、急いで差し替えをした結果、
なんとか開示時間に間に合わせることができたのです。
幸いにも、誤りは一部分のみであり、
開示資料一枚を差し替えるだけで済んだことが功を奏しました。
今でこそ、こうした些細な誤りが、企業の大きな損失に繋がりかねないことは常識ですが、
当時は「コンプライアンス」という言葉もまだ浸透していませんでした。
そのような時代においても、
本社で勤務する経理部の先輩方は、開示直前までチェックを怠らなかったのです。
このとき、先輩方の「なんとしても、正しい情報を世に出す」。
そんな仕事への姿勢に対して、心の底から尊敬の念を抱くと同時に、
「正しいことを正しくやろう」という言葉の意味を真に理解しました。
そして目立たなくても、完璧な数字や情報を世に出すために努力する、
経理の仕事に誇りを感じるようになったのです。
いま私は、日本財託で働いています。
会社や立場は変わりましたが、A社時代と同様、携わっている仕事は「経理」です。
先輩からの教えは、いまでも胸に残り、
バックオフィスとしての「誇り」と、会社の土台を支える「やりがい」をもって
業務に取り組んでいます。
今後も適切な業務で、正しい情報をお客様にお伝えしながら、
信頼される会社作りに貢献していきます。
日本財託 経理部 S・Y
◆ スタッフプロフィール ◆
熊本県熊本市出身の53歳。
経理部に所属し、主に会社全体の財務管理や、部のマネジメントを行っています。
最近、体力維持のために運動をしています。
フットサルやマラソンに取り組みながら汗を流しています。