想いの伝え方
2025/02/27
スイカを味わうO・Rさん
私は祖父についての記憶がほとんどありません。
父方の祖父は私が産まれる前に亡くなっており、
母方の祖父も私が小学校2年生の冬に亡くなっているからです。
かろうじて話した記憶がある母方の祖父についても
静かで口数の少ない人だったということくらいしか覚えていません。
私から積極的に話しかけに行くこともなく、
ただ「そういう祖父なんだ」と子供心に思っていました。
しかし、祖父が亡くなった日に起きた不思議な出来事の話だけは、
ずっと印象に残っています。
祖父の亡くなった時刻の少し前に、
祖父の勤務先の玄関のチャイムが鳴りました。
「はーい、どちら様ですか」
その場にいた人が声をかけても一向に返事がなく、
玄関を開けて外を見ても誰もいなかったのです。
他にも同じ時間帯に、同様の現象を経験した人が数人いました。
そして、その少し後に祖父の訃報がそれぞれに届いたのです。
祖父の葬式でその話を聞いた小学2年生の私は、
怪談のような現象を気味が悪いと思っていました。
しかし、その現象を体験した人たちは全員何かに納得した表情をしており、
そのことがずっと心に引っかかっていました。
大人になってから、この話を改めて母に聞いたところ、
実は、祖父が仕事で多くの苦労をしており、
その際、周りの人に助けてもらっていたことを知ったのです。
そうした背景があったからこそ、
あのチャイムは祖父がお世話になった人たちに
感謝の想いを伝えたのだと全員一致で納得していたと言います。
チャイムを押された人たちがなぜ納得した表情をしていたのかを、
当時から10年以上経って理解したのです。
祖父が本当にチャイムを押したのかどうかはわかりませんが、
私は祖父が挨拶に来てくれるだろうと思ってもらえるぐらいに
周囲の人々と深い関係を築いていたことに驚きました。
当時の寡黙な印象から私は、
周囲の人たちと疎遠であったと勝手に決めつけていたので、
祖父のことをもっと知ろうとしなかった自分を後悔しました。
母からあの日の真相と祖父についての話を聞いて、
他人を深く理解するためには
自分から動かなければならないと強く思うようになりました。
私も祖父に似てあまり自ら話すタイプではなかったのですが、
業務でお客様にとって最善な提案をするために
背景を知ることができる質問をすることを心がけています。
仕事では積極的に動くことができるようになりましたが、
プライベートでは未だに妻から口数が少ないと言われているので
自分の意見や感謝の気持ちを、もっと言葉にしていこうと思います。
日本財託管理サービス リーシング部 O・R
◆ スタッフプロフィール ◆
新潟県五泉市出身の35歳。
リーシング部に所属し、当社管理物件をご紹介しています。
オーナー様にとっても入居者様にとってもより良いご提案をできるよう
心がけています。
昨年より、お笑い好きの妻の影響でよくお笑いライブを観に行っています。
お笑い芸人のようなワードセンスを磨いてきたいと思います。