文章に想いをのせて
2022/10/20
私はいわゆる「活字中毒」で、学生時代には部活やサークルで詩や小説を書いていました。
とはいえ、元々は多くの人と同様に「読むこと」が好きな少年でした。そんな私が文芸創作に熱中するようになったのは、中学のときに出会った一編の詩がきっかけです。
遡ること18年前、中学3年生の9月。
ある高校の文化祭に行ったときのことです。
受付を済ませ、案内のパンフレットを貰うと、
その横で机を構え何かを配布している在校生がいました。
気になって目を向けると「よかったらどうぞ」という言葉とともに
業務用ホチキスで綴じられた紙の束を手渡されました。
「なんですかこれ?」
疑問がそのまま声に出ていました。
「部誌です。私たち文芸部です。よかったら読んでみてくださいねっ」
在校生のお姉さんがにこやかに答えます。
「ありがとうございます。読んでみます」
よくわからないまま受け取り、その場は終了。
冊子には、小説や詩を載せている人はもちろん、
エッセイ、読書感想文、ゲームの感想・考察まであり、どこまでも自由です。
その中でも特に惹かれる詩がありました。
タイトルは『夏の帰り道』
それは夏をこれでもかと詠った詩でした。
「夏が好き。」
という一行から始まる散文詩。蝉やコンクリートに落ちた影、熱気、行き交う人々、夏の入道雲に太陽、日差し、煌めく色。
ころころと変わる夏の表情を切り取り、見事に表現しています。
「眩暈がするような青が広がった空。」
この一文に私は特に惹かれました。
自分にとっては暑苦しくて不快にしか感じ取れない季節を、この人は全身で謳歌している。
自分とは違いすぎて、純粋に羨ましいとさえ思えます。
これまで「読むこと」しか興味のなかった私にとって、大して年齢が変わらない人が
こんなにも人の心を打つ文章を書けることに衝撃を受けたのです。
自分もこの部活に入って何か書きたい、人に伝えたい。
この日を境に私は、この文芸部がある高校を第一志望と定めました。
自分の学力的にはハードルの高い学校でしたが、勉強には自然と熱が入ります。
その努力の甲斐あってか、志望校には無事合格。
入学後は文芸部に入部し、例の詩の作者である先輩にも会うことができました。
日々の業務においても、社内外のメールやチャットのほか、
契約書など文章を書くことが多々あります。
その際には、相手の立場や状況を想像しながら、
分かりやすく表現することを意識しています。
文章が好きという強みを生かしながら協力会社様とのよりよい関係性を築き、
会社に、ひいてはオーナー様のためになる仕事をしていきたいです。
日本財託 事業部仕入開発課 K・Y
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都狛江市出身の33歳。
事業部仕入開発課に所属し、お客様にご紹介する物件の仕入れに関する業務を担当しています。
最近一押しの作家は山内マリコや吉田修一。
文章の上手さに加え、ユーモラスな表現の数々に衝撃を受けました。