上司の不器用な激励
2021/11/11
笑顔で記念撮影するS・Yさん
社会人となり10年余り。
仕事で何よりも気を付けているのが円滑コミュニケーションです。
思い返すと、人との話し方を丁寧に考えるようになったのは、
一人の上司との出会いがきっかけでした。
私は新卒でIT企業に入社し約5年間、
システムエンジニアとして働いていました。
入社後2か月ほどの研修期間を経て、初めて配属されたプロジェクトで
ともに仕事をしたのがその上司です。
上司の第一印象はあまり良いものではありませんでした。
入社1年目、右も左も分からない中、頼みの綱は上司のみ。
しかし、仕事の進め方について相談してもなかなか聞いてもらえません。
言いたいことが分からない。終わり。
前提となる情報が分からないから答えられない。終わり。
話が長い。終わり。
話の論点がずれたり、要点を抑えた説明ができていなかったりすると、
容赦なく途中で話を終わらせられてしまうのです。
疑問の答えが得られないため、どう判断してよいか分からず、
どんどん仕事が遅れていきます。
(ちゃんと最後まで話を聞いてよ!)
当時はどうすればいいのか分からなくなっていました。
とはいえ、業務を進める上で、上司への相談は避けては通れません。
(何とか話を聞いてもらわないと...。)
その一心で、自分のコミュニケーションについて見直してみることにしました。
上司はどういったところで指摘を入れてくるのか、周りの優秀な先輩はどのような話し方をしているのか。それらを踏まえて、次はどう話せばよいのか。
上司に相談に行く前には、頭の中で会話をリハーサルし、
話の筋が逸れないよう、話すべきことをメモした紙を握りしめて臨んでいました。
そうした試行錯誤を3か月ほど繰り返していると、
あることが分かってきました。
それは、同じ物事でも、人によって見えている景色は全然違うということです。
とりわけIT業界では一つの案件で行うべき作業を複数のチームで分担しており、
やり取りに齟齬があると、工程全てに影響が及びます。
にもかかわらず、振り返ってみると、私はそれを無視して
自分が伝えたいことばかりを優先していたように思います。
そのことに気が付き、意識して修正を試みるうちに
だんだんと上司に話を聞いてもらえる時間が長くなってきました。
さらに、新たな案件が立ち上がったときには上司から
「お前の目線で考えて、この計画で行けると思うか?」
そう相談を受けるように。一人前としてやっと認めてもらえた気がしたものです。
それからは若手ながら、臨機応変さが求められるトラブル対応や、リーダー的な役割も任せてもらえるまでになりました。
当時、お酒の席で上司に入社当時の扱いの理由を問うたところ、
笑ってごまかされてしまいました。
ただ明言されずとも、上司の不器用な「激励」だったと、今ではなんとなく分かります。
コロナ禍で上司とはしばらく会えていませんが、
近いうちにまた、飲みにでも誘い、近況や昔話に花を咲かせたいと思います。
日本財託 人事総務部 S・Y
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都杉並区出身の33歳。
人事総務部に所属し、主に社員の労務管理や人事制度の設計運用などを行っています。
最近学生時代にやっていたテニスを再開し、瞬く間に肩を負傷しました。
二度目の再開に向けて毎日肩をストレッチしています...。