父との関係を変えた「感謝のスピーチ」
2024/12/12
父の少年野球チームに参加したS・Yさん
父は厳格な人でした。
毎日野球の指導をしてくれたのですが、その指導があまりに厳しかったのです。
子どもの頃の父の記憶といえば、毎日叱られ、ごはんを吐くまで食べさせられる。
ずっと父のことが怖くて、嫌いでした。
社会人になり、育ててくれた親へのありがたさを
少しずつ感じるようになったものの、
父とは連絡をとることも、話をすることもほとんどありませんでした。
そんな父との関係性が大きく変わったのは2年前の結婚式。
当初はなんとなく恥ずかしい気持ちもあり、結婚式を挙げるかどうか迷っていました。
ただ、妻は元ウェディングプランナー。
一生に一度の機会、せっかくならばと、
妻の強い勧めもあって式を挙げることにしたのです。
式の準備を進める中で、父へこれまでの感謝の気持ちを伝える
スピーチ原稿を書くことになりました。
忙しい日々を過ごしていると、改まって父へ自分の気持ちを伝える機会はなく、
父のことを考えることもありません。
いざ筆を取り、父とのこれまでを思い返すと、
浮かんでくるのは十数年に及ぶ野球練習の日々でした。
幼いころから高校卒業まで、毎日のように朝早くから、
夜遅くまで野球の練習に付き合ってくれていました。
休日に試合があれば、そのたびに車で送迎。
仕事以外のほとんどを、私との野球の練習時間に捧げてくれていと思います。
父の指導は、本当にきつく、楽しいだけの時間ではありませんでした。
ただ、今思うと、父は私に野球でいけるところまで行ってほしかったのだと思います。
どれも私を想うゆえの厳しさでした。
父との時間をこうして振り返ると、自然と感謝の気持ちが沸きあがってきます。
たくさん考えて、推敲を重ねた原稿ですが、
当日用意した手紙を見て話していては、感情が入らないと思い、
何度も何度も読み返して、練習をしました。
式の直前まで何度も伝えたい言葉を確認しました。
そうして、迎えた父へのスピーチの時間。
「25年間、ありがとう。」
とても恥ずかしく、照れ臭かったのですが、
素直に感謝の気持ちを伝えることができたのです。
結婚式を終えてから、父との関係性に少しずつ変化が生まれてきました。
連絡先を交換して以来、今まで動くことがなかった父とのLINE。
ある日、「飲みに行かないか。」と初めてメッセージが届いたのです。
驚きと同時に、素直に嬉しい気持ちになりました。
他にも、父が監督を務める少年野球チームの練習に来ないかと誘われることもありました。
実は、父は数年前から、自身で少年野球のチームをつくって監督に就任。
父と私の十数年に渡る野球生活が、今につながったのかなと嬉しく思うと同時に、
50歳を超えて新たな挑戦をする父を誇らしく思っています。
休みが合えば、少年野球チームの練習に顔を出そうかなと思っています。
子どもたちとの野球が楽しいのはもちろんですが、
父のいきいきとした姿をみられることもまた楽しみです。
日本財託 トータルソリューション部 S・Y
◆ スタッフプロフィール ◆
埼玉県さいたま市出身の27歳。
トータルソリューション部に所属し、東京中古ワンルームを通じて、お客様の老後の不安を解消することを目指しています。
最近、学生時代の友人の結婚式に、毎月のように参加しています。
友人たちの幸せな瞬間に立ち会うたびに、自分自身も幸せな気持ちになります。