全国へ波及した詐欺被害の啓蒙活動
2022/09/15
記念写真を撮るS・Tさん
「詐欺の件数が増えているんですよね」
およそ5年前、全国展開する不動産会社で
公務員の方を対象としたお部屋探しをサポートする部署に所属していました。
仕事の一環で大阪のとある警察署の生活安全課に伺い、担当者と雑談していると、
当時の大阪で高齢者を狙った詐欺のお話を耳にしたのです。
詐欺グループの手口は巧妙で、
大元の組織まではなかなかたどり着けず苦労しているとのこと。
できることと言えば、詐欺の対象となってしまうご高齢の市民に対し、
可能な限り啓蒙活動を行うことや巡回して不審な動きをしている方に声をかけて
詐欺を未然に防ぐことでした。
当時は2020年の東京オリンピックが決まっていたこともあり、
オリンピック期間中は全国から東京に警察官が集められることが決定していました。
すると地元の警備はどうしても手薄になってしまい、
警察だけでは民間人を守り切れない可能性がある。
そこで民間でサポートしてくれる個人や組織を探しているとのことでした。
私の周囲で被害に遭われている方はいませんでしたが、
オーナー様の中にはご高齢の方も多く、何人も頭に顔が浮かびました。
また根本解決には至れないものの、
どうにかして民間人を守りたいという担当者の熱意に心が打たれました。
「お手伝いしますよ」
自分自身で何ができるかわかりませんでしたが、
個人として、そして会社として何かできることはないかと考え始めたのです。
当時所属していた会社では、年に2回、エリアごとにオーナー様をお招きし、
不動産の市況や当社の取り組みなどをご紹介する会を開いていました。
以前、その会を運営する担当者から
『専門家の話を聞くスタイルはマンネリ化している』といった話を聞いていたのです。
『オーナー様の会で、警察の方に登壇いただければ啓蒙活動になるのでは』
さっそく大阪のイベントを運営する担当者に話を聞いてみると、
『ぜひ、お願いしたい!』と前向きなリアクションをいただきました。
警察署の担当者からもご登壇の意向を確認し、
会社で初めて警察官が登壇するオーナー会が開催されました。
警察の担当者も講演慣れしていることから話が非常に聞きやすく、
聴講されたオーナー様からは様々なご質問が飛び交うなど、活気にあふれた会になったのです。
参加者の満足度も高かったことから、その話は全国のイベント運営担当に波及し
『警察官を呼んでほしい』とオファーが殺到したのです。
イベント以外にも、千葉県では啓蒙用のチラシを作成し入居者様に配布したり、
東京都では東村山警察署管轄のエリアで定期的に啓蒙用のティッシュ配りに参加しました。
このような活動するにあたり、
警視庁より『振り込め詐欺防止アドバイザー』という名の委任状をいただきました。
するとその活動が認められたのか、
個人としても東村山警察署長より感謝状をいただくことができたのです。
ニュースを見ていると、新たな詐欺行為や被害者の話などを目にしますが、
ただ見ているだけでなく、少しでも力になれることは意外と近くにあることを感じました。
直近では具体的な活動はできておりませんが、
ATMで戸惑っているお年寄りがいたら、いつでも声をかけるように準備しています。
これからも仕事やプライベートにおいて、何かしら自分の力になれることがあるのであれば、
微力でも手を差し伸べていきたいと思います。
日本財託管理サービス CS部リーシング課 S・T
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都大田区出身の46歳。
CS部で、お部屋探しをするお客様をご案内したり、入居希望者に出会うための新規ルートづくりをしています。
都内で今年最高気温が出ると予報された日、テレビ局から暑さをテーマに街頭インタビューを受け、なんと夕方のニュースでオンエアされました。その録画映像は今では私の宝物です。