異国の地で触れたぬくもり
2024/05/02
モンサンミッシェルの前で記念撮影をするS・Yさん
大学3年生の冬休み、一人でヨーロッパの国々を周る旅行に行ったときに、
自分を見つめ直す経験をしました。
ポーランドの「ワルシャワ」からハンガリーの「ブダペスト」へバスで向かったときのことです。
仮眠をして目覚めると、なぜか目的地の「ブダペスト」ではなく、
「ザコパネ」という、ポーランドとスロバキアの国境近くにある山村に到着していました。
(ここはどこだ。なぜこんな場所に着いたんだ。)
到着したときは状況がつかめず、なかばパニック状態でした。
異国の地に一人。さらにこのときは、不運にも携帯電話の充電が残り10%ほどだったのです。
不安に押しつぶされそうでしたが、とにかく「ワルシャワ」に戻ることが先決だと判断し、
ワルシャワ行きのバスを探すことにします。
幸いにも、到着した「ザコパネ」はリゾート地で、観光客が数十人いました。
英語で彼らに質問をしたところ、
30分後に「ワルシャワ」行きのバスが到着することが判明したのです。
しかし、これで一件落着とはいきません。
バスへ乗車するときに、運転手からこう言われたのです。
「機械の故障でクレジットカード決済ができないんだ」「現地通貨(ズウォティ)で支払ってくれ」
この旅行中、ほとんど現金を使わなかったため、
このときの私は、ユーロとクレジットカードしか持っていませんでした。
ポーランドはユーロ非導入国で現地通貨しか使えません。
(どうする、どうする!?)
不安と焦りで、私の頭は真っ白になり、
運転手の前で呆然と立ち尽くしていました。
そのときです。なんと、後ろから現地のお札が出てきたのです。
「えっ!」
驚いて後ろを振り返ると、そこにはポーランド人の青年がいました。
そして「現金を持ってないなら払ってあげるよ」と言って、
私の代わりに代金を支払ってくれたのです。
彼の手を両手で強く握りながら、頭を深く下げて
心の底から「ありがとうございます」という感謝の言葉を口にしました。
その後も何度も何度も頭を下げて、彼に感謝をしました。
1人辺境の地で、心が折れかけていた私を助けてくれたのです。
いまでも彼の顔、そしてあのときの感謝の気持ちを鮮明に覚えています。
この出来事を機に、私は自分を見つめ直しました。
「仮に日本で、外国人が同じように困っているとして、私は助けられるだろうか。」
青年と対比して、自分の未熟さを痛感しました。
それ以来「彼のように余裕があり、人を助けられる人間になりたい」。
そう思うようになったのです。
実際、日本への帰国後には、ヒッチハイクを試みている外国人カップルを送り届けるなど、
以前の私では考えられないような行動を取るようになりました。
また、今年は日本財託で、新入社員4人のメンターも担当しています。
彼ら彼女らが、イキイキと働けるよう、細かな変化にも気を配り、
余裕のある相談相手として、心の拠り所になってあげたいと考えています。
より多くの人を笑顔にできるような人間になれるよう、
これからも成長し続けます。
日本財託 人事総務部 S・Y
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都八王子市出身の24歳。
人事総務部に所属し、学生の採用活動と内定者のフォローをしています。
今年、ゴルフのベストスコアが81になりました。次の目標は70台です。