【FIRE実現オーナー様の声】
激務OLが15年で年間700万円の不労所得を築き「サイドFIRE」を達成した投資実録
荒川様(女性) 50歳 東京都在住
きっかけ
経済的独立と早期退職を目標とした、新しいライフスタイルである「FIRE」。
FIREを達成するための方法はさまざまだが、生涯における不労所得を作る、という意味では「サイドFIRE」に成功した人が実際に存在する。
OLにして不動産投資家である荒川昌子氏(52歳・仮名)だ。
荒川氏は、「不動産のことなど何もわからない」というところから投資を始め、失敗を経験しながら今では年間700万円の不労所得を築き上げている。2021年12月現在では9件もの賃貸用不動産を所有、荒川氏が考える今後の暮らしや事業展開、サイドFIREを達成するために必要な3つのことなどについて聞いていく。
不動産投資を始めて15年、家賃収入は年700万円に
----早速ですが、まずは荒川さんの自己紹介とお持ちの不動産について教えていただけますか。
私は現在52歳の独身です。大学卒業後、新卒で入社した会社を5年ほどで転職し、それから現在まで貿易関係のベンチャー企業で働いています。
最初に不動産を購入したのは2006年で、熊本のワンルームマンションを選びました。私が37歳のときです。
その後、名古屋や東京のワンルームなどを中心に買い進め、途中で自宅の購入や資産組み換えのための物件売却などを行い、現在は9戸を所有しています。
----ということは、不動産投資を始めてから15年程ということですね。現在の運用状況はいかがでしょうか。
年間の家賃収入は現在約700万円で、総資産は約1億円です。9戸の内、7戸は不動産ローンを完済していて、ローン残債は2017年に購入した中央区の1LDKマンションと、2019年に購入した賃貸併用住宅の約3,400万円となっています。ローンの支払いや修繕積立金などを差し引いた手取りの家賃収入は現時点で月約32万円ですが、ローンを完済すると月60万円弱になります。不動産投資以外には、投資信託やアメリカのETF(Exchange Traded Fund)を少しやっている程度です。
転職を機に投資を開始するも「全然ダメ」
----順調ですね。投資信託の話が出てきましたが、最初は不動産投資ではなく株式投資をされていたのでしょうか?
はい。投資の入口として、20代の頃に日本株中心に株式投資を始めましたが全然ダメでして。それ以外にも、リーマンショック以前はFXもやっていたのですが、かなり大変でした。その後、株とFXはやめて不動産投資をメインに行なっています。
----当時は、大きな損失が出たのでしょうか。
損はかなり出たと思います...。
リーマンショックをきっかけに全部手仕舞いをしたので、残ったのが1,000万円位でした。その1,000万円を不動産投資に回そうと思って購入したが熊本のワンルームマンションです。
----株式投資を始めたきっかけは何でしたか。
今の会社の前に、大学を卒業して新卒で入った会社を5年で辞めたことがありました。その後、転職をしたのですが、そのときに「やはり定年退職までは長く続けられないかもしれない」と思ったのがきっかけです。
それで株を始めましたが、なかなか上手くいきませんでした。仕事が忙しく、株の勉強がなかなかできなかったこともあり、儲かったり儲からなかったり、という感じでした。
家族もやっていましたが、やはりそれほど知識がないまま投資をしていたので、私と同じような状況でしたね。
----5年位で転職を1度されて、その頃から会社員一本で働く以外に何か収入が必要だと感じていたのでしょうか。
そうですね。最初に不動産というのは考えていなかったので、投資と言えば株なのかなと思って。FXは、親戚の叔父から「こんな良いのがあるよ」と薦められて始めました。不動産投資は母がやっていて、熊本の不動産会社を紹介してくれたのも母でした。
激務に加え退職金無し......。たどり着いた投資が不動産
----会社員としての日々はどうでしたか?不動産投資を選んだ理由として「仕事が激務なため、手間暇がかからない投資を探していた」と言ってくださる方も多いですが、荒川さんの場合はどうだったのでしょうか。
私の場合、30代40代の頃はけっこう仕事が充実していました。貿易会社なのですが、社長がアメリカ人のベンチャー企業で、中国やアメリカに出張へ行ったりしてかなり忙しい日々でしたね。
とはいえベンチャーということもあり、そんなに大きい会社でもなくて、定年退職まで務める人が誰もいなかったのです。
社長がとても剛腕を振るう方で離職率も高かったですし。定年まで働く雰囲気が全く無く、ここ4~5年前にやっと確定拠出型年金が導入されたくらいで退職金制度もきちんと整備されていません。
そのため、仕事は充実していたのですが、将来は...という感じです。
----貯蓄や投資をして、自力で将来の備えをしなければならない、といった感じですね。
そうですね。そのため株を始めたのですが、上手くいかず。次にチャレンジしようと思ったのが不動産でした。私のように将来の備えを自力でしなければならない場合、1棟マンションやアパート経営を選ばれる方も多いじゃないですか。ところが私の場合、仕事が忙しかったので、あまりそういった勉強をする時間が取れませんでした。
それでも、ワンルームマンションであれば1棟ものほどリスクが高くないし、本業に力を入れながら不動産投資を始められたかな、と今になって思いますね。私は39歳のときに不動産投資を始めています。
地方の中古マンションの購入ではまった「落とし穴」
----最初に不動産投資として購入された熊本の物件はいかがでしたか。
2006年に、熊本の中古ワンルームマンションを380万円で現金購入しました。平成初期の物件で家賃収入は38,000円です。利回りは10%ほどありましたがサブリースでした。そのサブリース賃料が約1年後にガガッと下がっちゃって。
----えっ、1年で? いずれ家賃の見直しの時期もくるとは思いますが、早いですね。
はい。やはり地方の区分は難しいな、と思いましたね。いまでは家賃収入が33,000円まで下がっています。
御社に会うまでは、東京都内と比べると地方のほうが取得金額は低めなこともあり、加えて自分が住んでいて土地勘のある地域で投資をするのが鉄板だと思っていました。それでいくと、都内は購入価格が地方の2~3倍位になりますし、当時は都内に住んでいなかったので、御社のセミナーに参加していなければ、地方以外の物件は買っていなかったと思いますね。
不動産投資の見方を変えてくれた2人の「師匠」
----最初の1戸は現金一括で買われたということですが、都内で初めて購入された物件はいかがでしたか。
2010年に、販売価格950万円で現金購入しました。物件を購入した日本財託の田島さんに「最初は現金で購入した方が良い」と教えていただいて。家賃収入は65,000円で、これは今でも変わっていません。
それ以降は、ローンを活用して物件を購入し、家賃収入と自己資金からの繰り上げ返済をして次の物件を買う、といった感じです。
1年に1件ずつ買っていくというイメージでした。
----不動産投資というと、地方でも東京の場合でも購入金額は大きいと思いますが、迷いはなかったのでしょうか。
ありました。
不動産でいこうと心に決めたきっかけは、サラリーマンをしながら不動産投資を行っていた台場さんという方との出会いです。
不動産投資セミナーで台場さんが登壇されていて、そのお話を聞いて「サラリーマンでもこれほど成功されている方がいらっしゃるんだ」と思いました。私でもできるかもしれないと勇気をもらいましたね。
それから田島さんが出て来られて、低リスクで不動産を増やす「黄金比率」やローンの活用の仕方などをお聞きしました。帰ってから自分でも調べたのですがお話されていた内容は合っていましたので、これは信頼できるなと。
当時、何件か不動産投資のセミナーに参加したことがあったのですが、きちんとオーナーさんが出てきて具体的な投資方法や賃貸経営について話されるというのは、あまりありませんでした。
そのときに、台場さんが「もしよかったら声をかけてくださっていいですよ」とおっしゃっていたので、思い切って台場さんに声をおかけしたのです。
それで台場さんに「不動産に興味があれば一度営業の方と話してみてはどうか」と言われて、田島さんをご紹介していただきました。
もし台場さんがいなかったら不動産投資をやっていなかったと思います。
それから7件購入しました。買うときはいつも田島さんから物件を紹介していただき、台場さんに「こういうのを買いたいんですけど、どう思いますか?」みたいに聞いて、「いいですね」と言われたら購入しています。
2015年頃に転勤で東京に来ているのですが、それまでは東京の土地勘が無かったので、野方や巣鴨などの地名も知らなかったのです。田島さんに物件を紹介していただいたら台場さんに聞いて、いいと言われたら買う、といった感じで買い進めてきました。
都心の物件はストレスフリー
----不動産投資を始める前と始めた後では、思っていたことに何か変化はありますか? 良い意味でも、悪い意味でも、実際やってみたらいろいろあると思うのですが。
物件を実際に購入する段階では、私にとっては凄くハードルが高かったです。一件目は現金だったのですが、2件目はオリックス銀行の不動産投資ローンを使いました。
そうすると思ったより用意しなければならない書類が多くて、例えば納税証明書などですが、とても大変だった記憶があります。ただ、それが終わると何もやることがない、という印象ですね。
物件の管理も日本財託さんがしっかりとやってくれますし、都心であれば地方に比べて家賃下落や空室におびえる必要もありません。
会社員をしていた30代40代は仕事が忙しくて出張もあったので、何もしなくても家賃が入るというのはとても良かったと思います。株やFXだと、相場が気になるので毎日見る必要がありますよね。
ワンルームマンションだと管理も楽だし修繕もそこまでかからないので、「ストレスがないっていうのは良いなあ」と思いました。
「売らない」営業マンのひとつの教え
----もし入居者がつかなかったら毎月ローンの支払いが出ていくだけなので、そこは不安になってくるところもあると思いますが。
田島さんの教えとして、「繰り上げ返済をしましょう」というのがありました。繰り上げ返済をどんどんして、「ローンがあまりない状態にもっていく」というのを田島さんが説いていたので、私も「ローンが無くなればもういいのかな」というふうに考えていました。
驚いたのが、田島さんは「絶対に繰り上げ返済をしてください。しないと売りません」とまで言う方で。実際に、繰り上げ返済をしないと次の物件を売ってくれませんでした(笑)。
----それは逆に、お客さんのためを思っているのが伝わってくるから、信用できたということでしょうか。
そうです。他の営業の方だと、とにかくガンガン物件を売ろうとしてくる人が多いじゃないですか。
----いかにその人の与信枠限界までローンを組ませて買ってもらうか、みたいな部分はありますよね。
田島さんの場合は本当に売ってくださらなかったので、2~3年家賃を貯めておいて、1回繰り上げ返済をして「終わりました」と言うと次の物件を紹介してくださいました。
不動産投資なら年間約300万の繰り上げ返済が苦ではない
----2010年と2015年にも物件を購入されていますね。
はい。品川区や大田区、中野区などの物件を買いました。いまは品川区の物件は売ってしまっているのですが、2010年に2戸、2015年も2戸購入しています。品川区の物件のときは、オリックス銀行さんでフルローンを組んで買っています。
----他の物件もある程度ローンを組んで、という形ですか?
日本政策金融公庫のフルローンも利用しました。2015年に2件買っていますがこれが高かったです。2件合わせると取得金額は3,500万円位ですが、利回りはあまり良くなくて3%です。これは今も持っています。
----ある程度の借入もしながら繰り上げ返済をして、物件を増やしていったと。年間でどれくらいの繰り上げ返済をされていたのでしょうか?
年間300~400万円位を繰り上げ返済して、およそ3年でローンを完済していましたね。家賃収入にはほぼ手を付けずに、家賃が貯まってくると返済して、みたいな形です。
例えば大田区と中野区の物件であれば、それぞれ月の家賃収入が65,000円だから年間で78万円貯まります。2件合わせて年間156万円。管理費修繕費を引いて、120万。そこに、自分の年間の給料から約180万円を足して返す、というようにしていました。田島さんが提唱してくださった方法ですね。
----年間150万~180万円を自分の給料から入れてっていうのは、苦になりませんでしたか?
それほど苦ではなかったですね。ベンチャー企業でしたが、当時業績が良く上場企業のサラリーマンくらいの年収はありましたので。
とはいえ「いつリストラされるかわからない」という状況だからといって、自分の生活スタイルを極端に切り詰めるようなことはありませんでした。
あとから思えば、生活を切り詰めなかったので無理なく長く続けられたと思います。
唯一したのは、家賃収入をほったらかしにしたこと。それが良かったのかもしれません。家賃に手を付けていたらダメしたでしょうね。
----家賃の口座とご自身の普段の口座は分けていたのでしょうか?
はい。家賃口座のほうは無いものと考えて、貯まったら返すというようにしていました。家賃口座と生活用の口座を分けて、「自分の生活スタイルをあまり変えないようにする」というのが一つのポイントだったかもしれません。
----なるほど、いくら将来のため、FIREするためとはいっても、今の生活を犠牲にしては長続きしませんからね。
そうですね。そういう意味では不動産投資でなければ経済的な自由は得られなかったと思います。
これだけは守るべき物件選びの3つのポイント
----多くの物件を買われていったということで、不動産投資での物件選びで重視したポイントはありますか?
ポイントのまず1つ目は、自分の先入観だけで物件選びをしないことですね。
例えば、私はワンルームマンションを買う際に「1階の区分はやめておいたほうがいいかな」と思っていたことがありました。
自分が大学生のときに1階に住んでいて物を盗られるなど、ちょっと怖い思いをしたことがあったので、その感覚で「1階の物件はお断りします」と言っていました。
ところが1階を何件か買ってみたところ、実際は何一つ問題ありませんでした。つまり、自分が住むという視点でみると気になるところも、実際に物件を借りる入居者からすると気にならない、むしろプラスにすらなる可能性がある、ということです。
私が購入した日本財託の担当営業マンである田島さんが持ってきてくださる物件で、お断りしようと思ったものも、結局は「買ってよかった」ということがいっぱいあります。
2つ目は、駅に近いこと。例えば、駅から徒歩10分圏内などです。それと、一人暮らし用のワンルームでも平米数は広ければ広いほど良いですね。
例えば、3,500万円で購入した物件は専有面積が約40平米の1LDKですが、駅から徒歩1~2分の距離です。
----ワンルームだけではなく、ちょっと広めの物件も購入しているのですね。
そうですね。駅からとても近いですし、何より田島さんの勧めでもありましたので。2015年に2件買った後、2016年に次の物件を買いたいと田島さんに言ったのですが「まだ返済が済んでいないからダメ」と言われて、やっと2017年に買わせてくれました。私は1年に1件ペースで買いたかったのですが...。本当に商売っ気がないというか(笑)。
顧客のことを考えてくださっているんですよね。
3つ目は、ある程度高い賃料が設定できる物件です。
地方で買った物件で「失敗したかな」と思ったのは、そもそもの賃料が安い部分です。地方だと、都心に比べ購入金額は安いですが、その分ワンルームの家賃相場も安いです。
加えて賃貸需要が弱いため、賃料が下がりやすく、下手をすると月額家賃が2万円から3万円位になってしまうのです。
他方で、退去された際の原状回復などの費用は都心であろうが、地方であろうが同じ値段がかかってしまいます。
例えば東京の家賃が月6万円の物件と地方の3万円の物件でみると、退去される度に原状回復で約20万円かかるとすると地方の物件だと半年以上の家賃収入が飛んでいきます。
入居者に退去される度に損をするっていうのが地方の物件で、いくら表面上の利回りが良かったとしても持っていて「ダメだな」と思いました。
管理会社が動かない!?やむなく自主管理に
----地方で購入された賃貸物件の管理はどのようにされましたか?
もともとサブリースで管理会社が客付け(入居者探し)をしてくれていたので、よくわからなかったのですが、だんだん賃料が下がったのでサブリースを外しました。
サブリースを外すのも大変でしたが、いざ外してみると空室が3~4カ月も続いたことがありました。当時の管理会社はサブリースを外したことで、空室が続いても自分の懐は痛まないのを良いことに、ほとんどフォローもしてくれません。自分で管理会社に行って交渉したりして...。そこは今でも苦労しています。
----不動産投資は、そんなに自分から動くことはない、というイメージがあるのですが。
そうですよね。いま50代になって、ある程度の時間と知識があるからよいのですが、30代40代の仕事が忙しいときだと、そこまでするのは難しかったと思います。
物件の管理をその管理会社に委託していたのですが、あまり動いてくださらなかったので、いまは解約して、自主管理にしています。
----自主管理はどうですか?
本当に大変です。家賃3万円などの物件だと、もう自分で管理したほうがよいと考えていたのですが、思っていたより大変でした。
入居付けはもちろんのことですが、たまに入居者さんから電話がかかってくるので、その都度対応し、必要があれば動かなくてはいけません。
今のところ頻繁に問い合わせがくるわけではないですが、それでも大変です。
----自主管理を始めてからどれくらいになるのですか。
自主管理を始めたのは2020年頃からです。コロナ禍の時期で、地方の大学近くの物件なのですが、周りはアパートだらけで空室が多く、ガラガラでした。管理会社によると、「大学がリモートになっていて大学生がいない」と。
地方の物件だと大学や企業の工場などの需要に頼りがちなのですが、大学の近くであっても、そこからの賃貸需要だけに頼らざるを得ないなら必ずしもよいとは限らない。コロナ禍で特にそう思いました。
それと、2019年に賃貸併用住宅を買っていてそこも自主管理なのですが、1階の貸室に住んでくださっている20代の男性から「クーラーが壊れた」と電話がかかってくることもあります。
もし、そういった問い合わせが所有物件全てからかかってきたら対応しきれないと思いますね。管理って意外と大変だな、と実感しています。それがもし1棟アパートだったら...絶対に無理ですね。
会社員で不動産投資をするなら、実績のある、きちんとした管理会社にお願いするべきです。
サイドFIREは不動産でなければできなかった
----荒川さんは家賃収入が年700万円あり、また、ある程度のキャッシュフローもあるということで、経済的自立という視点ではどのようにお考えでしょうか?
そうですね。経済的にある程度自立するという意味では、不動産の家賃収入というのはとても大きな存在です。
私は2021年4月末で正社員を辞め、契約社員として在宅勤務メインで仕事をさせていただいています。ですのでリフレッシュというか、一度リセットして本当によかったなと思います。30代・40代のころは、仕事自体は充実していて、あまり「辞めたい」というイメージが私の中になかったのですが、50代になると年齢的にも仕事が厳しくなってきましたね。
50代になってからの業務は管理職でしたが、管理職特有のストレスを感じるようになりました。例えば、ベンチャー企業なので売り上げなどの数字的な部分は厳しいですし、その数字を達成するために、スタッフのケアも欠かせません。
また、社内での評価制度も非常に厳しかったです。自分がスタッフの評価を行う反面、自分も会社から評価される状況が次第に精神的に負担になりました。正社員や管理職を辞めて、そういったストレスが無くなったのが一番大きいです。
----それは大変そうです。もう少し早く契約社員に移るという選択肢はなかったのでしょうか。
そうですね...、やはり不動産投資を続けていくにあたり住宅ローンを使うとしても、正社員でなければなかなか借りられなくてふんぎりがつきませんでした。
最終的に正社員を辞める決断ができたのは、不動産投資での家賃収入があったからです。
正社員の年収よりかなり減ったうえで契約社員として働くことにしましたが、好きな仕事でしたので、決断できました。私のような働き方をサイドFIREというそうです。
----いろいろなFIREがありますよね。
そうですね。Fat FIRE(ファットファイヤー)、Lean FIRE(リーンファイヤー)、サイドFIREなど。サイドFIREというのは、簡単に言うと生活費の半分を不労所得で賄い、もう半分を労働所得で賄う状態。次はその「サイドFIREにいけるといいな」と思ったのです。
「思ってもみなかった」理想の暮らしが目の前に
----今後会社を辞めて個人事業主となった際、やりたいことを教えてください。
ローンで購入した賃貸併用住宅がわりと広い戸建なので、そこで何かをやろうかなと思っています。例えば、使わない部屋を利用して民泊など。
Airbnb(エアビーアンドビー)のように、外国人をお迎えしておもてなしを提供するのも楽しそうと思って。
それと、私は子育て経験がないのでこの年齢ですが、小さいお子さんのお世話というかベビーシッターや、子育て支援ができないかと思っています。
それこそ個人でサイドFIREをやろうと思って法人設立も検討しています。
----それは不動産の法人ではなく、個人でやりたいことのための法人でしょうか?
はい。会社員を辞めたら銀行の融資も受けにくくなる。そのときにもし事業や投資をするとしたら、法人で黒字化していれば融資が受けやすいかなと。それも台場さんに教えてもらいました。
いきなり起業というと大変ですが、少し貯えがあって民泊の利益が仮に月10万円とします。そこに子育て支援などを行いながら、家賃収入と合わせて生活はできるかな、という感じで考えています。自分の性格的に、いくつかのビジネスを小さくやっていくのが合っていると思うのです。
----不動産収入とプラスアルファで自分の好きなことで暮らしていく、ということですよね。理想的だな、という感じがします。
そうですね。そのようなことは、39歳で投資を始めたときは全く考えていなかったです。
----老後の資金という意味もあるのでしょうか。そうしたことを考え始めたのは、いつ頃ですか?
そうですね。やはり会社員としての業務が大変で、「仕事を辞めたいな」と思ったときです。49~50歳位になったときに。
「自分は何ができるのだろう?」と考えていた頃でしたね。
もともと賃貸マンションに住んでいたのですが、退職すると当然ながら住宅手当はなくなりますので「まず住宅を確保しなければ」と考えました。
それで、ただ家に住みながらローンを払うだけではなくて、下階に貸室があったら少し収入の足しになるな、住宅を使って何かできないかな、と考えたのです。
不動産投資でのサイドFIREに必要なたった3つのこと
1. 実際に不動産投資をしている人から話を聞く
----読者は一般のサラリーマンの方が多くいらっしゃるのですが、荒川さんのように経済的自立、もしくはサイドFIREなどはこれから可能でしょうか?
私ができるくらいだから、誰でもできるのではないでしょうか。私がよかったのは、不動産投資セミナーで台場さんに声をおかけしたことや、御社の田島さんといったアドバイザーがいたことです。相談というか、話せる人がいたのがよかった。たった一人で不動産投資をやるのは厳しかったと思います。
----不動産投資をされている方は、けっこう孤独ですよね。
ある程度、相談できるような人がいたほうがよいと思います。物件購入は状況によって全然違うので、「それはやめたほうがいいよ」など、言ってくれる人の存在が大切です。
そのためにはある程度、自分の情報もオープンにしなければいけないですね。
例えば、子供が何歳で何人いて、教育費がこれくらいかかって、など。
そういう具体的な相談をすることで気付くことやわかることって沢山あると思うので。
----お話を聞いていると荒川さんはご自身でいろいろ考えて、「例えば自宅を使って事業をする」など、けっこう収入を計算されているタイプだと思うのですが、いかがでしょうか。
ざっくりは自分で計算します。それでも先ほどの民泊を例に挙げるとするなら、実際に民泊を運営している人に聞きに行くなどはしています。賃貸併用住宅ってあまり聞いたことがなかったので、賃貸営業の方からも「やめたほうがいいよ」みたいなことも言われました。
例えば、「貸室からの音がうるさい」や、「大家さんの近くに住みたくない」という人もいるそうで、そうしたことを実際にどうなのか聞きに行きました。
2. 普段から投資の相談ができる仲間を見つける
不動産のことを話せる人や、教えてくれる人がいたほうがよいです。インターネットだけの情報では厳しい。
それと、不動産投資をやっている方と話していて思うのが、仲良くならないと話してくれないようなことがいっぱいあって。
----そうですね。お金の話となると。
突然、面識がない人に「これはこうすると節税になるよ」など、あまり言わないじゃないですか。やはり仲良くなるために、「私はこういう物件を持っているけど退去が出ちゃって」など、自分をある程度開示したほうがよいのです。
そうすると、「こうしたほうがいいよ」と教えてもらえることもあります。
不動産投資は、金額が大きかったり、借り入れをしたりする分、相談する際に自分の状況を伝えなければならないので、お互いオープンに話しやすい土壌があると思います。
3. お金の「マイルール」をつくる
----荒川さんは、きちんと給料から150~180万円は繰り上げ返済に回すと決めて実行されていました。私の場合だと、どうしても目の前の贅沢をしがちです。そこの意思の強さというか、コツがあったら教えてください。
そこは忘れていたというか、投資用口座と普段の生活用口座を分けていました。
それは自分で決めたことではなく、田島さんがおっしゃっていたので。御社で、「りそな銀行さんで口座を作ってください」と言われて作ったのですが、りそな銀行って地方にはあまりなくて。それで口座に入ってくる家賃収入が引き落としにくかったというのもありますが、「家賃は使わない」というふうに決めていました。
----他のことに使わないような仕組みを作るということですね。本日はありがとうございました。
※記事中の情報は2021年12月時点のものです。