Ｍ・Ｍさんとお婆様

私には子どものころから尊敬している祖母がいます。

祖母とは私が就職して一人暮らしを始めるまで一緒に住んでいました。

祖母はまさに太陽のような人。警察官として長年勤めあげた気難しい祖父や、
私の両親含めた家族とひとつ屋根の下で生活していましたが、
どんなときでも笑顔を絶やしません。

何か問題があったとしても、怒ったり泣いたりすることは一度として見たことがなく、
私が困っていたり、悩んでいたりしたときも
「大丈夫、大丈夫」といつも励ましてくれました。

思い出深いのは、私が中学生になりたてのころ、
自宅で可愛がっていた飼い猫が死んでしまったときのことです。

ショックでひどく落ち込んでいたとき「命あるものだからねぇ」と
優しく寄り添ってくれ、落ち込んでいた気持ちが楽になったことを覚えています。

そのほかにも、80歳を過ぎて友人とカヌーに乗りに行き、
不注意で頭を切るけがをしてしまったときも、

一人で病院に行き包帯姿で帰宅するもあっけらかんとして笑い話にしていたりと
エピソードに事欠かず、孫から見ても明るくて元気いっぱいで、可愛らしい祖母。

私自身、年を重ねたときに『こんなおばあちゃんになれたらいいな』と憧れていました。

そんな祖母ですが、先日、母から連絡があり、亡くなったことを聞かされました。

突然の訃報に驚きはしたものの、95歳の大往生。
親族を含め、皆穏やかに受け入れていました。

そうして迎えた葬儀の日。

約10年ぶりに会う親族もおり、
「久しぶり！覚えてる？」といった和やかな雰囲気で始まりました。

法要の開始前に皆で祖母に挨拶しようと棺を覗くと、
生前と同様に穏やかな表情でほほ笑んでおり、「おばあちゃんらしいね」と
温かい気持ちが広がります。

特に祖母らしさを感じたのは、葬儀を終えた夜のことです。

家族で祖母のことについて会話に花を咲かせていたとき、
「おばあちゃん、喜んでくれたかな」と言った瞬間、
なぜか父のスマホから自動音声機能で「はい」と声がしました。

偶然だとは思いますが、もしかしたら天国の祖母が返事をしてくれたのかもしれません。

葬儀を終えてもなお、会話に混ざってくるお茶目さがいかにも祖母といった感じで、
周囲が悲しまず笑顔でいてほしいと思ってくれているようで、本当に良い祖母を持ったなと胸がいっぱいになりました。

振り返ってみると、祖母のポジティブさは私の中の大事な価値観として
受け継がれており、そのおかげもあって、繁忙期などで仕事が大変なときにも
乗り越えてこられたように思います。

どんなときでも明るく、元気に、ポジティブに。

祖母が示してくれた生き様を胸に、
これからも感情的にならず、穏やかな気持ちでいられるようにしたいなと思います。

日本財託管理サービス　賃貸営業部事務管理課
Ｍ・Ｍ

◆　スタッフプロフィール　◆
埼玉県さいたま市出身。
賃貸営業部事務管理課に所属し、主に仲介会社様とやり取りをしながら、入居申し込みの書類の確認や保証会社様への審査依頼、物件の問い合わせへの対応など事務処理を行っています。

映画鑑賞が趣味で、今の一押しは阪元裕吾監督作品。非日常な世界観で繰り広げられる日常の延長のような登場人物の心の動きやセリフ回しが秀逸で、今後の作品に期待しています。